24.激しい調教(5)

「教えてほしかったらお道具をお腹の中にしっかりと呑み込むんや」
「ああ……」
美津子は切羽詰まったような声を出すと、突然大胆に身体をぐっと反らし、その部分を義子につき出すようにする。すると美津子の女の箇所は、まるで生き物のように膣圧計を呑み込んでいくのだ。
「こりゃ驚いた」
義子はそんな美津子の技に目を見張る。
「いつの間にか美津子も成長したのね。大したものだわ」
マリは笑いながら美津子の乳房を揉みほぐす。美津子は「ああ……」と切なげに悶えながら、身体をくねらせる。
「の、呑み込みましたわ。ですから、文夫さんのことを……」
「ああ、そやったな」
義子はわざとらしく頷く。
「文夫にもあんたらと同じく人事異動があったんや。これまでの桂子とのコンビは解消し、新しいパートナーとポルノショーのコンビを組む」
「パートナー……いったい誰ですか?」
少なくともここにいる3人ではなさそうだ。静子夫人は人工授精を受けたそうだから違うとして、美沙江とコンビを組んでいた珠江夫人か――。
それとも姉の京子か。美津子の頭が嫉妬で熱くなる。
(もし姉さんが文夫さんとコンビを組むことになったら――許せない)
父母を早く失った美津子にとって五つ違いの姉の京子はずっと親代わりであった。夕霧女子高校に入学することができたのも、美津子の成績が抜群だったこともあるが、京子が大学在学中から探偵事務所助手のアルバイトでかなりのお金を稼いでいたおかげでもある。
田代屋敷に誘拐されてからも姉の京子が自らの身体を張って美津子を守ろうとして来たのは事実である。しかしながら悪鬼たちの狡智は常に京子のそんな思惑を上回り、京子の抵抗が空しく失敗するたびに、美津子の運命は結果として悪化の一途を辿ったのだ。
美津子は今や京子に対して愛憎半ばした複雑な感情を抱くに至っている。それは桂子が、何かにつけて自分を守ろうとしてくれた静子夫人に対して軽蔑めいた思いを向けているのに似ている。遅い反抗期が田代屋敷の美津子にも訪れたようなものだが、美津子は自分の醜い感情を持て余してもいた。
「文夫と新しくコンビを組むのは、お姉ちゃんの小夜子や」
美沙江の前に座り込み、膣圧計を操作している義子の言葉を聞いた美津子は衝撃に息を呑む。
「な、なんですって……」
腰部をうねらせながら膣圧計を緊め付けていた桂子も思わず身体の動きを止める。
「ち、血の繋がった姉と弟をコンビにしようというのですか……」
「何言ってるの。美津子と京子だって血の繋がった姉と妹じゃない」
マリが美沙江の乳首をくすぐり、うなじに軽い接吻を施しながらそう言う。
「で、でも……」
美津子は道具を使って姉の京子とからませれるうちに思わず真剣な気持ちになることもあったが、真性の同性愛者ではないため、たとえば文夫に対する感情と同じものを姉に対して抱くことはなかったし、それは恐らく今後も変わらないだろう。
それに女同士のコンビと、男と女のコンビでは違う。初めての時は身体に棒を呑みこまされたような痛みしか感じず、あっという間に終わってしまった文夫との行為――それは不思議なことに、回を重ねるうちに美津子に深い陶酔と、狂おしいばかりの快感を与えることになった。
愛する男と肉と肉で繋がっている――それは人間の本能である性欲に直接響く満足感であり、他のどんな行為でも得られない深い悦びを美津子に与えた。そして文夫の精の迸りを子宮に浴びた時、たとえこの地獄の底であっても、文夫の子を産みたいと真剣に願ったほどである。
しかし悪鬼たちはそんな美津子にとってかけがえのない相手である文夫を、実の姉である小夜子とコンビを組ませるようというのだ。
美津子にとって恋人の姉である小夜子とは、この地獄屋敷に捕らわれる前も何度か会ったことがある。両親を早く失い、その後は姉の京子と二人で生きて来た美津子にとって、村瀬宝石店の社長令嬢で音楽コンクールの優勝歴もあり、またミス宝石にも選ばれた才色兼備の小夜子は眩しい存在だった。
しかし小夜子は、そんな気後れを吹き飛ばすような気さくさで美津子と接してくれた。
「私、こう見えても結構不良なの。美津子さん、驚かないでね」
