35.美少年散華(1)

 田代屋敷の二階、津村義雄に割り当てられた部屋では、裸の男同士の異様な愛欲図が繰り広げられていた。
 ベッドに腰掛けた津村の上に膝を割って抱き取られているのは村瀬文夫である。なんと文夫は狭溢な菊座を津村の怒張した肉棒によって陵辱されているのだった。
「僕はこのベッドで君の姉さんの小夜子の処女を奪ったんだよ。姉と弟、両方の処女を奪った男は世間広しといえども僕くらいかもしれないね」
 津村は満足そうにそういってクスクス笑いながら文夫の緊縛された裸身を抱き取ると、片手を前にまわし文夫の肉棒をさすりあげる。
「ううっ!」
 文夫はさも苦しげに眉をしかめるが、その表情とは裏腹に津村にいたぶられる肉棒はくっきりと静脈を浮き立たせながら、隆々と屹立を見せている。包皮を弾かせたその先端の鈴口からは、先走りの液がだらだらと流れ始めているのだ。
「ほう、もうこんなになっているじゃないか」
 津村はわざと驚いたような声を上げ、耳元に囁きかける。
「文夫君、君も意外とこんなことが嫌いじゃないみたいだね。高校の先輩にときどきお尻を貸して上げていたんじゃないのかい」
 津村の意地悪いからかいに、文夫は赤らめた顔をまるで嫌々をするように左右に振る。姉の小夜子にそっくりの美少年のそういった風情は、まるで少女が恥じらっているような清冽な色気が匂ってくるのだ。
「ふふ……そうだったね、ごめんごめん。文夫君にとっては僕が始めての男だったよね。処女じゃないんじゃないかなんて疑って悪かったね」
 津村はそういうと文夫の滑らかなうなじに接吻を降り注ぎ、大きく膨らんだ肉塊を優しくさすり上げる。すると文夫は再びああっと切なげな悲鳴を上げるのだ。
「さあ、ぼやっとしていないでケツを振るんだ」
 津村が文夫の引き締まった双臀をパシンと叩くと、文夫はこっくりとうなずいて、津村の上に乗せ上げた腰をくなくなとうねらせる。可憐さまで感じさせるその仕草が姉の小夜子に似ているようで、津村はまるで美しい姉と弟を同時に凌辱しているような気分になるのだ。
(これで俺の村瀬宝石店に対する復讐は完結した)
 少しばかりの宝石を横領しただけで馘首にしやがって。それまでの自分の会社に対する貢献を考えれば、その程度のことは何程のことではないではないか。
「刑事事件にしないことがせめてもの情けだと思え」
 津村は自分に対してそう言い放った、かつての雇い主である村瀬宝石店社長、村瀬善吉の厳格な顔つきを思い出す。
(これからは、あの村瀬善吉が目の中に入れても痛くないほど可愛がっていたこの姉弟を使って、徹底的に稼いでやる。ざまを見やがれ)
 そう考えた津村は急に凶暴な発作が込み上げ、文夫の尻をずんと突き上げる。すると文夫は「ああっ」と悲鳴に似た声を上げながらも、まるで津村のそんな激情を受け止めるかのように柔美に腰をくねらせるのだ。
 最初津村が自分の双臀を割って侵入してきたときの火箸で肉体を貫かれるような激痛はかなりやわらぎ、今はその部分が妖しく痺れるような感覚に変わってきている。
 文夫はこの地獄屋敷にとらわれてから数々の汚辱の行為を強制されてきたが、同性の肉を受け入れるなど極めつけといって良い。しかしその屈辱感が、隠微な蕾に加えられる淫らな刺激とあいまって、文夫の頭はすっかり痺れきっている。
「どう、津村さん、調子は?」
 いきなり寝室の扉が開かれ、葉桜団の義子とマリが入ってきた。
「ひゃー。お坊ちゃん、とうとうオカマを掘られたわけやね」
 義子が素っ頓狂な声を出すと、文夫は、はっと腰の動きを止め、津村の身体の上から逃れようと必死でもがく。
「こらっ。見物人がいるからって慌てるんじゃない」
 津村は膝の上で美悶える文夫の尻を平手打ちする。
「お前はもう実演ポルノのスターなんだぞっ」
「そうよ、文夫さん」
 マリが嘲笑する。
「貴方のお姉さんの小夜子なんか、大勢の人が見ている前で、静子夫人と堂々とレズビアンを演じたのよ。弟の貴方が人前で男とセックスできなくてどうするの」
「そや。男の子らしく堂々とケツをふらんかいっ」
 義子はそういうと、文夫の頭を押さえつけるようにしてぐいぐいと力を入れる。
「鬼源さんはそのケのあるお客ばかりたくさん集めて、実演ホモショーを企画してるんやで。姉の小夜子や恋人の美津子ばっかりショーに出させんと、自分もしっかり森田組のために稼がんかいっ」
 文夫は義子にそう決め付けられると、一切をあきらめたように、津村に抱きとめられた双臀を再びゆるやかに動かせはじめる。
「そうそう、その調子よ」
 マリはそう言うと、義子と顔を見合わせて笑いこける。
「これはええ見物やわ」
「文夫のこの雄姿、お姉さまにもぜひ見せてあげたいわね」
 義子とマリは部屋の隅にあった一升瓶を引き寄せて棚からコップを取り出すと、男たちのそんな愛欲図を酒の肴にしながら、腰を据えて飲み直し始める。冗談ではなく、二人のズベ公がサクラとなって、文夫がショーでホモショーを演じるための予行演習をしようというのだ。
「ところで、今日はもう商売は終わったのかい」
「写真も映画も以前よりさらに勢いがよくなっているから、あっという間に売り切れたわ」
 マリは笑いながらコップの酒をぐいとあおる。
「そういえば、お坊ちゃんと美津子の実演写真もなかなか評判がええで」
 義子もからかうようにそう言うと、文夫の顔を覗き込むようにする。
「あー、このお坊ちゃん、ちょっと苦しそうに眉をしかめたとこなんか、たまらん色っぽさや」
「どれどれ」
 マリもまた文夫の端正な美貌を覗き込み、溜め息に似た声を上げる。
「ほんと、まるで歌舞伎の女形みたいね」
「こりゃ、この手の趣味のある客には馬鹿うけするに違いないわ」
 文夫は不良少女たちのそんなからかいを受け、さも恥ずかしげに顔を左右に振っていたが、やがて官能の高まりとともに、義子とマリに見物されていることなど、すっかり気にならなくなったかのように、津村との倒錯的な性愛に没入していく。
「そういえば、文夫君と実演ショーのコンビを組まされているはずの小夜子は今どうしているんだい」
 津村が文雄を突きあげながらそう尋ねると、マリが、
「鬼源さんが銀子姐さんや朱美姐さんと一緒に、京子とレズビアンの調教を受けさせているはずよ」
「ほう、弟とからまされたり、その恋人の姉とコンビを組まされたり、小夜子もなかなか忙しいな」
「静子夫人が安定期に入るまで他の奴隷で穴埋めをせなあかんから、鬼源さんも真剣や」
「京子と小夜子のプレイは普通のレズじゃつまらないから、一味違ったものにするって鬼源さんが張り切っていたわ。あたいたちも後で覗いてみるつもりだけど」

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