38.姉と姉(2)

「み、皆様、いかがですか? お楽しみいただきましたでしょうか――」
京子と小夜子は涙で震える声をそろえてそういうと、深々と頭を下げる。
「私、ただいまショーを演じました野島美津子の姉の京子でございます」
「同じく、村瀬文夫の姉の小夜子でございます。よろしくお引き回しのほど、お願い致します」
ここで朱美の発案により、京子と小夜子は自分たちの妹と弟のショーの感想を語り合うことになる。
「さ、小夜子さん、今の若い二人の実演ショー、凄かったわね。私、身体が熱くなってきて困ったわ」
「そ、そうね、京子さん。素晴らしかったわ。私だって、思わずあそこが濡れてきてしまったわ」
「ま、まあ。エッチな小夜子さんね」
二人の美女は、気が狂いそうな破廉恥な台詞を強制されている。
「小夜子さんの弟さんって裸もきれいだけれど、立派なお、おチンチンをしているのね。大きさも、太さもす、素晴らしいわ。京子、美っちゃんがうらやましくなったわ」
「あ、あら。有り難う。私もあんなに逞しいおチンチンの弟を持って、姉として鼻が高いわ。でも、貴方の妹さんだって素晴らしいおマンコをお持ちじゃない?」
「え、ええ、美津子のおマンコはすごく締まりが良いって評判なのよ。でも、京子のおマンコだって決して妹には負けてないわよ」
「ま、まあ。すごく自信がおありなのね。小夜子だっておマンコ自慢なら負けないわ。あの静子夫人のものにも引けをとらないお道具だといわれているのよ」
「あら、そうなの? じゃ、じゃあ、小夜子さん、京子と勝負するお気持ちはおあり? どっちが良いお道具か、どっちが良い声で泣くか、お客様に決めてもらいましょうよ」
「そ、それは良い考えだわ。文夫や美津子さんには負けていられないものね。姉対姉のおマ○コ勝負といきましょう」
京子と小夜子がそこまで口上を終えると、再び奥座敷の襖が開き、銀子が素っ裸に縄がけをされた美津子を連れて入ってくる。その後から清次、五郎、三郎の三人がぞろぞろと金魚の糞のように連なってくる。
「み、美っちゃん!」
「姉さんっ!」
数日振りの再会を果たした姉妹は、互いに惨めな姿を認めるとわっと泣き出す。銀子は堅く縄がけされた美津子の裸身を京子に近づけ、見せつけるようにする。
「どう? 京子。美津子の裸、めっきり女らしくなったように見えない?」
美津子の肌のあちこちには赤いキスマークが記され、心なしかその裸身は銀子が言う通り処女の堅さが取れ、女らしい丸みを帯びて来ているように思える。京子はあまりの痛ましさにさっと目を逸らす。
「京子が春太郎さんと夏次郎さんに可愛がられてコンビの調教をお休みしている間、美津子はずっと清次さん達に三人がかりで愛されていたのよ」
銀子の言葉に清次達はヘラヘラ笑いながら、京子をからかう。
「じゃじゃ馬の京子姐さんと違って、美津子は素直だからな。今じゃすっかり俺達と仲良しになったぜ」
「俺の身体にしっかりしがみつきながら『ああ、三郎さん、美津子、どうしたらいいの』なんて可愛いことを言うんだから、たまらねえぜ」
「さっきも俺のモノを美味そうにおしゃぶりしながら、すっかり飲み干して来たところさ」
そんな清次達の一言一言に京子は、身体が切り裂かれるよう痛みを覚える。
「あんたの妹はすっかり成長したみたいね。京子も妹に負けないように頑張るのよ」
銀子はそう言いながら京子の耳を引っ張る。
「ちょうどいい。見物人が増えたところで、三々九度の固めの盃といこうじゃないか」
鬼源がそう言うと、朱美が赤ワインのボトルとシェイカー、そしてグラスを二つ取り出して悦子に声をかける。
「悦子、二人のスターのために特製のカクテルを作ってよ」
「えっ?」
魂の抜けたような表情で立っていた悦子は、はっと我に返ったように朱美を見る。
「何をぼおっとしているのよ」
朱美はテーブルの上に、マリが持ち込んだ文夫の白濁が入ったコップと、ワインボトル、そしてグラスを二つ並べて指さす。悦子はうなずくとワインの栓を開け、コップの中に注ぎ込む。
「なんだい、それは」
「文夫の……」
「へえ、そりゃあ傑作だ」
銀子と朱美が小声で言葉をかわし、くすくす笑い合う。
悦子は無言のままその液体をシェイカーの中に入れ、よく混ぜ合わせると二つのワイングラスに注ぎ込む。