美津子は、文夫と三人で青山の喫茶店でお茶を飲んでいた時、ハンドバッグから煙草を取り出し、悪戯っぽい視線を美津子に投げかけた小夜子のことを思い出す。
「でも、弟は私と違って堅物だから心配いらないわ」
小夜子はそう言いながら柔らかい笑みを、隣に座る文夫に向ける。
「美津子さんなら文夫とはお似合いだわ。美津子さん、弟のことをよろしくお願いします」
「そんな……」
そう言って小夜子が頭を下げると美津子は顔を真っ赤にしながら手を振ったものだ。そんな光景を美津子は昨日のことのように思い出す。
映画女優のような華やかな美貌を持つ小夜子と、ギリシャ神話に登場する美青年のような文夫、美貌、知性、そして環境とすべてに恵まれた姉弟が、おぞましいポルノショーのコンビを組まされるというのだ。
「まあ、鬼源さんも当分はあの二人には本番行為はさせんというてたから、そんなに不安そうな顔をせんでもええ。実の姉弟の間に子供が生まれたらややこしすぎるからな」
義子はニヤニヤ笑いながら美津子の顔を見る。
「でも、昔の皇族なんかには、特に珍しくなかったとも言うわよ」
「マリはなかなか物知りやな」
義子とマリはそう言いながら笑い合う。
「まあ、あんたたちはそんなことは気にせんでもええ。奴隷同士、それぞれコンビの相手が決まったんやから、しっかりお稽古に励むんや」
美沙江に膣圧計を装填し終えた義子はそう言い放つと、改めて三人の美女に言い放つ。
その時、おぞましい責め具を取り付けられ、屈辱と不快感に身悶えしていた美沙江が口を開く。
「おば様は……珠江おば様はどうされているのですか」
「ああ、珠江か」
義子はマリと顔を見合わせ、ぷっと吹き出す。
「もう2日になるかしら」
「いや、3日目や」
そんなことを言い合うマリと義子に、美沙江は不安そうな目を向ける。
「珠江夫人はここ何日かチンピラ部屋に浸けられて、若い男たちとセックス三昧や」
「え、ええっ」
美沙江は驚愕に目を見開く。
「な、何てことを……おば様にはご主人がいらっしゃるのに……」
「何を寝ぼけたことをいっているの。これだからお嬢様育ちは困るわ」
マリはうんざりした声を上げる。
「まさかお嬢様は奴隷のお勤めが、お道具を使って悪戯されたり、女同士でレズショーを見せるだけだとは思っていないわよね?」
美沙江が硬い表情を見せているのを見たマリは桂子と美津子の方を見る。
「あんたたち、ここ何日か同じ檻に入れておいてあげたけど、その間にこのお嬢様に教えてあげなかったの? 美津子はともかく、桂子はもう経験もあるでしょう」

23.激しい調教(4)

 田代屋敷の庭、竹藪の中にある土蔵は鬼源の指示によって改造を施され、秘密ショーの会場となっている。その土蔵の舞台の上では遠山桂子、野島美津子、千原美沙江の三人が緊縛された裸身を立位で並べらていた。
 桂子は21歳、美津子は18歳、そして美沙江は19歳である。31歳の折原珠江と26歳の遠山静子が年長組、23歳の京子と22歳の小夜子が中堅とすると桂子以下の3人はいわば森田組の美しい女奴隷の若手組といってよい。
「すっかり待たせてごめんね。奴隷が多くなりすぎて調教の手が足らないんだよ」
 葉桜団の義子とマリが笑いながら土蔵に入ってくると、それまでじっと項垂れていた三人の美女たちは、はっと顔を上げる。
「しかし壮観や。森田組所属ポルノスターのフレッシュトリオが勢揃い、ってところやな」
 手に大きな鞄を提げた義子が三人の裸身を比較するように眺めながら嘲笑する。
 桂子の弾力のあるピチピチした若鮎のような裸身、美津子の未だ幼さが残る清純な裸身、美沙江の細い線で囲まれた優雅な裸身、いずれも若々しい魅力と新鮮な色気に満ちている。
 流行の衣服を身に纏って街を歩けば、3人とも若い男の熱い視線と同世代の女の嫉妬の眼差しを集めるに違いない容姿の持ち主だが、今は彼女たちの美貌も、優美な裸身も、ただこの地獄のような田代屋敷の悪人、悪女たちを楽しませるだけにだけ存在するといって良い。
 いや、そればかりではない。彼女たちをモデルにした卑猥な秘密写真や8ミリ映画は、森田組やその友好関係にある熊沢組他の暴力団の手によって、アンダーグラウンドの世界で大量にばらまかれているのだ。
