14.姉弟無残(2)

 小夜子も均整のとれた弟の裸身と、その股間の男の象徴がみるみるうちに逞しくなっていくのを見て、頬をさっと赤らめる。
「まあ、文夫ったら、お姉さんの素っ裸を見て早速おチンチンを堅くさせるなんて。いけないお坊っちゃんね」
 朱美が嘲笑を浴びせると文夫はうろたえたように顔を逸らす。
「あれだけ可愛がってやっても一向に堅くならんかったくせに。現金な奴や」
 義子が苦々しげにそう言い、硬化していく見事な肉棒をはじくと、文夫はさっと顔を赤らめる。そんな文夫の仕草からはまるで処女が恥じらうような色気が漂い、葉桜団の女たちは嗜虐的な愉悦に身体を痺れさせる。
(ま、まさか――新しいショーの相手って――)
 意味ありげな表情を小夜子に向けて微笑を浮かべている朱美。小夜子の裸身はあまりの恐怖にガタガタ震え出す。
「もうわかったと思うけど、これから小夜子は文夫とコンビを組んでもらうわ」
 朱美が小夜子にそう言い渡すと、小夜子の裸身はますます激しく震え出す。
「静子夫人が妊娠したので、新しくショーの体制を作り直すことになったのよ。これからは折原珠江を中心にショーのコンビを組ませる。いずれは小夜子も珠江夫人とのレズを演じてもらうけれど、珠江を静子夫人の域に達するまで調教するのには、かなり時間がかかると思うわ」
 銀子がそう言うと、朱美が口を挟む。
「それでも森田親分と鬼源さんは急いで仕上げようと、珠江をチンピラ部屋に漬けたみたいだけど」
「三日三晩、竹田さんや堀川さんたちにやられっぱなしになるっていうわ」
「なんや、珠江がうらやましい気もするな」
 マリと義子がケラケラ笑いあう。
「心配しないでも最後の一線は越えさせないであげるわ」
「お姉様の奇麗なお手手や、お口を使って弟を発射させることはあるだろうけどね」
 銀子と朱美はそんな風に小夜子に声をかける。
「――あ、朱美さん。お願いです」
 小夜子は哀切感のこもった視線を朱美に向け、声を震わせる。
「なによ」
「さ、小夜子は実演スターとして森田組のために働くことは納得しました。弟の文夫も同じです――」
「当たり前でしょ。貴方達は森田組の奴隷なのよ」
 朱美の冷酷な言葉に小夜子はうつむくが、再び顔を上げる。
「ほ、他のことなら何でも我慢します。でも、血のつながった姉弟を一緒になぶるのだけは堪忍して――」
「贅沢言うんじゃないわよっ」
 銀子が小夜子の頬を平手打ちする。
「姉さんっ」
 文夫は小夜子をかばうように鎖につながれた裸身を捩らせる。
「奴隷のくせにあれこれ注文を付けると承知しないわよ。京子と美津子のように近親相姦コンビにしてあげようかっ」
「姉弟そろってご立派なお道具を持っているんだから、いい実演コンビになるわよ」
 銀子はいきなり文夫の股間に垂れ下がった肉棒をつかみ、ごしごしと乱暴にしごき上げた。
「ううっ」
 文夫が柔肉を激しく摩擦される苦痛に思わず呻き声を上げる。
「わ、わかりましたっ。もう我侭は申しませんっ。で、ですから、弟を苛めるのは止めてくださいっ」
 平手打ちをされて赤く腫れた小夜子のなめらかな頬に、一筋涙が伝わる。
「わかったらしゃんとして向かい合いなっ。今度文句を付けると承知しないわよっ」
 銀子の怒声を浴び、小夜子は濡れた瞳を文夫に向ける。
「ふ、文夫さん――もうどうにもならないわっ。お姉さんと地獄へ落ちてっ」
「姉さんっ」
 文夫も小夜子の哀切的な声に引き込まれるように、涙で喉を詰まらせる。
(静子お姉様……ああ、小夜子はいったいどうしたらいいのっ)
 小夜子は自らの守護神に祈るように、胸の中で静子に呼びかける。
 しかし、その静子夫人は無残にも人工授精を施され、父親の分からぬ子を宿すというのだ。ここまで徹底した人間性の破壊が考えられるだろうか。
 母親となった静子夫人は、その慈愛に満ちた性格を悪魔たちに逆手に取られ、子供の身を守るためならどのような惨い仕置きにも耐えることだろう。
 口にできないほどおぞましい自らの写真が、内村春彦他、小夜子の友人、知人にばらまかれてしまった今、小夜子にとって一生をこの田代屋敷で暮らすという生き地獄のような選択が現実味を帯びてくる。