「これでいいけど……もっと愛想よくしなさいよ。悦子だってショーに出演する可能性はあるのよ。ちっとは義子を見習いな」
「すみません」
銀子と朱美はそれぞれワイングラスを一つづつ手に取ると、京子と小夜子に近寄る。
「悦子、相変わらず元気がないわね。静子夫人が人工授精を受けてからずっとあんな風だわ」
「よっぽど静子夫人に惚れてたんやな」
マリと義子が小声でそんなことを話し合っている。
「このワインの中には、文夫がさっき出したばかりの精液が入っているのよ」
朱美の言葉に京子と小夜子の顔色がさっと変わる。
「お、弟はどうしているのですか」
「文夫がどうしているか? 本当に知りたい?」
朱美は不気味な笑みを浮かべながら小夜子に尋ねる。小夜子は何かおぞましい気配を感じながらも、文夫に対する心配がそれを上回り、こくりと頷く。
「あんたの夫の津村義雄さんと浮気の真っ最中よ。これは津村さんにお尻を可愛がられながら文夫がしたたらせたものよ」
「な、何ですって」
小夜子の美貌が怖いほどひきつる。
「要するに、小夜子と文夫は姉弟そろって、津村さんに処女を捧げたって訳よ」
朱美の言葉を聞いた美津子も、声にならない悲鳴を上げ、奥座敷の床の上に崩れ落ちる。
「そんなことで驚くのはまだ早いわよ。今夜は津村さんは、春太郎と夏次郎も交えて3人がかりで文夫にホモの悦びを徹底的にたたき込むつもりらしいわ。あんまり張り切り過ぎて、文夫が女を抱けない身体にならいように念を押したのだけど、成り行き次第ではどうなるか分からないわね」
「そ、そんな……」
小夜子は力無く首を振る。
「お願いです。そ、そんな恐ろしいことはやめてください。そんなことをされたら、弟は気が、気が狂ってしまいます」
「あら、弟さんの方はまんざらじゃなかったみたいだわよ。津村さんと熱いキッスを交わしながらびっくりするほどたくさん噴き出したのよ」
「そやな、意外と文夫もホモの気があったんと違うか。あれはどうみても嫌がっているというような雰囲気やなかったで」
マリと義子が口々にからかいの声を浴びせると、竹田と堀川、そして美津子を連れて来た清次、三郎、五郎といった若いチンピラたちがいっせいに笑声をあげる。
「お願いです、朱美さん。弟を――文夫さんをこれ以上惨い目に合わせるのはやめて」

37.姉と姉(1)

 津村の部屋を出た義子とマリは、廊下を渡って奥座敷へと向かう。
襖を開くと、さきほどの男同士の愛欲の部屋とはまた違った、むっとするような女の汗の臭いが立ち込めているのが分かる。
関西の大物やくざ、岩崎大五郎を迎えて開催される次回の秘密ショーの主要な出し物である、京子と小夜子によるレズビアンショーの調教が開始されていたのである。
23歳の京子と22歳の小夜子は、共に成熟した素っ裸を厳しく緊縛されて奥座敷の中央に向かい合って立たされている。二人の裸身は天井に取り付けられた滑車から垂らされている縄で固定されている。
それを取り囲むようにしているのは調教師の鬼源、朱美と悦子、そしてチンピラの竹田と堀川の五人である。葉桜団の首領である銀子の姿はなぜかその場には見当たらなかった。
京子はショーの手順を念を押すように繰り返す鬼源の言葉に哀しげな表情で頷きながら、隣の小夜子の方をちらと見る。
京子は、今夜この奥座敷で出会うまで村瀬小夜子とは面識がなかった。妹の美津子のボーイフレンドであり、小夜子の弟である文夫とは会ったことがあるものの、小夜子については「文夫さんには凄く奇麗なお姉さんがいる」ということを美津子から聞いて知っていたに過ぎない。
文夫自身がギリシア彫刻を連想させる美少年だが、小夜子もまた弟に良く似た容貌の、均整の取れた肉体をもつ素晴らしい美女であることに京子は驚いた。
「京子は小夜子とは初対面だったかな」
ショーの口上の言葉を言い含めた鬼源が京子に声をかける。
「京子の妹と小夜子の弟は、お互い息のぴったり合った実演コンビだったんだから、姉同士も仲良くなってくれないと困るぜ」
鬼源がたくましいばかりに張り出した京子のヒップと、桃のように形の良い小夜子のヒップをパシンと叩いて言う。
「京子も小夜子も静子夫人とはレズビアンのプレイを演じたことがあるでしょう」
