「う、嘘でしょう。そんな惨いことが出来るはずがありませんわっ」
 美紀はようやく唇を震わせながら抗議をする。
 小夜子と文夫を誘拐された後、一千万円の身代金を犯人が要求して来た時、美紀は二人の身を案じるあまり、犯人にすんなり金を渡すことを主張した。
 しかし、小夜子たちの誘拐が静子夫人を始め、遠山家令嬢の桂子や文夫の恋人である美津子、そして美津子の姉の京子の誘拐・失踪と一連の流れにあると判断した山崎探偵が、身代金の受け渡しを機会に犯人たちを一網打尽にすることを主張した。山崎と遠縁の間柄にある美紀の夫、村瀬善吉は山崎のこの意見に従ったのである。
 当日の身代金受け渡しの場に田代、森田、川田、吉沢といった誘拐の主犯格が向かったところまでは山崎の思惑どおりだったが、山崎の張り巡らせた罠は寸前に察知され、田代たちは九死に一生を見いだしたのだ。
 その後犯人たちからの要求はばったりと途絶えたことから、美紀は犯人たちが罠にかけられようとしたことに対する報復を小夜子と文夫の身に加えているのではないかと懸念した。具体的には小夜子は凌辱され、文夫はある程度の暴行を加えられているのではないかとまで美紀は覚悟していた。
 しかしながら今しがた鬼源が告げた内容――小夜子は京子と美津子の姉妹と共にレズビアンの行為を強いられたあげくそれを映画として撮影され、さらに文夫は何と両性具有の変質人間によって犯されているなど、美紀は予想だにしなかった。
 いや、昨夜聞かされた京子と美津子の会話から、小夜子が京子と何か倒錯的な関係を強いられているのではないかという悪い予感はしていた。しかし美紀にとって女同士の同性愛というのはあくまで男女間の恋愛の真似事のようなものであり、それを実際の行為として演じさせられ、さらに映画に撮られるなとということは考えもしていなかったのである。
 まして、文夫が男同士の性愛といったおぞましい行為を強いられるなど、美紀には到底信じることは出来なかった。
「まあ、母親としては嘘と思いたい気持ちは分かるけど、残念ながら本当のことですのよ」
 千代がひきつった顔を見せている美紀に、さも楽しげに語りかける。
「小夜子さんも文夫さんももともと素質があったのかも知れませんわ。同性愛的なことも案外楽しんでいるみたいですし」
「馬鹿なことを言わないでっ、そんなこと、楽しめる訳がないでしょう」
「こんなことを言い合っていてもしょうがありませんわ。いずれご自分の目で確かめられたら良いことですわ」
 そう言うと千代は絹代に目を向ける。
「最後は艶っぽい紫の褌をお締めになった奥様、自己紹介をお願い致しますわ」
 絹代は美紀と千代とのやり取りもさることながら、これまで千原流華道に理不尽なまでの恨みを抱いていた前衛華道の湖月流の総裁、大塚順子がこの場に顔を見せていることに衝撃を受けていた。
 珠江と美沙江は静子夫人や村瀬小夜子などの一連の美女誘拐の流れで拉致されたのだとばかりおもっていたが、大塚順子がこの場にいるということは彼女こそが二人を誘拐した黒幕ではないかと直感したのである。
 しかしながら今の絹代は先程から限界に達している尿意に優美な下半身は断続的に震え、順子に対して問いただす余裕もない。
「千原絹代と申します。ね、年齢は42歳。どうぞ、お見知りおきをお願い致します」
 絹代はそこまで言うと裸身をぶるっと震わせ、耐え兼ねたように「お、お願いです」とか細い声で哀願する。
「なーに、何がお願いなの? 奥様」
 その声を待ち兼ねたように順子が進み出ると絹代の前に立つ。絹代は恨みのこもった視線をちらと順子に向けるが、すぐに口惜しげに目を伏せる。
「何がお願いなのか聞いているのよ。素直におっしゃい、ねえ、千原流華道家元夫人」
 順子はそう言うとわざとらしく絹代に顔を近づける。絹代が必死で顔を逸らそうとしているのを見た順子はいきなり手のひらで絹代の下腹部を押す。
「うっ、ううっ!」
 その部分に激しい鈍痛を感じた悲鳴を上げる。
「おしっこに行きたくて我慢出来なくなっているんでしょう」
「や、やめて下さい……」
「どうなの、はっきり言いなさいよ」
「あ、ああっ!」
 絹代は思わず粗相しそうになるところをぐっとこらえ、甲高い悲鳴を上げる。
「そ、その通りですわ。だ、だからそこを押さないで。も、漏れてしまいますっ!」
 取り乱した絹代がそんなことを叫んだので、ホームバーに集まった男女はいっせいに笑い声を上げる。
「おしっこしたければちゃんとそう言うのよ。絹代におしっこさせて下さい、ってね」
「そんなこと……」
 頬を染めてためらう絹代の下腹部を順子はさらに力を込めて押す。限界を超える苦痛に絹代はたまらず、再び悲鳴を上げる。
「ああっ、駄目っ!」
「言うまでこうやって押し続けるわよ。無様に粗相しても良いというの?」
「き、絹代におしっこさせて下さいっ!」
 切羽詰まった絹代は、順子に強いられるままそんなことまで口にする。順子は勝ち誇ったような笑みを浮かべると森田に顔を向ける。
「ねえ、親分。千原流華道家元の奥様がおしっこをしたいそうよ。何とかして差し上げて」
「わかりやした」
 森田は薄笑いを浮かべながら竹田と堀川に目配せする。竹田と堀川は頷き、すらりと伸びた絹代の両肢に取り付く。
「な、何をするのですかっ!」
 絹代が悲鳴を上げるのにもかまわず、竹田と堀川はすらりと伸びた絹代の二本の肢を順に引っ張り、足首を青竹に縛り付けていく。
「やめてっ! ああっ、やめてっ!」
「俺達も手伝うぜ」
 ウィスキーを嘗めていた川田と吉沢もチンピラ二人に加勢する。絹代はあっと言う間に両肢を極端なまでに開いた人文字型の姿に固定される。
「それじゃあそろそろ、お褌をお解きしますぜ。奥様」
 川田と吉沢は絹代の紫の褌を解いていく。
「やめて、ああ、お願い……」
 絹代の悲鳴は次第に涙混じりになっていく。言語を絶する暴虐行為にしばし言葉を失っていた久美子がようやく我に返ったように抗議の声を上げる。
「な、なんてことをするのっ! 奥様を離しなさいっ!」
 美紀もまた気丈に「やめなさいっ、あなたたちっ!」と声を張り上げる。
「ぎゃあぎゃあうるさいわね。あんたたち二人も奥さんに付き合わせて上げるわ」
 銀子と朱美が竹田と堀川に声をかけ、久美子と美紀の身体を絹代と同様の姿に固定して行く。
「やめてっ! やめなさいっ!」
「嫌っ! 離してっ!」
 二人の悲鳴がホームバーにこだまする。絹代の褌を解き終えた川田と吉沢もそんな行為に加わり、二人はあっと言う間に絹代同様、全裸で大股開きというあられもない姿に固定されていく。
 千代、順子、葉子、そして和枝といった女たちは三人の美女に加えられる暴虐行為を見ながら声を上げて笑っている。