 妊娠、そして出産――女にとって幸福なことであるはずのものが、小夜子には悪夢のように感じられる。文夫とは最後の一線は越えさせないと言われたが、悪魔たちの約束は当てにならない。当面は肉の関係は持たさないといっても、じわじわと追い込まれ、いずれは姉と弟が獣のように互いの肉を貪り合うようなおぞましい瞬間が訪れることだろう。仮に弟の子を宿すことになったら、自分は一体どうしたらよいのか。
 小夜子はふと、母親の美紀のことを思い出す。いつもは夫の陰に控えているが、美しく気丈で、芯の強い母。その母が今の小夜子の姿を見たら何というだろうか。
(ああ……お母様……小夜子、いったいどうなるの)
 小夜子は祈るような思いで母親の美紀に呼びかけるのだ。

 本番までは許されたものの、村瀬小夜子と文夫の姉弟は遂にコンビでいわゆるポルノショーを演じることとなった。上流階級に生まれ、何不自由なく育った美しい姉弟に対するショーの調教は、お互いの素っ裸を見つめ合いながらのオナニーショーの練習から始まる。
 朱美と銀子が小夜子の股間に鈴縄を取り付けようと白い陶器のような太腿に手をかけると、小夜子は全てをあきらめたように両肢の力を抜き、ゆっくりと両腿を開いていく。
「この前竹田さんに剃ってもらったばかりなのに、また少し生えてきたわね」
 朱美が小夜子の薄い繊毛に覆われた秘所をそっと撫であげると、小夜子は電流に触れたようにびくっと身体を震わせる。
「こっちのお坊ちゃんも無駄毛が生えてきているわ」
「みっともないから姉弟一緒に剃ってしまいまひょか、銀子姐さん」
 マリと義子も、文夫の若茎をつまみながらそんな風に笑う。
「まあ、お待ちよ。それもショーの出し物に使えそうだ。今剃っちゃうのは勿体ないよ」
「なるほど、それもそうや」
 銀子の言葉に義子は頷く。
「そういうわけや、お坊ちゃん。ショーに出演した時、お客さんの見ている前でお姉ちゃんと仲良く一緒に剃り上げてやるさかい、楽しみに待っているんやで」
 義子が文夫の半ば硬化を見せている肉棒を指で弾くと、それはブルンと勢いよく振れる。
「まあ、このお坊ちゃん、わかりましたってオチンチンで返事をしているわ」
 義子とマリはそう言って笑い合う。

13.姉弟無残(1)

 村瀬美紀と千原絹代の依頼を受けた山崎が、再び静子夫人他美女たちの行方を追って行動を開始したころ、美紀の娘である村瀬小夜子は、素裸を堅く縛り上げられ、葉桜団の朱美とマリに田代屋敷の廊下を引き立てられていく。
 村瀬小夜子は今年22歳。四谷で宝石店を経営する村瀬善吉の娘として生まれ、名門青葉学院を卒業、在学中に音楽コンクールのピアノ部門で1位、さらにミス宝石にも選ばれた才色兼備を絵に描いたような深窓の令嬢である。弟の村瀬文夫も青葉学院付属高校の3年で、ギリシア彫刻に生を与えればこうなるだろう、といった優美な美少年である。
 しかしその美しい姉弟は森田組の罠に落ち、田代の地獄屋敷に誘拐されていた。
 当初森田組は小夜子の誘拐により、村瀬宝石店から一千万円の身代金奪取の計画を立てていたが、金の受け渡しの現場に私立探偵の山崎と警察が張り込んでいることに気づき、這々の体で逃げ帰ったことがある。
 それ以降小夜子と文夫の姉弟は、森田組が獲得し損なった身代金を自らの肉体で稼ぎ出すという苛酷な運命を強いられたのだ。
「静子が人工授精を受けることになったの」
「えっ……」
 朱美の言葉を聞いた小夜子は、信じられないと言った表情をする。
「遠山夫人からのたっての依頼でね。千代夫人は静子が女奴隷としてここに幽閉されているだけじゃあどうにも不安みたいだわ。いつかは救い出されて、自分の今の地位が脅かされるんじゃないかと思っているみたい。それで静子が父親の分からない子供を生めば、さすがに二度と日の当たる場所には出てこれないと思ったのね」
 朱美はそんな残酷な言葉をさらりと吐く。小夜子の顔は恐怖で強ばる。
「何も小夜子が赤ちゃんを生む訳じゃないんだから、そんな怖がらなくてもいいわよ」
