耽美画報

アーカイブ: 花と蛇の世界

二 キャラクターの魅力 1.静子-博愛主義のヒロイン

(1)静子夫人のわからなさ  筆者の畏友であるK氏は、「『花と蛇』で一番良くわからないのは、あの静子夫人が実に変な人だということ」と言う。  実際、静子夫人はよくわからない性格の人であるが、このわからないところが実は本作品を支える魅力であったりする。  静子夫人がわからないキャラクターである具体的な点は以下の通りである。 (さらに…)
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一.長寿化の秘密 3.読者参加型でアイデア募集

 奇クという雑誌の性格がそもそも読者参加型であった、というよりも、ほとんどの原稿は投稿で占められていた。著名な『家畜人ヤプー』もそうだし、奇クの隠れた名作である未完の大長編『大噴火』(千葉青鬼氏作)も投稿原稿である。『花と蛇』も奇クの持つこの性格をフルに活用している。  読者参加型の小説としては近年では筒井康隆氏の『朝のガスパール』が有名である。筒井氏の作品は、一方的に小説を消費するだけの存在であ…
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一.長寿化の秘密 2.キャラクターの多様化によりマンネリ回避

 『花と蛇』の主人公は静子夫人であり、静子夫人が日本の官能小説史上有数の魅力的なキャラクターであることは疑う余地はない。しかし、仮に悪漢達に責められるヒロインが静子夫人一人であったら『花と蛇』は足掛け11年にもわたる長寿作品とはならなかったであろう。  『花と蛇』は責められる側だけでも八人の美男美女がおり、これに多種多様なキャラクターを持つ責め手が加わる。責め手と責められる側の組み合わせ、またそれ…
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一 長寿化の秘密 1.抜群の筆力

 『花と蛇』は奇ク誌上だけでも昭和37年から46年まで足掛け10年という、この分野では他に類を見ない長期連載となったが、これには次のような理由が考えられよう。  まず、作者である団鬼六氏の筆力が他の作家に比べ群を抜いていたことである。いまでこそ、この分野を描く作家は百花僚爛の様相があるが、『花と蛇』連載開始当時、団氏と他の作家の筆力には、まるで草野球の試合でいきなりプロのピッチャーが投げ始めたくら…
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はじめに

 SM大衆化の時代である。  NHKの大河ドラマに主演していた女優が緊縛写真を発表する。ボンデージファッションに身を固めた素人の女達が視線を集め、SM雑誌に連載されていた小説が文庫化され、キオスクに並ぶ。 ここ数年でSMは急速に市民権を得るようになった。マドンナのボンデージをテーマにした写真集は女性にも人気があった。レディス・コミック誌は軒並みSM劇画を掲載する。もうシネマジックのビデオを観たり、…
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