 遠山財閥の令嬢であった桂子、名門の夕霧女子高の生徒であった美津子、千原流華道の家元であった美沙江。いずれも輝かしい経歴を持った3人の美女はその肉体を蹂躪されただけでなく、社会的な地位も、そして未来への無限の可能性までも奪われてしまったのだ。
「桂子、あんたと文夫のからみの映画はえらい評判やそうや」
 義子の言葉に桂子は思わず頬を薄赤く染め、恥ずかしげに眼を伏せる。
 同時に美津子も悲しげに目を背ける。美津子は恋人であった村瀬文夫と組まされたコンビを強引に解消させられ、新たに桂子と文夫のコンビが誕生したのだ。
 美津子の胸中には悲しみと同時に激しい嫉妬の感情がある。すべての希望が失われたこの田代屋敷の生活で、美津子のたった一つの安らぎが恋人の文夫とともに過ごす時間だったのである。
 文夫と一緒ならどこまでもこの地獄を耐えていける。そんな美津子にとっての唯一の生きる張りさえが悪鬼たちによって奪われたのである。
「美津子と京子のレズの秘密写真も大変な売れ行きよ」
 マリがガムをクチャクチャ噛みながら美津子の顎に手をかけ、追い打ちをかけるように言う。
「美津子も、文夫のことはいい加減に忘れてもらわないと困るわ。あんたの新しい恋人は京子なのよ」
 マリの言葉に美津子は口惜しげに唇をかむ。
 桂子に文夫を奪われた美津子だが、再び文夫をその手に取り戻すことを諦めていない。文夫こそ美津子にとって唯一の生きる希望なのだ。
 しかし、血を分けた姉妹で変質的な関係に落とされた自分のことを、文夫と再会した時にどう言い訳をしたら良いのか。
「美沙江と珠江奥様のレズ写真もなかなか評判がええみたいや」
 義子の声に今度は美沙江が羞恥に表情を歪める。千原流華道の後援会長であり、姉のように慕っていた美しい珠江と強制された屈辱と羞恥の行為、あの時の写真がすでに世の中にばらまかれている。もうこれで自分は二度と陽のあたる場所を歩くことは出来ないだろう。
「ところで、今回奴隷の間でちょっとした人事異動があったから、連絡しておくわ」
 マリがポケットから一枚の紙を取り出す。
「えーと、なになに……まず、遠山桂子」
「名前を呼ばれたらハイと返事をせんかい!」
 義子は青竹を手に取ると、桂子の丸い尻をパシッと叩く、
「は、ハイっ!」
 桂子は反射的に姿勢を正す。
「村瀬文夫とのコンビは解消、今後は千原美沙江とレズビアンのコンビを組むものとする」
「え、えっ?」
 桂子は驚いて目を見開く。同時に美津子の顔色もさっと変わる。
「何がえ、えっ、や。奴隷らしく『わかりましたっ』と返事をせんかっ!」
 再び桂子の尻に青竹が炸裂する。桂子は「わかりましたっ!」と叫ぶように返事をする。
「次に、千原美沙江、折原珠江とのコンビは一時中断、遠山桂子とコンビを組むこととする」
 引きつった表情を見せている美沙江を義子が「返事はっ!」と怒鳴りつける。美沙江は青ざめた顔のまま「わかりました……」と答える。
「それぞれ、男や女とからむのは随分慣れてきたけど、実演スターというのはそれだけじゃ駄目や」
 義子が得意げに胸を反らせながらいった。
「そうそう、セックスくらい誰だってできるわ」
「静子夫人みたいにお道具を使って色んな芸が出来るようにならんと一人前とはいえん。特に美津子や美沙江はまだまだ修行が足らん」
 義子の言葉にマリが思わず噴き出す。
「大変な修行もあったもんね」
 義子は鞄の中から奇妙な器具を取り出すと、3人の美女に突きつけた。
「これは見たことがあるやろう。膣圧計といってあそこの緊める力を測定するもんや。これを3人で使って競争する。一番成績の悪いもんにはきついお仕置きや」
 義子はマリとともにその奇妙な器具を桂子たちに順に取り付けて行く。
「あっ、あっ……」
 森田組の奴隷の中で最も古株である桂子は、奴隷と弾力のある乳房をマリに揉まれると、すぐに鼻を鳴らしながら喘ぎ出す。
「こんな風に可愛く悶える様子を見てると、桂子が以前は葉桜団の団長やったなんて信じられんくらいや」