 マリはケラケラ笑いながら小夜子の尻をぴしゃりと叩く。
 なんと恐ろしいことだろう――小夜子は千代の凄まじいばかりの執念に身体の震えが止まらない。確かに静子夫人に子供を生ませれば、あの優しい夫人のことだから父親が誰だか分からないとしても――いや、わからないからこそそんな子供を不憫に思い、人一倍慈しむことだろう。
 そして、子供を人質に取られればどんな苛酷な要求も呑むに違いない。森田組は永遠の奴隷を手に入れたという訳だ。
「小夜子、あんたも赤ちゃんを産みたくなったらいつでも言うのよ。静子のように人工授精を受けさせて上げるわ」
 マリが再び小夜子のヒップを叩くと、朱美が「みんなが腹ボテになったら、ショーに出演する奴隷がいなくなるわ」と苦笑する。
「静子が妊娠したら今までどおりショーに出演するという訳にはいかなくなるでしょう? それで、田代屋敷の奴隷にちょっとした人事異動が行われることになったのよ」
 朱美にそんな風に話しかけられた小夜子は、怪訝そうな表情を見せる。
「小夜子もこれまで、静子夫人との師弟レズショーを売りにしたけれど、新しいショーの相手を見つけなければならないわ。それで今日は新しいショーのお相手を紹介してあげるわ」
 朱美が、悲しげにうなだれている小夜子の顔を面白そうにのぞき込みながら言い渡す。
「小夜子も良く知っている相手よ。会ったらきっと驚くわよ」
 小夜子はマリの思わせぶりの言葉に言い様のない無気味さを感じ、優美な裸身を慄わせて気弱な瞳を向ける。
 朱美の言う通り小夜子は、日本舞踊の師匠である静子夫人とレズビアンのコンビを組まされたことがある。そのときの恐ろしさと背徳的な愉悦を小夜子は忘れることが出来ない。
 その静子夫人はなんという運命か、この地獄屋敷で妊娠しショーの出演はしばらく控えざるを得ないというのだ。
 それなら小夜子の相手は京子だろうか。以前、地獄屋敷の悪魔達からからかい半分にそんなアイデアを聞かされたことがある。弟の文夫と恋人の美津子のショーを前座として、その姉同士が倒錯的なレズビアンショーを演じる、という悪ふざけめいた趣向である。
 いや、文夫は美津子とのコンビはすでに解消させられ、遠山家の令嬢、桂子と組まされている。小夜子は傷心の美津子をレズのシスターとして慰めるよう言われたことがある。それが今、実行されようというのか――。
 もはやそんなことでは驚かない。小夜子は覚悟を決めてきっと顔を上げる。静子夫人の陥った苛酷な運命を思えば、自分の非運など何程のことがあろう。少なくともこの地獄屋敷の同じ屋根の下で、自らの守護神とも言うべき静子夫人と暮らして行けるのだ。
 小夜子の頭の中には今や、かつての恋人である内村春雄のことはほとんど存在しなかった。静子夫人とのめくるめく愛の交歓に比べれば、内村との付き合いはなんと子供だましであったことか。
「さ、着いたわよ」
 素裸の小夜子を引き立てて行った朱美とマリは、廊下の端の5坪ほどの広さの調教室に小夜子を連れ込む。
 部屋の中央に3メートルほどの間隔をおいて天井の梁からぶらさげられた鎖の一つに、緊縛された裸の少年が縛りつけられている。
「おや、お姉ちゃんのご登場よ」
 少年の前に立って、何やら耳元に吹き込んでいた銀子が振り向いた。
「ふ、文夫さんっ!」
 素裸のまま柱に縛りつけられ、なにやら女たちのいたぶりを受けていた少年は弟の文夫であった。
「姉さんっ!」
 文夫は悲痛な顔を姉の小夜子に向ける。
「あかん、全然元気になれへんわ」
 文夫の前に座り込んでいた義子がお手上げといった風な恰好をする。
「手でしごいても、しゃぶってもびくともせえへん。若い癖に何や、だらしがないやないかっ!」
 義子は文夫の引き締まった尻をパシンと平手打ちする。
「義子のやり方が悪いんじゃないの」
 銀子がニヤニヤ笑いながら義子に声をかける。
「そんなことはあれへん、銀子姐さん」
 義子がむきになって言い返す。
「このお兄ちゃん、使い過ぎなんや。男奴隷は文夫しかおらへんもんやさかい、昨日は美津子の尺八の練習代、今日は桂子と実演てな感じでおチンチンの休まる暇があらへん。おかげでインポになってしもたんや」