朱美の言葉に京子と小夜子は同時に、はっと顔を上げた。
京子は静子夫人の救出を目的として森田組に潜入して失敗し、捕らえられてすぐ、静子夫人とレズビアンのコンビを組まされたことがある。
女学生のころから男勝りであった京子は、同性から告白を受けることも多かった。しかしながら京子はそんな少女小説のような恋人ごっこにはまったく興味を持てなかった。
しかしながら京子は静子夫人の類い稀なる美貌と優しさ、そしてその吸い付くような柔肌の魅力に心を奪われたのだ。
あの頃の地獄のような日々の中での唯一の救いが、強制されたこととはいえ、静子夫人との一時の同性愛プレイに我を忘れておぼれることだった。
小夜子も同様に、かねてから憧憬の思いを抱いていた、日本舞踊の師匠でもある静子夫人によって甘いレズの調教を受け、夫人のことを自ら進んで「おねえさま」と呼ぶまでになっている。今や静子は小夜子にとって、恋人の内村以上に心を占める存在だった。
「お二人は静子夫人をはさんで恋敵、いえ、竿姉妹とでもいうべきかしら」
朱美が面白そうに笑うと、京子と小夜子は頬を染めてうつむく。
「でも、これからはそんなお二人が仲の良い同性愛の恋人になってもらわないと困るわ」
京子は羞恥と屈辱に身を震わせる。互いに清純な思いを抱きあった男女の姉と姉を、爛れた同性愛の恋人同士にする。ごく自然で正常な人間関係を変質的なものに転換させようという悪趣味。ああ、いつまで自分たちは悪魔の思い付きや気まぐれに翻弄されなければならないのか。
「し、静子お姉様は今、どうなさっているのですか」
小夜子が意を決したように顔をあげて尋ねる。
「静子お姉様? ああ、静子夫人ならめでたく人工授精が成功し、今は安定期に入るまで休息を取っているわ」
「えっ」
京子が驚きの声をあげる。
「あら、京子には言ってなかったかしら?」
朱美がとぼけたような声を出す。
「そういえば京子はここのところずっと、美津子とのレズの調教以外は春太郎と夏次郎の二人と部屋に籠りっぱなしだったわね。静子夫人はかねてからのご希望どおり、人工授精の手術をお受けになったのよ」
あまりのことに京子は顔を引きつらせる。
「医者の山内先生が横須賀あたりでたむろしている不良外人の子種を静子夫人に植え付けてくれたのよ。とびきりハンサムな男のものを選んでくれたそうだから、十月十日後にどんな赤ちゃんが産まれるか、今から楽しみだわ」
朱美はそう言うとケラケラ笑い出す。
「京子も希望するのなら手術を受けさせてあげるわよ。このままじゃあの気持ち悪いシスターボーイの子供を孕んじゃうわよ」
「おいおい、気持ち悪いってのは言い過ぎだ」
鬼源が苦笑しながら朱美をたしなめる。
「それに静子夫人に続いて京子まで妊娠してしまうと、ショーがもたねえ。せめて珠江が使えるようになるまで待ってもらわないとな」
「あら、残念ね。子供でも産ませると多少は京子も女らしくなるんじゃないかと思ったんだけど」
どこまで本気なのか、朱美はニヤニヤ笑いながら京子の顔をじっと見つめる。
「あら、義子とマリじゃない」
扉の近くで義子とマリがぼんやり立っているのを見た朱美は、二人に声をかける。
「そんなところに突っ立っていないで、入っておいでよ」
「へへ、すんまへん」
義子とマリは笑いながら奥座敷の中央に進み出る。
「調教の手が足りないんじゃないかと思ってね」
「確かに忙しいけれど、今日はあんたたちも外で商売して来たんだろう?」
「へえ、そのことでちょっと相談したいこともあるんですが」
「それなら、この調教が終われば銀子姐さんを含め、五人そろって手が空くからその時に話そう」
朱美は暗い表情をして部屋の隅のあたりに立っている悦子の方をちらと見る。
「ところでその、手に持っているものはなんだ?」
「ああ」
マリは笑いながら、小声で鬼源に説明する。
「そいつは傑作だ。早速この後の調教に使わせてもらうぜ」
鬼源はマリの持ったコップを受け取ると、朱美に手渡す。
「二人は疲れているところ悪いが、竹田と堀川と一緒にショーの見物人役をやってくんな」
「そのつもりだよ」
義子とマリはそう言うと、奥座敷の隅にある空の木箱を引き寄せ、椅子代わりにして座り込む。