 義子は皮肉っぽく笑うと、桂子の身体の中に膣圧計を装填していく。
「ああ……義子さん。そんな昔のことはもう言わないで。桂子はもう森田組の忠実な奴隷なのです」
「なかなかええ心掛けや」
 器具を取り付けた義子は、桂子の太腿をパシンと叩くと、次に美津子に向かう。美津子は覚悟を決めたように目を閉じ、マリと義子の玩弄を受け始める。
 桂子がいよいよ器具を取り付けようと美津子の内腿に手をかけると、美津子はむずがるように腰を振る。
「よ、義子さん……」
「なんや、おとなしく膣圧計を呑み込まんかいな」
「教えてください。文夫さんは、文夫さんは今どうしているんですか」
「ああ、文夫か」
 義子は美津子の形の良い乳房を揉み上げているマリと目を合わせる。
「やっぱり恋人のことは気になるのね」
 マリはさも楽しげにくすくす笑う。

22.激しい調教(3)

 小夜子は早くも呼吸を荒げながら、赤く染まった頬を右に向けたり左に向けたりしている。文夫はいつしか、そんな姉の痴態から目を離せなくなっている。
「そろそろ糸を繋ぐところを可愛がってあげようか」
 朱美が耳元で囁くと、小夜子はさも恥ずかしげにこっくりと頷く。
 銀子が朱美と意味ありげな視線を交わし、羽箒を小夜子の花蕾に使い出す。触れるか触れないか、というような微妙なタッチで愛撫され、小夜子は思わず「ああっ!」と悲鳴に似た声まで上げる。そんな小夜子の匂うばかりの妖艶さに、責める銀子と朱美もすっかり酔い痴れたような気分になってくるのだ。
 葉桜団のメンバーは互いにレズビアンの関係で結ばれており、特に団長の銀子と副団長の朱美は、同性愛の経験は深い。小夜子はそんな言わば百戦錬磨の銀子と朱美さえ虜にするような魅力を放っているのだ。
「あ、朱美お姉さま……小夜子、おねだりしていい?」
 小夜子はとろんと潤んだ瞳を朱美に向け、甘えるような声をあげる。その凄艶なまでの色気に、朱美は背筋がぞくっとするような興奮を覚えるのだ。
「なんだい、何でも言ってみな」
「お、お尻も一緒に……虐めて欲しいの」
「なんだって?」
 朱美は小夜子の大胆な言葉にさすがに驚き、聞き返す。
「いや……何度も言わせないで……お尻を……お願い」
「前と後ろを一緒に責められたい、っていうのかい?」
「ああ……だって、だって……小夜子、そこがすっかり感じるようになったのですもの」
 そう言うと小夜子はなよなよと腰部を振りながら、文夫の隣で呆然とした顔を向けているマリや義子の方を向く。
「お願い……弟も責めてあげて……私ばかりがこんな……恥ずかしいわ」
「わ、わかった」
 義子は慌てて頷くと文夫の前に跪き、早くも硬化を見せている肉棒を両手でそっと包み込む。同時にマリが文夫の背後に回り、美少年の引き締まった双臀をぐいと押し開くのだった。
「あ、ああっ!」
「ううっ!」
 朱美の指とマリの指が、小夜子と文夫の菊蕾を同時に貫く。その瞬間美しい姉弟は電流に触れたように全身をブルッと震わせるのだった。

「ああっ……」
「う、ううっ……」
 調教室に男と女の甘いため息と、むっとするような淫臭がたちこめている。六畳ほどの狭い部屋を葉桜団の不良少女たちが埋め尽くし、コップ酒を酌み交わしている。誰かが気を利かして持ち出したのか、スルメなどのつまみも並べられ、朝からすっかり宴会ムードとなっているのだ。
 ズベ公たちの酒の肴となっているのは、部屋の真ん中の2本の調教柱に全裸のまま縛り付けられた小夜子と文夫の姉弟である。深窓に生まれ育った姉弟が、社会の最下層というべきズベ公たちの見世物になっている。不良少女たちはそんな倒錯した快感にすっかり身も心も痺れさせている。
 小夜子には朱美が、文夫には義子が取り付き、淫らに責め上げている。それを銀子とマリが楽しげに眺め、時々野次をを飛ばしている。
 悦子はもっぱら銀子に酌をしたり、つまみの準備をしたりしながら、時折銀子たちを真似るように小夜子と文夫にからかいの言葉を投げかけている。
「少し元気が出て来たじゃないか、悦子」
 銀子は悦子に近寄り、空いたコップに酌をする。
「……すみません。銀子姐さん」