「まさか」
 銀子は義子の言葉に吹き出す。
「まだ18のやりたい盛り。少々のことは平気よ。義子、マリと一緒に小夜子を隣の鎖に縛りつけて。文夫と向かい合わせにするのよ」
「よっしゃ」
 義子とマリは小夜子を引きずるようにして、無理矢理に縄尻を鎖につなぎ止める。
 改めて全裸の正面像を互いに晒しあった小夜子と文夫は、見てはならないものを見たように、ぶるっと身体を慄わせ、必死で顔を逸らせあう。
「眼をそらせるんじゃないよっ」
 銀子が手に持った青竹でパシリと床を叩く。
 強制された小夜子と文夫は、お互いの裸身に悲しげな目を向けあう。
 姉の輝くような白い肌、むっちりと実った果実のような豊かな乳房、滑らかな腹部、指で押したような可憐な臍。そして何よりも淡く溶けるような繊毛に覆われたふっくらとした陰部。文夫は息苦しいまでに女っぽい姉の裸身を眼にして、肉体がどうしようもなく高ぶっていくのを浅ましく意識する。

12.過酷な責め(1)

「うっ、ううっ」
 グリセリン液が次々と京子の腸内に送り込まれ、京子は腹部に生じる不快感と、全身が痺れるような妖しい快美感を同時に知覚し、たまらずくぐもったような悲鳴を上げるのだった。夏次郎がポンプを押す度に京子の肉体に電流のような衝撃が走り、びくっ、びくっと生々しいまでの痙攣が生じる。
「たっぷり注ぎ込んでやったわよ」
 200CCの浣腸を続けざまに2回注ぎ込まれた京子は、たちまち生じる激しい生理的苦痛に裸身をのたうせる。
「あっ、ああっ! お願いっ、あなたっ」
 京子は、二肢を宙づりにされた裸身をしきりによじらせ、もはや見栄も体裁もなく、込み上げる便意をしきりに訴えているのだ。
「お手洗いに、お手洗いに行かせてっ」
 春太郎と夏次郎は京子の哀願に対し、げらげらと哄笑しながら、
「駄目よ、京子」
「ここで、私達の目の前でおまるを使うのよ」
 といって、ピンク色の可愛い便器を京子の双臀に押し付けている。
「嫌っ、嫌ですっ」
 京子はむずがるように双臀を振る。
「こ、こんな姿のままで京子にさせるなんて、ひどい、ひどいわ」
 京子は美しく整った顔を伏せて、シクシクとすすり泣くのだった。
 排泄を強制される時のはかない反撥と甘い抵抗、そして羞恥の仕種、これらは全て観客をモソモソ喜ばせるために、春太郎と夏次郎から教え込まれたものだったが、既に被虐の快美感をおぼえた京子の身体の奥底から自然に発揮されているようにもみえる。
「我侭ばかりいってると、もう一度浣腸よ」
 春太郎が200CCのグリセリンを注ぎ込んだガラス製の浣腸器を取り上げ、京子の双臀に立ち向かうと、京子はおびえたような眼でそれを見上げ、
「わ、わかりましたっ、おまるを使いますから、もう浣腸するのはやめてっ」
 と、悲鳴のような声を張り上げる。
「そう遠慮しないで、もう一発ご馳走してあげるわ」
 春太郎はそういっていきなり京子の双臀の内側にそれを押し付ける。
「嫌っ、嫌よっ」
 既に限界に達しているところに無理やり注ぎ込まれる浣腸。溶液は京子の腸内に入りきらず、双臀の溝を伝わって滴り流れてくる。
 春太郎が嘴管を抜いた途端、京子は上ずった声で、
「も、もう我慢できませんっ!」
 と口走った。
「早く、早く、おまるをっ――」
「どうしておまるが欲しいの? はっきりいいなさい」
「ちゃんといえるまで、お預けよ」
 春太郎が京子のピンク色の乳首をつまみ上げるようにする。悩乱の極致に達している京子は春太郎に強いられるまま「ウ、ウンチをさせてっ」と口走るのだった。
 夏次郎が再びピンク色のおまるを京子の官能味のある双臀の下へ当てつけると同時に、京子の激しい排泄が開始された。

 春太郎と夏次郎によって連続2回の浣腸を施された京子は、絞り尽くすような排泄を行ってぐったりと横になっている。
「空手二段のじゃじゃ馬が、たった二回ばかり浣腸されたくらいでグロッキーになるなんて、だらしがないわよ」
 夏次郎が京子の逞しいばかりに張り出したヒップをパシリッと平手打ちする。