「さ、早速お稽古を始めるぜ。二人とももうベテランなんだから、いまさらモジモジしてちゃあ駄目だ」
鬼源に声をかけられた京子はピンク、小夜子はオレンジの扇情的なバタフライを身につけ、座敷の奥に設けられた仮設の舞台に立っている。調教は今し方美津子と文夫のコンビによる白黒ショーが終わった後という設定である。
「さ、小夜子さん、いいわね。もう恥ずかしがっていてもどうしようもないわ」
「わ、わかっています。京子さん」
京子と小夜子は互いの覚悟を確かめるかのようにそう声を掛け合うと同時に顔を前に向け、鬼源から教え込まれた屈辱的な台詞を述べはじめる。

36.美少年散華(2)

「他の女奴隷たちはどうしているんだい」
「珠江夫人は川田さんと吉沢さんから二人掛かりで、娼婦の手管を叩き込まれているわ。今夜また徹夜で調教らしいわ。週末に岩崎親分がやってくるから、静子の代わりに相手をさせるんだって」
「美沙江は今夜、岩崎親分の弟の時造さんに水揚げされることが決まったから、桂子からその時の作法を教え込まれているみたいや。友子と直江がついてるけどあの二人はそっちの経験は少ないからあまり役にたたん」
 義子とマリが顔を見合わせて笑い合う。
「千原流華道家元の令嬢と、前科六犯のやくざとは傑作な組み合わせだな」
 岩崎とは親密な関係にある津村がさも楽しげに笑う。
「文夫君、聞いたかい? 君のお姉さんをはじめ、他の女奴隷たちはそれぞれ森田組のために汗水垂らして頑張っているんだ。君も負けてはいられないよ」
 津村はニヤリと笑みを浮かべると、文夫への攻勢を強める。すると文夫はそんな津村と呼吸を合わせるように、津村の剛直を受け入れた筋肉を微妙に収縮させるのだ。
「文夫君、口を吸ってやろう。こっちを向くんだ」
 文夫は津村に求められると、背後から菊の蕾に肉棒を突き立て押して出る津村の方に上気した顔面をねじって、唇と唇をぴったり重ね合わせ、甘えかかるように舌を吸わせる。すると見物している義子とマリはキャーと嬌声を張り上げるのだ。
「どうだ、文夫君、良い気分だろう」
 すっかり没我の境地に入っているのか、義子とマリのからかいの声も耳に入らなくなっている文夫は津村が囁きかける言葉に頷きながら、せっぱ詰まった声を張り上げるのだ。
「よ、義雄さん、文夫は義雄さんのものですっ」
「そうかい、可愛い奴だ。じゃあ、これからは僕のいうことは何でも聞くんだよ」
「は、はいっ」
 文夫はもう耐え切れなくなったのか、断末魔のうめきをもらしながらあせばんだ首筋を大きくのけぞらせる。
「義雄さんっ、ぼ、僕、もう――」
「いきそうなのか?」
 文夫は頬を赤く染めてこっくりとうなずく。
「もう少し我慢するんだ。僕と呼吸を合わせるんだ」
 そう囁かれた文夫は津村を追い上げようとするのか、限界まできた激烈な快美感に耐えながら激しく腰をうねり回せる。そんな文夫の様子を見ていたマリは、何かを思いついたのかコップの酒をぐいと飲み干し、津村に声をかける。
「ねえ、津村さん。このお坊ちゃま、もういきそうになっているでしょう? 精液をもらっていっていいかしら?」
「いいけど、何に使うんだい」
「それは後のお楽しみよ」
 マリはニヤニヤ笑いながら文夫の側に近寄る。
「マリ、あんた、何かえげつないことを考えているのと違うか?」
「へへ、わかった?」
 文夫の肛門は自然に収縮し、深く押し入って来る津村を激しく締め上げる。
「おおっ。お姉さんのあそこと同じく、文夫君の尻の穴もなかなかの名器だな」
 津村はうめくようにいうと、文夫の耳元にさ、いくぞと囁く。文夫はせっぱ詰まったような表情でうなずき、津村が再び唇を求めてきたのに応え、少女のように赤い唇を津村の分厚い唇にぴったりと合わせる。
 それを合図にしたかのように、文夫の肉棒の先端から白濁が噴き上がる。
「あっ、駄目よ。ちゃんとコップの中に入れなくちゃ」
 マリは慌ててコップをあてがうと、文夫の迸りをその中に注ぎ込む。
「うっ、ううっ……」
 文夫は津村に舌を抜き取らんばかりに吸い上げられ、激烈な快感に身を震わせながら熱い樹液をしたたらせる。粘っこい文夫の生き血がコップの中に溜まっていくのを、義子とマリはさも楽しげに眺めている。
