アーカイブ: 2019

新花と蛇

266.晒しもの(3)

「そ、そうおっしゃられても……」  美紀夫人は恨めしげに銀子を見る。 「お客様がそうするもしないも、お客様の自由ですから」 「何を言っているのよ」  銀子は美紀夫人の髪の毛を掴むと、ゴシゴシとしごき上げる。 「お客様がその気にならないのなら、その気にさせるのがあんたの役割でしょう」 「や、やめて……」  美紀夫人は髪を引き抜かれそうな苦痛に悲鳴を上げる。  朱美もまた絹代夫人の耳をぐいぐい引っ張り…
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新花と蛇

265.晒しもの(2)

「ところで、糸通しって何なの?」 「何でも金属製の編み針のようなものを使って、凧糸を少しずつケツの穴に沈め込む遊びらしい」 「まあ」  町子はさもおかしそうに笑い出す。 「聞いているだけでお尻の辺りがむずむずしてきたわ」  町子の言葉に岡田や関口、そして石田といった男たちも噴き出す。 「それで、十分呑み込ませたら尻振り踊りをさせるって訳だ。ケツからはみ出した糸がブンブン振られて、なかなか見応えのあ…
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小説

264.晒しもの(1)

 第一部のショーが終了した後、岡田は関口や石田とともにホームバーに戻り、酒を飲んでいた。  バーの中央には美紀夫人と絹代夫人が、褌一丁のみを許された裸の姿で、まるでオブジェのように並んで立たされている。  二人の前には小さな立て札が置かれ、そこには墨で黒々と「お触り自由」と記されている。  熊沢組や南原組、また岩崎一家の身内たちの何人かも思い思いにカウンターやボックス席に陣取り、二人の美しい人妻の…
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小説

263.男と男(3)

「そんなものかしら」  町子は首を捻る。 「町子さんでしたっけ。仰るようなことはこっちも考えました」  銀子が口を挟む。 「あたしだって無闇に誘拐している訳じゃありませんわ。でも、この山崎探偵をこのまま放置する危険より、こうやって捕らえてしまう危険の方がより少ない。今回はそう判断した上でのことなのです」  そう言うと銀子はつかつかと山崎に近寄り、顎に手をかけてぐいと顔を持ち上げる。 「遠山の爺は死…
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小説

262.男と男(2)

「だってあんな色っぽい格好でやってくるんだもの。押し倒したくなるのも無理はないでしょう」  和枝はそう言って一同を笑わせる。友子や直江までが客の女たちに混じって笑っているのを見た義子が顔をしかめる。 「あいつら、何を考えてるんや。ここは止める立場やろ」 「後でゆっくりヤキを入れてやりゃあいいよ。それより進行役を頼むよ」  銀子の言葉に義子は頷くと片手に鞭代わりの青竹の棒を持ち、一歩前に出る。 「お…
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