「相変わらず良い音がするわ。京子のお尻って」
 春太郎と夏次郎は顔を見合わせ、ゲラゲラ笑い合う。
「それじゃあいよいよ、本日の調教開始よ」
 春太郎が「野島京子・肛門調教用」と墨書された木箱を持ってくると、中から巨大な責め具を取り出す。
「どう、よく出来てるでしょ。京子のために特注したアナル棒よ」
 春太郎がその奇怪な責め具で京子の滑らかな頬をつつくと、京子は脅えたような顔になる。
「そ、そんなに大きいの……無理だわ」
「あら、静子夫人は平気で呑み込むわよ」
 夏次郎は京子のやわらかな耳たぶを引っ張る。
「静子夫人はめでたくご懐妊で、しばらくは秘密ショーには出られなくなったの。珠江や美沙江はまだ調教不足だし、しばらくは京子と、村瀬宝石店のお 嬢さんにショーの中心になってもらうしかないのよ」
「鬼源さんは次のショーはこんなプログラムを考えているのみたいよ」
 春太郎は楽しげに、『森田組主催・秘密ショープログラム』という奇妙な紙を懐から取り出した。
「昼の部――昼の部と夜の部があるのよ、一、森田組若手3大スター競演による卵割り競争、出演、遠山桂子、野島美津子、千原美沙江。罰ゲームは浣腸ですって、傑作ね」
「ああ……」
 妹の美津子の名を聞いた京子は、悲しげに眼を伏せる。
「一、姉弟ポルノショー、出演、村瀬小夜子、村瀬文夫。これも傑作だわ。姉が卵を割るのと同時に弟がチンチンで分銅吊り。息がぴったり合わなければ罰として姉と弟のめんどりショー。文夫さんもお尻に卵を呑み込むのね。楽しみだわ――」
 京子にとって耳を覆いたいような恐ろしい言葉が続く。
「昼の部のトリは姉妹レズビアンショー、出演、野島京子、野島美津子。ショーの出し物にするからには生ぬるいのじゃ駄目よ。お互いのお核を吸い合い、お尻の穴までなめ合うような迫力のあるものにするのよ」
「ああ――そ、そんな」
 絶望にうめく京子。
「夜の部、これはもっと凄いわよ。一、森田組青春スターによる白黒ショー、出演、野島美津子、村瀬文夫、黄金コンビ復活ってところね。美津子さんは泣いて悦ぶんじゃなくて――」
「白黒ショーの次は白白ショーね。出演、野島京子、村瀬小夜子。美津子の姉と文夫の姉が、青春コンビに負けず劣らずの熱戦を繰り広げるですって。鬼源さんも面白いことを考えるわね」
「夜の部のラストは――、まあ」
 春太郎はわざとらしく驚いたような声をだし、
「京子とジョー、小夜子とブラウンのダブル白黒ショーですって。お二人とも前と後ろを使って黒人のものを受け入れなきゃならないのね。これは大変だわ。急いで調教しなくちゃね」
 ついに黒人と──京子はあまりのことに気が遠くなる。しかも自分だけではなく、村瀬宝石店の令嬢までが野獣のような男の毒牙にかけられるというのだ。
「さあ、調教を開始するわよ。こちらも手加減しないで責めるから、京子もそのつもりでいるのよ」
 夏次郎はそう言うと、京子のヒップを再びパシッと叩く。

「――ああっ、もうっ、許してっ」
 前後の穴に巨大な責め具を突き立てられて泣き叫ぶ京子には、かつての空手二段の鉄火娘の面影はない。身体を引き裂かれるような痛みは敏感な箇所を責めあげられる快美感と一体になって、京子の思考は麻のように乱れ、豊かな黒髪を振り乱しながら、卑劣なシスターボーイに対して哀願を繰り返すだけになっているのだ。
「これくらいで泣きを入れているようじゃ駄目よ。黒人のあそこはもっと大きいのよ」
 夏次郎がアナル棒をつかんで激しく抽送を始めると、京子はひいっと絹を裂くような悲鳴を上げる。

11.母親二人(2)

「なるほど」
 千原流の家元夫人が一向に表に出て来ないのはそんな理由があったのか、と山崎は納得する。
「しかしそのために、珠江様が美沙江とともに失踪するといった事態になったのです。もし美沙江が村瀬のお嬢様と同じ誘拐犯にさらわれたのなら、珠江様も同様かと思います。私が甘えたばかりに珠江様に危険な目に遭わせているとしたら、折原先生に顔向け出来ません」
「折原先生とは医学博士の折原教授のことですね?」
「ご存じでしたか」