「お前が最近、調教に気が入らない理由は分かっているよ」
 銀子はそう言うと口元に笑みを浮かべる。
「お前、静子夫人に惚れたんだろう」
「そんな……」
「隠してもお前の態度から見え見えだよ。それで、静子夫人や他の奴隷たちを責めるのが後ろめたくなったんじゃないかい?」
「それは……」
 銀子の問いに悦子は俯く。
「特に小夜子は静子夫人の踊りの弟子で、静子が実の妹のように目をかけていた娘だからね」
「でも見てごらん、悦子。小夜子は朱美の責めを嫌がっているように見えるかい?」
 銀子はそう言うとちらと小夜子を見る。
「相変わらず上手いもんだね、朱美姐さん。あんな風に責められるのを見ていたらこっちまでおかしくなっちゃうわ」
 朱美にゆさゆさと豊かな乳房を揉み上げられ、甘い吐息をついている小夜子を見ながら、マリがからかいの声をかける。
「見なよ、悦子。小夜子ったら、今にも気をやりそうってな顔をしているじゃないか。小夜子が恋人の内山って医者に抱かれて、あんな風な気持ちになれると思うかい?」
 悦子は、もはや陶酔の極にあるような小夜子の表情を改めて見る。確かに銀子の言う通り、そこにはもはや嫌悪や躊躇いの感情は見られない。小夜子はむしろ積極的に、未知の快感に自ら飛び込もうとしているように思えるのだ。
「小夜子のとんでもない写真を、青葉学園の同窓生や小夜子の知り合い全部にばらまいたのを覚えているだろう? 悦子も一緒にやったことだよ」
 銀子の言葉に悦子の胸がズキリと痛む。
「小夜子も静子夫人も、外の世界で暮らすことなんて一生出来ないようになっているのさ。それならこの屋敷の中でせいぜい楽しく過ごした方がいいじゃないか」
 銀子はさらに念を押すように悦子に囁く、
「もし悦子があたいたちを裏切るようなことがあったらどうなるかわかるかい? 桂子と同じようにリンチを受けたあげく、森田組の女奴隷に落とされるんだよ」
 銀子の冷たい言葉に悦子は背筋を震わせる。
「あたいは悦子をそんなふうにしたくないんだよ、わかるだろう?」
 銀子はそう言うと、卑猥なショーを演じている姉弟の方へ向き直る。
「義子もなかなかだよ。お坊ちゃん、もうビンビンにさせているじゃないか」
「へへ……」
 義子は照れたように笑う。
「お坊ちゃん、姉さんと同じで最近はすっかりこっちの方も感じるようや。やっぱり姉弟っていうのはこんなところも似るんかいな」
 義子はそういいながらマリが差し出すコールドをたっぷりと指で掬い、文夫の菊蕾に塗りつける。
「ああっ……そ、そこは嫌ですっ」
 いきなり隠微な箇所をまさぐられた文夫はうろたえたような声を出し、義子の指を避けようと双臀を振る。その様子はまるで男を知らぬ乙女が恥らっているような色気を醸し出しており、見ているマリは陶然とした気分になる。
「往生際が悪いわね、このお坊ちゃん。この前、散々ガラス棒で口を広げてあげたのに、もう元に戻っちゃったのかしら」
 マリは思わずうっとりと文夫の媚態めいた姿に見とれていたことの照れ隠しをするかのように、そんな風に文夫をからかいながらひきしまった太腿や尻をピシャピシャと叩く。
「そんなことはないみたいや、ほら、もうあたいの親指をしっかりと咥えこんだで」
 義子はニヤニヤ笑いながら文夫の肛門に深々と含ませた指をゆっくりと抽送し始める。すると文夫の若茎はますますその雄渾さをまし、腹部につかんばかりにそそり立っていくのだ。
 小夜子もそんな文夫に煽られるようにはあ、はあと荒い息を吐き、柔肌はほんのりピンク色に染まっていく。
「そろそろいいだろう。マリ、糸をつなぐのを手伝ってやんな」
 銀子はマリに声をかける。小夜子と文夫の姉弟に瓶吊り芸の調教を開始しようというのだ。
「あ、ああ、そんなっ……」
「ううっ……ね、姉さんっ」
 小夜子と文夫の口から同時に悲鳴が迸り出る。最も敏感な箇所に糸を巻きつけられ、そこにジュースの空瓶をくくりつけられる恐怖と苦痛。姉と弟の身に加えられる想像を絶する淫靡な責め。これがいったい現実に起こっていることだろうか。

21.激しい調教(2)