 ようやく発作が収まり、文夫は津村と糸を引くように濃厚な接吻を終えると、とろんとした目を前に向ける。
「ほら、お坊ちゃん、あんた、津村さんに抱かれてこんなにたくさん噴き出したのよ。わかる?」
 マリがグラスの中に白く溜まった精液を文夫に見せつけるようにする。
「よっぽど気持ち良かったみたいやな、あんた、元々こんな風に男に抱かれるのが好きやったんと違うか?」
 義子のからかいに文夫は少女のように頬を染めて俯く。そんなことはあり得ないと否定したいのだが、たった今津村との変質的な行為に溺れ、義子とマリの見ている前で我を忘れて、快楽の極致を極めたのは事実なのだ。
「照れなくていいのよ、お坊ちゃんもこういったことを楽しめるようになった方が、ここの生活が辛くなくていいわよ」
 マリはそう言うと義子に目配せして立ち上がる。
「ねえ、津村さん。最後に二人で熱烈な接吻をしてみせてよ。記念写真を撮ってあげるわ」
 義子はそう言うとカバンの中からカメラを取り出す。
「いいけど、何に使うんだい」
「森田組の商品の中に、ホモの趣味がある人のためのものを入れた方がいいかどうか、試して見たいのよ」
「僕の顔が写らないようにしてくれよ」
「わかってるわ」
 義子がいまだ津村に貫かれたままの文夫にカメラを向ける。
「どうせならオチンチンを立ててみてよ」
「そう言われても、文夫君はさっき出したばかりだからな」
 それでも津村はいまだ硬さを保っている肉棒で、文夫の狭隘な菊の箇所をゆっくりと責め立てる。同時に片手を文夫の若茎に回し、緩やかにしごき立てる。
 すると文夫は、快感の残り火がふとした弾みで燃え上がったかのように「あっ、あっ」と切なげな声をあげながら、優美な裸身をゆるやかに悶えさせる。
 それと共に精を放ったばかりの文夫の肉棒が再び雄々しいまでに硬化してきたので、義子とマリは喚声をあげる。
「すごいわ。やっぱり若いって違うわね」
「もう大きくなったやないか」
 義子は文夫の裸身に向けて何度もシャッターを切る。最初のうちはレンズを避けるように身を捩らせていた文夫だったが、やがて諦めたように虚ろな表情を前に向け、言語に絶する卑猥な痴態をカメラの中に収められて行くのだ。
「そこで、熱烈なキス!」
 義子が声をかけると津村は文夫をぐいと抱き寄せ、顔を捩らせるように文夫に接吻する。津村に舌を吸われている文夫の若茎ははっきりと屹立を見せ、まるで行き場を求めるかのようにフルフルと震えているのだ。
「これなら大丈夫や、十分売り物になるわ」
 義子は文夫の言語に絶する破廉恥な姿をたっぷりとカメラに収めると、そう言って笑うのだった。

35.美少年散華(1)

 田代屋敷の二階、津村義雄に割り当てられた部屋では、裸の男同士の異様な愛欲図が繰り広げられていた。
 ベッドに腰掛けた津村の上に膝を割って抱き取られているのは村瀬文夫である。なんと文夫は狭溢な菊座を津村の怒張した肉棒によって陵辱されているのだった。
「僕はこのベッドで君の姉さんの小夜子の処女を奪ったんだよ。姉と弟、両方の処女を奪った男は世間広しといえども僕くらいかもしれないね」
 津村は満足そうにそういってクスクス笑いながら文夫の緊縛された裸身を抱き取ると、片手を前にまわし文夫の肉棒をさすりあげる。
「ううっ!」
 文夫はさも苦しげに眉をしかめるが、その表情とは裏腹に津村にいたぶられる肉棒はくっきりと静脈を浮き立たせながら、隆々と屹立を見せている。包皮を弾かせたその先端の鈴口からは、先走りの液がだらだらと流れ始めているのだ。
「ほう、もうこんなになっているじゃないか」
 津村はわざと驚いたような声を上げ、耳元に囁きかける。
「文夫君、君も意外とこんなことが嫌いじゃないみたいだね。高校の先輩にときどきお尻を貸して上げていたんじゃないのかい」
 津村の意地悪いからかいに、文夫は赤らめた顔をまるで嫌々をするように左右に振る。姉の小夜子にそっくりの美少年のそういった風情は、まるで少女が恥じらっているような清冽な色気が匂ってくるのだ。
「ふふ……そうだったね、ごめんごめん。文夫君にとっては僕が始めての男だったよね。処女じゃないんじゃないかなんて疑って悪かったね」