 絹代はこくりと頷く。
「先生は消化器内科の権威で、とても大事な方です。私達だけのことならともかく、折原先生のお心まで悩ませるのは耐えられないのです」
 山崎は先程事務所を出たばかりの折原の疲れ切った表情を思い出す。妻がいなくなったというだけであの憔悴ぶりでは、もし珠江夫人が静子夫人や京子と同じ目にあったとしたら頭がおかしくなるのではないかと山崎は考える。
 いや、山崎自身も既におかしくなっている。京子を失ってからというもの、あれほど情熱を傾けていた探偵の仕事に対して、すっかりやる気を失っているではないか。
「すると、絹代さんがこちらにいらした趣旨は?」
「娘のことももちろん心配ですが、折原の奥様をなんとしても捜し出していただきたいのです」
 絹代は真剣な表情を山崎に向ける。
「元康の看護に忙しい私に代わって、美沙江のことを妹のように、また時には娘のように慈しんでくださった方です。そのような方にご迷惑をかけて平然としているようでは、千原流の名が廃ります。今こそ私が折原先生と奥様にご恩返しをする時だと、京都から出て参りました」
「ご主人のことはいいのですか?」
「気の利いた女中に任せて参りました。最近なぜか若い女中が二人、急に辞めたため、人が足らないのは確かなのですが、美沙江がいなくなったために千原流は開店休業ですので、それほど困りませんわ」
 絹代はそう言うと微かに笑う。
「女中が辞めた?」
「最近の若い娘さんは根気が続きません」
「それにしても、二人同時にですか?」
「はい」
 山崎はなぜかひっかかるものを感じる。その様子に山崎が心を動かされているのかと考えた美紀夫人は、意気込んで尋ねる。
「報酬は十分にお支払いします。いかがですか、山崎先生。受けていただけますでしょうか?」
「報酬が問題ではありません」
 山崎は首を振る。
「私は、遠山静子夫人と桂子嬢、村瀬家の姉弟、野島京子と美津子さん、そして千原美沙江さんと折原珠江さんの8人は、すべて同じ組織によって拉致されたものと考えています」
 美紀と絹代の表情に緊張が走る。
「それほどの大胆なことが出来る相手と戦うだけの力は、今の私にはないのです」
「先生は、助手の京子さんを取り戻したいとは思わないのですか?」
「もちろんそれは取り戻したいです」
 美紀の問いかけに山崎は頷く。
「しかし、一人ではどうしようもありません」
 美紀と絹代の顔に明らかな失望の色が浮かぶ。それまで黙って聞いていた久美子が耐えられなくなって口を挟む。
「お兄さん、しっかりしてよ。どうしてそんな風になっちゃったの!」
「久美子、仕事の話だ。お前は黙っていろ」
 山崎が久美子を制する。
「仕事の話じゃないわよ。京子さんを助けないでいいの? お兄さんの恋人でしょう。それだけじゃないわ。美津子さんだってまだ高校生なのに、惨い目にあっているのでしょう。それを放っておくなんて、お兄さん、それでも男なの?」
「美津子さんが……」
 美紀が驚きに目を丸くする。
「美津子さんまで誘拐されているのですか? ひょっとして、文夫の巻き添えになったのでは」
「いえ……」
 そうではなくて、まず京子が捕らわれたせいで芋づる式に美津子、そしておそらく文夫、小夜子が森田組の手に落ちたのだ。そういう意味では、村瀬姉弟の誘拐の原因の一つは、京子に対して危険な指示をした山崎にあるといって良い。
「明智小五郎の再来と言われた山崎探偵が、どうしてそんなに弱気になるのよ」
「山碕は明智の負け戦だからな」
「冗談を言っている場合じゃないわ!」
 自嘲的な笑みを浮かべる山崎を、久美子が目を吊り上げて叱咤する。
 絹代がすがるような目を山崎に向けている。絹代は娘の美沙江よりも、巻き添えになった折原珠江を案じている。もちろん母親として娘が心配でないはずはないが、それを必死で抑えて、病弱な夫を京都に残して山崎を頼ってきたのだ。
(それに比べて俺は……)
 後に引けなくなった、と山崎は感じる。村瀬美紀と千原絹代の依頼を受けて、再び立ち上がるしかない。
「お前の言うとおりだ、久美子。俺は弱気になり過ぎていた」