「――私たち姉弟に残されたたった一つの財産である、女と男の武器に磨きをかけ、これを生きがいにして実演スターの道を姉弟仲良く歩んでゆくつもりでございます。み、皆様どうかお力添えをお願いいたします」
「たったひとつやないやろ。ケツの穴も忘れたらあかんでっ」
 義子が大声でからかうと、ズベ公たちからどっと哄笑がわき起こる。小夜子と文夫はあまりの屈辱と羞恥に、ともに頬を真っ赤に染め、裸身をブルブルと震わせる。
「そ、それでは姉と弟のおマンコとおチンチンの芸をお見せしますわ」
 そう言うと小夜子は、両肢をさらに極端なまでに開く。
「文夫さん――姉さんの真似をして、男らしく堂々と足を開いて頂戴」
 姉にそう促された文夫は堅く目を閉じ、少女のように長い睫毛を震わせながら、すべてを諦めたように両肢を開いていく。姉と弟の羞恥の部分があからさまに並べられる。
「姉弟そろってなかなか見事なおマンとおチンをしているやないか」
「これなら実演コンビとしてもお互い相手に不足はなしといったところね」
 義子とマリが口々に野卑なからかいを浴びせるが、ひとり悦子は戸惑ったような表情を保ったまま黙り込んでいる。
「さ、小夜子のお道具は皆様にお誉め頂く『巾着』と呼ばれる名器、弟の文夫のものも年に似合わぬご覧の通りの見事な巨根でございます。こ、これから姉はおマンコで卵割り、弟はおチンポで分銅吊りを演じさせて頂きますわ――」
 小夜子の卑猥な口上を合図に、美しい姉弟の珍芸が開始された。見事な双臀をうねらせて襞にくるんだ卵を割り砕こうとする小夜子。歯を食いしばりながら腰に力を入れて、その部分で分銅を吊り上げようとする文夫。美しい姉弟の酸鼻な競演に、調教室はむっとするような淫臭にわき返る。
「ふ、文夫さん、どうなの? ま、まだ吊り上げらないの? ね、姉さんはもうすぐよ」
「姉さんっ、だ、駄目だよっ。吊り上げられないっ」
 亀頭にくくりつけられた錘をどうしても持ち上げることが出来ない文夫は、切羽詰まったような声を上げる。
「文夫さん、姉さんを見てっ。小夜子の裸を見るのよっ」
 小夜子もまた理性をかなぐり捨てたように、そんな言葉を口にする。
「姉さんを美津子さんだと思っておチンチンを硬くするのよっ」
 文夫の視界に姉の白い見事な裸体が淫らに舞い踊るのが映り、それが文夫の脳裏で恋人の美津子の新鮮な裸身と重なっていく。
「文夫さんっ、見てっ。よく見てっ」
「ああっ、姉さんっ」
 美津子の裸身の幻はやがて薄れ、目の前に再び小夜子の生々しい裸が現れる。
 しかし文夫にはもはやそれが血を分けた姉のものであるという意識はなかった。自分を誘惑する年上の、たまらなく魅力的な女性――それが文夫にとっての小夜子だった。
 喘ぐような姉の声に煽られ、文夫の肉塊が硬さを増し、とりつけられた分銅が徐々に持ち上げられていく。見物のズベ公たちから喚声が沸き上がる。
「姉さん、あ、上がったよっ」
「ふ、文夫さんっ、良くやったわっ」
 弟が自分の裸身を見ながら性感を高め、ついに肉棒で錘を吊り上げた――そんな事実に小夜子は感激さえ覚えるのだった。
「姉さんも、姉さんも割るわっ!」
 ううっとうめき声を上げると柔らかい腹中から小さな音がして、小夜子は腹中に含んだ生卵を見事に割り砕く。小夜子の下腹部はヒクヒクと生き物のように蠢き、どろりとした卵黄が太腿を伝って流れ落ちるのだった。

 玉割りと分銅吊りという卑猥な珍芸を演じ終えた姉と弟は、鴨居に固定された縄に身体を預けるようにしながら、ハア、ハアと苦しそうな息を吐いている。
「いいところのお嬢ちゃんとお坊ちゃんが、傑作な芸が出来るようになったじゃない」
「マンコとチンポを振りたてて、姉弟向かい合って大熱戦や」
 葉桜団のマリや義子が、小夜子と文夫を指差しながら嘲笑する。
「あらあら、こんなに堅くしちゃって……糸が食い込んでなかなか外れないじゃない」
 銀子が文夫の肉棒に取り付けた分銅を外しながら、クスクスと笑い出す。
「こっちのお姉ちゃんも……濡れているのは生卵のせいばかりじゃないみたいよ」
 朱美も、卵で汚れた小夜子の股間を懐紙で拭いながら、楽しげに笑う。
「次の芸は……わかっているわね」
 朱美が小夜子の柔らかい頬をつつきながら促す。