 津村はそういうと文夫の滑らかなうなじに接吻を降り注ぎ、大きく膨らんだ肉塊を優しくさすり上げる。すると文夫は再びああっと切なげな悲鳴を上げるのだ。
「さあ、ぼやっとしていないでケツを振るんだ」
 津村が文夫の引き締まった双臀をパシンと叩くと、文夫はこっくりとうなずいて、津村の上に乗せ上げた腰をくなくなとうねらせる。可憐さまで感じさせるその仕草が姉の小夜子に似ているようで、津村はまるで美しい姉と弟を同時に凌辱しているような気分になるのだ。
(これで俺の村瀬宝石店に対する復讐は完結した)
 少しばかりの宝石を横領しただけで馘首にしやがって。それまでの自分の会社に対する貢献を考えれば、その程度のことは何程のことではないではないか。
「刑事事件にしないことがせめてもの情けだと思え」
 津村は自分に対してそう言い放った、かつての雇い主である村瀬宝石店社長、村瀬善吉の厳格な顔つきを思い出す。
(これからは、あの村瀬善吉が目の中に入れても痛くないほど可愛がっていたこの姉弟を使って、徹底的に稼いでやる。ざまを見やがれ)
 そう考えた津村は急に凶暴な発作が込み上げ、文夫の尻をずんと突き上げる。すると文夫は「ああっ」と悲鳴に似た声を上げながらも、まるで津村のそんな激情を受け止めるかのように柔美に腰をくねらせるのだ。
 最初津村が自分の双臀を割って侵入してきたときの火箸で肉体を貫かれるような激痛はかなりやわらぎ、今はその部分が妖しく痺れるような感覚に変わってきている。
 文夫はこの地獄屋敷にとらわれてから数々の汚辱の行為を強制されてきたが、同性の肉を受け入れるなど極めつけといって良い。しかしその屈辱感が、隠微な蕾に加えられる淫らな刺激とあいまって、文夫の頭はすっかり痺れきっている。
「どう、津村さん、調子は?」
 いきなり寝室の扉が開かれ、葉桜団の義子とマリが入ってきた。
「ひゃー。お坊ちゃん、とうとうオカマを掘られたわけやね」
 義子が素っ頓狂な声を出すと、文夫は、はっと腰の動きを止め、津村の身体の上から逃れようと必死でもがく。
「こらっ。見物人がいるからって慌てるんじゃない」
 津村は膝の上で美悶える文夫の尻を平手打ちする。
「お前はもう実演ポルノのスターなんだぞっ」
「そうよ、文夫さん」
 マリが嘲笑する。
「貴方のお姉さんの小夜子なんか、大勢の人が見ている前で、静子夫人と堂々とレズビアンを演じたのよ。弟の貴方が人前で男とセックスできなくてどうするの」
「そや。男の子らしく堂々とケツをふらんかいっ」
 義子はそういうと、文夫の頭を押さえつけるようにしてぐいぐいと力を入れる。
「鬼源さんはそのケのあるお客ばかりたくさん集めて、実演ホモショーを企画してるんやで。姉の小夜子や恋人の美津子ばっかりショーに出させんと、自分もしっかり森田組のために稼がんかいっ」
 文夫は義子にそう決め付けられると、一切をあきらめたように、津村に抱きとめられた双臀を再びゆるやかに動かせはじめる。
「そうそう、その調子よ」
 マリはそう言うと、義子と顔を見合わせて笑いこける。
「これはええ見物やわ」
「文夫のこの雄姿、お姉さまにもぜひ見せてあげたいわね」
 義子とマリは部屋の隅にあった一升瓶を引き寄せて棚からコップを取り出すと、男たちのそんな愛欲図を酒の肴にしながら、腰を据えて飲み直し始める。冗談ではなく、二人のズベ公がサクラとなって、文夫がショーでホモショーを演じるための予行演習をしようというのだ。
「ところで、今日はもう商売は終わったのかい」
「写真も映画も以前よりさらに勢いがよくなっているから、あっという間に売り切れたわ」
 マリは笑いながらコップの酒をぐいとあおる。
「そういえば、お坊ちゃんと美津子の実演写真もなかなか評判がええで」
 義子もからかうようにそう言うと、文夫の顔を覗き込むようにする。
「あー、このお坊ちゃん、ちょっと苦しそうに眉をしかめたとこなんか、たまらん色っぽさや」
「どれどれ」
 マリもまた文夫の端正な美貌を覗き込み、溜め息に似た声を上げる。
「ほんと、まるで歌舞伎の女形みたいね」
「こりゃ、この手の趣味のある客には馬鹿うけするに違いないわ」