 山崎は久美子に向かってそう言うと、二人の夫人に向き直る。
「わかりました。出来るだけのことはやりましょう」
 山崎が思い切って答えると、美紀と絹代の顔色はパッと明るくなるのだった。

「とは言ったものの、一人では情報集めだけだも大変だ」
 美紀と絹代が帰った後で、山崎はつぶやく。
「こんな時に京子がいてくれたらな……」
「助手なら一人いるわよ」
 久美子が微笑して手を上げる。
「何を言っているんだ」
 山崎は苦笑して首を振る。
「相手がどんな連中か分かっているのか」
「分かっているわよ。ポルノ写真や秘密映画の販売を生業にしている下劣なやくざでしょう?」
「久美子……」
 山崎は驚いて妹の顔をまじまじと見る。
「女の敵だわ。そんな連中に美津ちゃんまで囚われているのよ。黙っていられないわ。
「危険だ、あの京子まで捕まったんだぞ」
「京子さんが潜入捜査を行っていた葉桜団ってズベ公は、私と同年代なんでしょう? 私の方が情報を集めやすいわ」
 久美子が真剣な表情で山崎を見つめる。京子と美津子とは実の姉妹のように仲が良かった久美子のことだ。今回の件でもじっとしてはいられないのだろう。
 どうせ誰かの手を借りない訳には行かない。確かに久美子は探偵調査については素人である分、慎重になるだろう。
「くれぐれも危険なことはやるな。何をするにも俺に報告してからにしろ」
「それじゃあいいのね?」
「ああ」
「わあ、一度女探偵っていうのをやってみたかったのよ」
 久美子がはしゃいだ声を上げる。
「遊びじゃないんだぞ」
「もちろんわかっているわ、兄さん、いえ、所長」
 久美子が微笑する。
「山崎探偵事務所の復活ね」

10.母親二人(1)

 事務所の応接セットで、山崎は二人の美女と向かい合っている。一人は村瀬宝石店社長夫人、村瀬美紀。もう一人は千原流華道家元夫人、千原絹代である。
 それぞれの娘である村瀬小夜子が22歳、千原美沙江が19歳ということから考えて、いずれも40代にはなっているはずだが、二人とも全くそんな年齢を感じさせない。
 上質のスーツを着こなした美紀は、まるで宝塚のスターを思わせる艶麗な美女であり、一方の和服の似合う絹代はいかにも淑やかな京美人といった趣である。
「どうぞ」
 久美子がお湯を沸かし、紅茶をいれて二人に出す。
「ありがとうございます」
 美紀が礼を言うとカップに口をつける。絹代も同様に紅茶を一口飲むと「おいしですわ」とほほ笑む。
「千原流華道家元夫人にそう言っていただけると光栄ですわ」
 久美子がほほ笑み、その場の空気が少し和む。
「久美子様の腕前ももちろんですが、良い葉を使っておられますわ」
 絹代の言葉に美紀が頷く。
「本当にそうですわ。失礼ですが、山崎先生がお選びになったのですか?」
「いえ――」
 山崎は首を振る。
「助手の京子が選んだものです」
「その方は、今日はいらっしゃらないようですね」
 絹代は改めて事務所の中を見回す。
「ええ、遠山夫人と令嬢の捜査をしている最中に、消息を絶ってしまいました。おそらく誘拐犯の手に落ちたのだと思います」
「京子さんって、ひょっとして野島京子さんのことですか?」
 美紀が山崎に尋ねる。
「ご存じですか?」
「ええ、文夫がお付き合いしていた野島美津子さんというお嬢様のお姉様が、確か京子さんといって探偵助手の仕事をしていると聞いたことがあります。その時は、女性がそんな危ない仕事に就くなんて時代も変わったものだと驚いたのですが」
「文夫さんと美津ちゃんが?」
 山崎は美紀の言葉に驚く。美紀は山崎の反応にいぶかしげな視線を向ける。
「失礼、京子がよく妹のことを話していたものですから、ついその呼び名が身についてしまって」
 山崎は村瀬姉弟の誘拐は当初、静子夫人や桂子とは違い、身の代金目当てのものだと考えていた。実際、一千万円という多額の金を要求して来たことから、誘拐目的の一つがそれであったことは間違いない。犯人たちは身代金の奪取に失敗すると、それをまるで村瀬姉弟の肉体で支払わせようとでもするかのように、二人の卑猥な写真をばらまき始めたのだ。