「わかっておりますわ……」
 小夜子は恥ずかしげに顔を伏せていたが、やがて思い切ったように顔を上げる。
「つ……次に、姉弟揃って、び、瓶吊り芸をお見せいたしますわ」
 そういうと小夜子は再び顔を真っ赤に染め、俯かせる。
「瓶吊り芸って、どうやって演じるのかしら。義子、知ってる?」
「さあ……聞いたことないなあ。そのお嬢ちゃんとお坊ちゃんに教えてもろうやないか」
 再びマリと義子がサクラになって、小夜子を野次る。小夜子は頬を真っ赤に染めてもじもじしていたが、マリと義子にせきたてられてその卑猥な芸の説明を始める。
「ふ、二人で歌をうたいながらビ、ビール瓶をぶら下げて、振り回すのです」
「そんなもの、ただ瓶を振り回しても面白くもおかしくもないじゃないの」
 小夜子がズベ公たちに迫られ言い淀んでいると、文夫が姉を擁護するように口を開く。
「ビール瓶を、僕のオチンチンでぶらさげて、振り回しながら踊るんです。あ、姉の方は……」
 文夫はそこで姉の裸身にちらと視線を走らせる。
「ク、クリトリスに瓶を繋いで、振り回します。ああ……」
 そこまで言って、文夫は自分たちのあまりの惨めさが胸に込み上げてきたのか、くぐもった嗚咽の声を上げる。小夜子もそれにつられるようにシクシクとすすり泣きを始める。
「珍芸を演じている最中にめそめそ泣くんじゃないよっ」
 朱美は声を荒げると、青竹を手にして文夫の形の良い尻をピシャリと打つ。
「姉の方も、実演スターの先輩らしく、しっかり弟を言い聞かせないかっ。自分まで泣いていちゃ駄目じゃないかっ」
 朱美は次に小夜子の太腿をピシャリと青竹で打つ。
「うっ……」
 鋭い痛みに小夜子は呻き声を上げたが、やがて顔を上げ、文夫に濡れた瞳を向ける。
「ふ、文夫さんっ。ごめんなさいっ。姉さんも、もうめそめそしないわっ。だから、文夫さんも泣かないでっ」
 小夜子はそう言うと文夫に裸身を向け、両腿をぐいとばかりに大胆に割る。文夫は突然の姉の行為に驚き、脅えたように顔を背ける。
「文夫さん、ま、また姉さんの裸を見て、オチンチンを堅くするのよ。そうでないとビール瓶を吊り上げることが出来ないわ」
 小夜子は実の弟を誘惑するかのように、わざと甘い声を上げながら裸身を妖しくくねらせる。
「お願い、朱美お姉さま……」
 小夜子が潤んだ瞳を朱美に向けると、朱美はすっかり心得たように小夜子の後ろに回り、豊かな乳房をゆっくりと揉み始める。
「銀子お姉さまも……」
 銀子も頷くと小夜子の隣に腰を沈め、手にもった羽箒で小夜子の内腿を撫で上げる。
「ああ……文夫さん。姉さん……また感じてきちゃった」

20.激しい調教(1)

 田代屋敷の食堂で銀子と義子は遅い朝食を取りながら、昨夜のことを話し合っている。
「友子と直江はどうしている?」
「怪我は大したことはないけど、銀子姐さんの言い付けどおり今日は一日謹慎と言い渡したら、さすがに神妙にしてました」
「あの二人にはちっとはいい薬になるだろう」
 銀子はそう言うと義子と笑い合う。
「ところで昨夜はあの久美子って娘を、どこまで送っていったんだい?」
 歌舞伎町の店で飲んでから、銀子は悦子とともに迎えにきた森田組のチンピラが運転する車で友子と直江を連れて屋敷に戻り、義子にもう一台の車で久美子を送らせたのである。
「随分遠慮してましたけど、こっちが強引に薦めたら、それなら渋谷駅までってことで」
「駅前で降ろしたのかい? 随分中途半端だね」
「東急に乗れば一本で帰れるからっていってました。ところがちょっと気になったんで久美子を降ろした場所から車を少し動かして、しばらく様子を見ていたんですが、あの女、改めてタクシーを拾い直しましたで」
「タクシーを?」
 銀子は眉をしかめる。
「それで、どっちへ行ったんだい?」
「青山通りを六本木の方へ行きました」
「六本木か……」
「後をつけた方が良かったですかね?」
「いや、深追いは禁物だ」
 銀子は少し考えて首を振る。
「何か気になることでもありまっか? 銀子姐さん」
「別に何が特に疑わしいって訳じゃないが、京子の時と妙に似てるんだよ」