 文夫は不良少女たちのそんなからかいを受け、さも恥ずかしげに顔を左右に振っていたが、やがて官能の高まりとともに、義子とマリに見物されていることなど、すっかり気にならなくなったかのように、津村との倒錯的な性愛に没入していく。
「そういえば、文夫君と実演ショーのコンビを組まされているはずの小夜子は今どうしているんだい」
 津村が文雄を突きあげながらそう尋ねると、マリが、
「鬼源さんが銀子姐さんや朱美姐さんと一緒に、京子とレズビアンの調教を受けさせているはずよ」
「ほう、弟とからまされたり、その恋人の姉とコンビを組まされたり、小夜子もなかなか忙しいな」
「静子夫人が安定期に入るまで他の奴隷で穴埋めをせなあかんから、鬼源さんも真剣や」
「京子と小夜子のプレイは普通のレズじゃつまらないから、一味違ったものにするって鬼源さんが張り切っていたわ。あたいたちも後で覗いてみるつもりだけど」

34.人間花器(2)

「どうしたの、奥様。急に黙り込んじゃって」
 順子がからかうように声をかける。
「おおかたご主人のあそこを、チンピラ部屋で経験した若い男たちと比べていたんじゃないの?」
 順子の言葉に珠江ははっとした表情になる。
「あらあら、適当に言ってみたんだけど、図星だったようね。奥様ったら、お上品そうな顔をして案外隅に置けないわね」
 順子はそう言うと、友子と直江と声を上げて笑い合う。
「よほど若い男たちにはめられるのが気持ち良かったみたいやな」
「三日三晩、女一人で何人もの男を相手にするなんてなかなか出来ることやないで。そう考えるとなんや、うらやましい気持ちにもなるな」
 あまりの屈辱に、珠江の目尻から一筋の涙が伝い落ちる。
「あらあら、ちょっとからかいすぎたかしら。ごめんなさいね、奥様」
 順子は突然気味の悪い猫撫で声を出すと、珠江の頬を伝う涙をハンカチで拭い取る。
「でも奥様にはそろそろ覚悟を決めてもらわなければならないわ。いつまでもご主人のことを思い出してメソメソしていては駄目よ。これからは奥様は森田組の奴隷になるとともに、湖月流華道の人間花器になってもらわなければならないんだから」
 順子の言う「人間花器」というおぞましい言葉に、珠江は思わず裸身をぶるっと震わせる。
「お、お願い、順子さん」
「なんなの、奥様」
「私、順子さんのおっしゃるその人間花器というものに喜んでなりますわ。で、ですからお嬢様には手を出さないで欲しいのです」
「自分の身をお嬢様の純潔と引き換えにしようというの?」
 珠江はすすり上げながら、こくりとうなずく。
「良い心掛けだわ。感心したわ。奥様がそういう気持ちになってくれるのなら、お嬢様には指一本触れないようにするわ」
「ほ、本当ですか?」
「本当よ。いくら何でも千原流華道の家元令嬢を人間花器にするなんて恐れ多いこと、私にだって出来ないわ」
 順子はニヤリと笑うと、珠江の肩を抱くようにする。
「その代わり奥様は心から私に屈服するのよ。反抗は絶対に許さないわ。少しでも逆らったら約束違反と見なして、千原美沙江は奥様と同じ道をたどってもらう。すなわち三日三晩の間チンピラたちのなぶりものにしたあげく。湖月流華道の人間花器とする」
「ああ……」
 順子の言葉に底知れぬ恐怖を感じたのか、珠江夫人は思わず小さく悲鳴を上げる。
「わ、わかりました。絶対に反抗は致しませんわ。ですから、お嬢様だけは……」
「奥様がそこまで誓うなら、私の方も女に二言はないわ」
 順子はそう言いながら心の中でペロリと舌を出す。
 珠江夫人が守ろうとしている美沙江は今夜、関西の身内一千人といわれる暴力団の大親分、岩崎大五郎の弟、時造に水揚げされることになっているのだ。
 そうと知らない珠江はひたすら美沙江の無事を祈り、自らを犠牲にしようとしているのだ。そんな珠江夫人の心情をたまらなく滑稽に感じた順子は、吹き出しそうになるのを堪えながら声をかける。
「それじゃあ早速、調教を始めるわよ」

 千原流華道の後援会長であった折原珠江夫人は、大塚順子が率いる前衛華道「湖月流」に延々と敵対してきたという罪を償うため、ついに湖月流の花器としての調教を受けることになった。
 順子は美沙江のお付き女中であった友子や直江とともに、珠江の身体に見事な華を咲かせていく。
「いかが、奥さま? 湖月流華道の人間花器にされた感想は? どう、幸せ?」
