アーカイブ: 11月, 2018

新花と蛇

154.一網打尽(2)

 久美子は知らなかったがストックホルム症候群という言葉がある。誘拐・監禁されている被害者が、犯人に対して次第に同調して行くというものである。かつて新聞王で知られたハースト財閥の令嬢、パトリシア・ハーストが過激派に誘拐されて、後に自ら犯人のグループに身を投じ、銀行強盗まで働いたというのがこの典型であるが、桂子はまさにこのストックホルム症候群に陥っていたのである。  そんな久美子の焦燥をよそに、車から…
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新花と蛇

153.一網打尽(1)

 田代屋敷から車で30分あまり西に走ったY県との県境、国道から二筋折れたところに数年前から放棄された自動車修理工場があった。  工場は懇意にしている金融業者の抵当に入っていたのを田代が一時的に借りたものである。  その工場の門の前に下着姿の久美子がぽつんと立ちすくんでいる。  久美子のやや後方にはやはり下着姿の桂子が立っている。そして工場の中には川田、吉沢、井上、そして竹田や堀川他のチンピラたち、…
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新花と蛇

152.懊悩の限界(14)

「そのままで金の鈴を滑らせて、奥様のマンコに飲み込ませるんだ」  朱美が淫靡な声音で美津子の耳元に囁く。美津子はそんな朱美の声に操られるように指先で金の鈴を摘まみ、位置を調整するようにする。  美津子が鈴を動かすと、美紀夫人の女の箇所はそれを待ち受けていたかのように鈴を包み込み、見る見るうちに呑み込んでいく。そのまるで食虫植物のような夫人の肉の動きに、美津子は一瞬茫然とする。 「おやおや、奥様った…
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151.懊悩の限界(13)

「だけどまあ義子の言う通りだよ。ここにいる小夜子も文夫も、京子も、それに静子夫人や珠江夫人も後ろの穴は立派に使えるようになっているのさ。奥様と一緒に捕まった絹代夫人や久美子に対しても、そこんところの調教は始まっているんだよ。二日後、岩崎親分たちの前で糸通しを立派に演じるためにも少しほぐしておかないとね」 「ああ、そ、そんな……」  そんな風に朱美に決めつけられた美紀夫人は切羽詰まったような表情にな…
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新花と蛇

150.懊悩の限界(12)

「そ、そんなことをさせられては私、い、生きていることは出来ませんわ」  美紀夫人が朱美の恐ろしい言葉に顔を真っ青にして震え始めると、義子が「おおげさなことを言うんやないで」と笑う。 「小夜子なんか大勢の客の前で静子夫人とレズビアンの契りを結んだだけやなくて、夫人と二人並んで立ち小便まで演じたんやで。それに比べたら鈴縄踊りや糸通しくらい、どうってことはないやろ」 「そうよ、文夫だってそこにいる美津子…
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