「ああ、そう言えば……」
 義子は頷く。
「あの時は、マリが愚連隊に襲われそうになっているところを偶然京子に助けられたんでしたっけ」
「それが京子が葉桜団に入団し、森田組に潜入するきっかけになったんだ」
 銀子は珈琲を飲み終えると煙草を口にくわえる。義子がすがさずライターを取り出し、火を点ける。
「まったくあの時は肝を冷やしたよ」
「確かに、腕っ節が強いところなんかは京子そっくりでんな。でも、これだけ似てるっていうのはかえって偶然の一致という証拠やないでっか」
「うーん」
 銀子は考え込む。
「久美子がもし京子と同じように、山崎や他の探偵のイヌだったとしたら、またあの店に現れるはずだ。義子、お前はマスターに連絡して、久美子が店に現れたらすぐに知らせるようにいうんだ」
「わかりました」
 義子がそう答えた時、食堂にマリが入ってくる。
「義子、ここにいたのかい。朱美姐さんと私だけで手が足らなくて困っているんだ。手伝っておくれよ」
「いったい何が始まるんや」
「決まってるじゃないか。小夜子と文夫の調教だよ」
「ほい、すっかり忘れてた」
 銀子と義子は立ち上がると、調教室に向かう。
「友子と直江を謹慎させているもんだから、調教する側の手が足らなくなったんだね。シスターボーイの二人はどうしているんだい?」
「相変わらず京子の調教です。今日から美津子と本格的なコンビを組ませるそうですよ」
「鬼源は?」
「珠江の調教に入ります。静子夫人の跡を埋めるために花電車なんかを仕込まなきゃいけないってはりきっていましたよ」
「美沙江と桂子はどうしている?」
「友子と直江に担当させて、とりあえずレズビアンプレイでも仕込ませようと思っていたんですが、昨日のことがあったんで……」
「そうか、確かに責め手がそろそろ足らないね。これ以上奴隷が増えたら大変だ」
 銀子、義子、マリの3人はようやく調教室に到着する。扉を開けるやいなや、朱美の鋭い声が響いてくる。
「さあ、実際にポルノショーを演じるつもりでやるのよ。要領はわかってるわね」
 調教室の中央では全裸の身を堅く縛り上げられた小夜子と文夫が、両肢を開いた人の字型の姿を並べている。
 その前には観客役の悦子が座り、深窓に生まれ育った姉弟の惨めな転落の姿に複雑な視線を注いでいる。
 朱美に命令された小夜子が唇を震わせながら、教え込まれた屈辱的な口上を述べはじめる。
「み、皆様、ようこそおいでくださいました。私、村瀬小夜子と申します。年令は、22歳。隣におりますのは弟の文夫でございます。年令は18歳」
「もっと大きな声で!」
 朱美の怒声が飛ぶ。小夜子は「は、はいっ!」と大きな声で答える。
「私たち姉弟は、四谷のある宝石店を経営する父の庇護の下、贅沢三昧の暮らしを送ってまいりましたが、このたび心境の変化を来たし、森田組の皆様のご支援のにより、姉弟でじ、実演ポルノショーのコンビとして再出発することとなりました」
「私たち姉弟は、今までの生活も、着るものも全てを捨て、また一切の財産も失い、一切れの布さえ許されぬ、せ、性の奴隷でございます」
 小夜子がさすがに涙で言葉を詰まらせると、朱美が青竹で小夜子の形の良いヒップをひっぱたく。
「ううっ!」
「もたもたしないで続けるのよっ」
 朱美はそう怒鳴りつけると、悦子に目を向ける。
「悦子、お前もそこで黙ってすわってちゃ駄目じゃないか。ショーの観客役をやってるんだから、この姉弟をからかうなり、野次を飛ばすなりして雰囲気を盛り上げてくれよ」
「……はい」
 悦子は固い声音で答える。
「もう、調子狂っちゃうね」
 朱美がぼやいた時、義子が「朱美姐さん、観客役ならまかせといて」と声を上げる。
「随分遅かったじゃないか、義子」
「すんません。昨日色々あったもんで」
「ああ、悦子から聞いているよ」
 朱美は微笑して頷く。調教室に入って来た銀子が朱美に近づく。
「朱美、御苦労さん。手伝うよ」
「銀子姐さん、すみません」
 銀子は青竹を手に取ると、小夜子と文夫の尻を順にパシッと叩き、「さ、続けるんだ」と声をかける。
「は、はいっ」
 小夜子は涙声で、強制された屈辱的な挨拶を続ける。