「……え、ええ、幸せですわ。女の肉体を使って花を生けることが出来るなんて、華道を志すものとしてこんな悦びがあるなんて思ってもいませんでしたわ」
 珠江は唇を震わせて、強制された言葉を口にする。その汚辱の言葉はあらかじめ何度も練習させられているため、珠江の意思に反してスラスラと口をついてくるのだ。
「千原流華道とくらべていかが、湖月流の方がずっと素晴らしいでしょ?」
「………」
 流石に口をつぐむ珠江に、苛立った様子で友子が珠江の柔らかい太腿をつねりあげる。
「――こ、湖月流の方が、ず、ずっと素晴らしいですわっ」
 順子と直江、友子の3人は顔を見合わせてどっと笑い合う。珠江夫人は口惜しさに耐え兼ねたのか、ブルッと腰部をふるわせる。その豊満な臀部を順子はパシリと叩く。
「ほらほら、そんなにお尻を振っちゃあ、折角生けた花が落ちるじゃない。さあ、今度はお尻の方よ。春太郎さんと夏次郎さんに多少は広げられたんでしょう? こちらの穴も使えば随分、発想を広げた作品が出来るわ」
 順子はそう言うと、新たな花を手に取り、夫人のたくましいばかりに豊かな双臀に取り付くようにする。

「さあ、出来たわ」
 長い時間をかけて淫靡な生け花がようやく完成し、大塚順子は満足げに腰を上げた。
「まあ、傑作ね」
「さすがは先生やわ」
 直江と友子が手を叩いて笑い出す。
 中腰の姿勢を強制されている珠江夫人の秘唇には赤い薔薇とエニシダが生けられ、その上方の菊花には2本の白リンドウが深々と差し込まれている。
 珠江夫人を千原流華道家元の美沙江とともに地獄に突き落とした張本人、湖月流華道の総帥、大塚順子の手によって夫人は人間花器に仕立て上げられたのだ。
「でも、この奥さん、本当に綺麗な身体をしてるわ」
 シクシクと口惜しげにすすり泣いている珠江夫人を、同性愛の気がある直江と友子はうっとりとした表情で見つめている。夫人の30を過ぎたとは思えない艶やかな白い肌に、赤い薔薇と白リンドウが見事に映えている。
「そうね、まさに人間花器になるために生まれてきたような女だわ」
 順子はそういってせせら笑うと、美沙江の元女中二人に「そこの姿見を持ってきて頂戴」と指示する。
 直江と友子は、部屋の隅にあった大きな鏡を持ってくると、珠江の前の壁に立てかける。
「そら、奥さん。自分の姿をよく見るんや」
 直江が珠江の顎に手をかけ、鏡の方に向ける。珠江は姿見に映った自分の惨めな姿態を見て、あっと小さな声を上げて顔を伏せる。
「どうしたの、奥様。よく自分の姿を見るのよ」
「ゆ、許してください……」
 珠江夫人は気弱な声を上げて嫌々と首を振る。
「こんな惨めな姿を見せないで……お願い」
「甘ったれるんじゃないわよ」
 友子は珠江の形の良い思い切り鼻をつまみ上げる。
「そんな我儘をいうのは、まだ心から大塚先生に屈服していない証拠やないか。しっかりその自分の恥ずかしい姿を見るんや」
 珠江は鼻をねじられる激痛に耐えかねて、鏡に目を向ける。
「ああ──」
 なんという惨めな、恥ずかしい姿だろうか。女の二つの羞恥の部分が、花を生けられたため誇張され、ただの素っ裸よりもはるかに卑猥な趣を見せているではないか。
 人間花器とはよくいったものだ。今の珠江夫人は人間以下の獣ともいえない。花を生けるための肉の器にすぎないのだ。
「その格好のまま、湖月流華道、万歳を三唱するのよ」
 順子の命令に珠江夫人は口惜しげに唇を噛み、下を向く。
「どうしたの、早く言わないと美沙江もあなたと並べて人間花器にしてしまうわよ」
「そ、それだけは……許して」
「なら早く言うのよ」
 珠江夫人はもうどうしようもない、といった風に顔を上げ、「こ、湖月流華道、万歳」と口に出す。
「声が小さいわよ。もっと大きく」
「こ、湖月流華道、万歳」
「もっと大声で!」
「湖月流華道、万歳!」
 珠江夫人は自棄になったようにそういうと、さすがに胸を突き上げるような口惜しさがこみ上げ、わっと号泣する。
「今日はこれから半日、そうやって花を支えているのよ。落としたらたっぷりお仕置きするからね」
 順子は羞恥と屈辱にすすり上げ、小刻みに肩を震わせている珠江夫人にそう言い放つと、直江と友子と笑いあいながら部屋を後にした。