 それらのうち山崎が入手したものの中には、文夫と美津子がからんでいる物もあった。そこで山崎は村瀬姉弟の誘拐犯と、静子夫人や京子を拉致している犯人が同一のものであることを確認したのだ。
 山崎が分からなかったのは、どうして村瀬姉弟が簡単に誘拐犯の運転する車に乗ったのかである。しかし、文夫と美津子が恋人同士であったなら、それを利用して村瀬姉弟を騙したことも考えられる。
「村瀬社長は、息子さんが美津ちゃん――野島美津子さんとお付き合いしていることを知っていたのですか?」
「いえ、知らなかったと思います」
 美紀は首を振る。
「どうしてですか?」
「美津子さんには両親がいません」
「しかし、とても気立てが良く、素直な良い娘です」
「もちろんわかっております。私も何度かお会いしましたし、小夜子も同じ意見です」
 美紀は頷く。
「しかし村瀬はいつも仕事で忙しく、文夫とあまり話す時間がありません。文夫の気持ちを聞く前に、親がいないということだけで反対する恐れがあります。このままお付き合いが続き二人の気持ちが確かなら、しかるべき時にきちんと話をすれば良いと考えていました。それまでは母親の私と姉の小夜子が承知していれば良いことです」
「失礼ですが村瀬の奥様は……」
「美紀と呼んでいただいて結構です」
 美紀がそう言うと絹代も「私も絹代でかまいませんわ」とほほ笑む。
「そうですか、では失礼して」
 山崎は改めて口を開く。
「美紀さんは、事件のことについてどれだけ聞いておられるのですか?」
「ほとんど何も」
 美紀は首を振る。
「私がどんなに尋ねても、村瀬は詳しいことは一切教えてくれません。村瀬の秘書のものにも聞いたのですが、社長から口止めされていると言って――」
 美紀の表情が愁いに沈む。
「ところが村瀬が日に日にやつれていき、四ツ谷の店もめっきりお客様が減ってしまいました。それで私もとうとう我慢できなくなって、こちらの絹代様をお誘いして、山崎先生をお訪ねすることにしたのです」
「すると、今日ここにいらっしゃったのはご主人には内緒のことですか?」
「はい」
 すると村瀬夫人は小夜子の卑猥な写真が、恋人の内村を始めとする小夜子の友人・知人に送られて来たことも知らないのか。山崎は美紀夫人が意外に落ち着いている理由をそこで初めて知る。
 自分の娘や息子が暴力団の手に落ち、性の奴隷にさせられているのだ。それを知れば母親ならば正気ではいられない。それをおもんばかって村瀬社長は、すべて自分のところで情報を止め、妻には一切知らせないでいるのだろう。
 しかし時が経っても一向に小夜子と文夫は帰って来ないし、夫は相変わらず何も教えてくれない。業を煮やした美紀夫人は何か少しでも子供たちについての情報を知りたいと思い、当初事件の捜査にかかわった自分を訪ねて来たと言う訳か。
「そうすると、本日こちらへいらした目的は――」
「先生から、小夜子と文夫の消息について何でもいいからお聞きしたいということと」
 そこで美紀は真剣な視線を山崎に向ける。
「出来るなら、二人を取り戻してほしいということ、その二つをご依頼するためです」
 山崎は美紀から視線を逸らす。
「ご主人も奥様――美紀さんに何も教えないのでしょう。それならお嬢さんとご子息の消息は中途半端に知らない方が良い」
「どうしてですか?」
「それは――」
 辛くなるだけだ、と言いかけて山崎は口をつぐむ。そんなことを言ったらますます美紀の疑心暗鬼を募るだけだろう。山崎はごまかすように、絹代に視線を移す。
「絹代さんがこちらにいらしたのも、美紀さんと同じ理由ですか?」
「はい」
 絹代は頷く。
「ただ、私の場合は夫の元康が身体が弱く、自分で動くことが出来ませんので、代わりに私が参りました。従ってここに参ったのは元康も了解してのことです」
 絹代はそこでちらと美紀の方を見る。
「元々、発表会などには私が娘の美沙江と一緒に出席するべきなのですが、そういった社交の場は後援会長である折原の奥様――珠江様に代わっていただき、これまで私はずっと元康の看病に専念させていただいていたのです」