「どうしてと言われても、説明すれば長くなりますね」
 ニヤニヤ笑いを浮かべている津村にひきつった表情を向けていた美紀は、ふと何かに気づいたように目をかっと見開く。
「も、もしや、あなたが小夜子と文夫を誘拐したのですかっ」
「まさか。誘拐なんて人聞きの悪いことを言わないでくださいよ」
 津村は笑いながら首を振る。
「僕は村瀬宝石店を首になってから随分苦労しましてね。関西に流れて岩崎親分という人に世話になりながら、ようやく金融ブローカーとして身を立てるまでになったんです。その岩崎親分がこの森田親分のところに客として招かれることになりまして、僕がその先発隊としてこの屋敷にやって来たところ、偶然懐かしい小夜子嬢と再会したという訳です」
 むっちりとした美紀のヒップを撫でながらそこまで話した津村は、その顔をさらに美紀に近づける。
「村瀬宝石店に勤めているころから僕はずっと小夜子嬢に恋い焦がれていましてね。奥様はご存じでしたか?」
「あ、あなたが小夜子にいやらしい手紙を出したり、ピアノや踊りのお稽古の帰りの小夜子をこっそり待ち伏せしていたりしたことは存じておりましたわ」
 美紀ははっきりと嫌悪の表情を浮かべながら答える。
「ほう、それならそのことを僕が社長から注意されたことも知っているでしょう」
「もちろん知っていますわ」
「恋愛は自由なのに、思いを寄せてくる相手に対して嫌なら嫌と自分で断らないで、その相手の上司でもある父親を使って拒絶するのはどうかと思いますがね」
「それではそのことを根に持ってて、あなたが会社の商品である五百万円の宝石を持ち逃げしたことは卑劣ではないのですか」
 美紀はきっと津村を睨みつける。
「なかなか気が強い奥様だ」
 津村は思わず苦笑する。
「それと、お付き合いについては小夜子からは何度も断ったと聞いていますわ。あなたを傷つけないように柔らかく」
「そうでしたか? いずれにしても今の小夜子は僕を喜んで受け入れていますよ」
「な、なんですって? それはいったいどういう意味ですか?」
 美紀の顔がさっと青ざめる。
「どういう意味も何も、言った通りの意味ですよ。現在小夜子は僕の妻になっているのです。森田親分にもきちんと話をつけて、結納金代わりに百万円のダイヤまで差し入れました。小夜子自身も僕に永遠の愛を誓ってくれたのですよ」
「馬鹿な……そんな筈がありません。小夜子には内村春雄さんという立派な婚約者がいるのです」
「内村のことなら、小夜子はやつとの婚約は解消しましたよ。愛想尽かしの手紙に、僕と小夜子が愛を確かめ合っているところを記録したテープや写真まで送ったのですが、奥様はご存じじゃなかったんですか?」
 美紀は驚愕のあまり口も聞けないでいる。
「津村さん、積もる話は後にして、まずはすませるものをすませてしまいましょうよ」
 千代に声をかけられた津村はそこで初めて、ホームバーの床の上に浣腸器や洗面器、そしてブリキの便器が並べられていることに気づく。
「ほう、このご婦人がたに浣腸しようというのですか?」
「そうよ、さっき三人そろって立小便させたんだけれど、呼吸が揃わなかったので三人とも連帯責任として罰を受けることになったのよ」
「立小便だって? そりゃあなかなか面白そうなものを見逃したな」
 津村はすらりと伸びた美紀の太腿を撫でさする。
「美紀奥様、奥様もその立小便を演じて見せたのですか?」
 そんなことを問われた美紀は頬をカッと赤く染めて、津村から顔を逸らせる。
「どうなんです? はっきり答えてくださいよ。立小便したんですか、しなかったんですか」
「そ、そんなこと、あなたに関係ないでしょう」
「素直じゃないですね。僕はあなたの娘の夫、いわば義理の息子ですよ。そんな他人行儀な口の利き方はないんじゃないですか?」
 津村はそう言うとさも楽しげに笑う。
「他人行儀と言えば僕の方も『奥様』なんて呼び方は他人行儀ですね。愛する妻の母親なんですから、お義母さんと呼ばせていただきますよ」
「あ、あなたにお義母さんなんて呼ばれる覚えはありません。け、汚らわしいっ」
「娘婿に向かって汚らわしいとはご挨拶ですね。おマンコもお尻の穴も丸出しにしておきながら、人のことを汚らわしいなんて言える立場ですかね」
 津村は笑いながら美紀のヒップを軽く叩く。
「どうなんですか? 立ち小便したんですか、していないんですか? 素直に答えて下さいよ」
「……い、いたしましたわ」
 美紀は羞恥と屈辱に顔を赤く染めながら答える。
「何ですって? よく聞こえなかったな。もっと大きな声で答えて下さいよ」
「いたしましたわ。こ、これで良いでしょう」
 美紀が自棄になったような声を上げたので、ホームバーに集まった男女はどっと笑い声を上げる。
「そうなんですか。この立派な蛤が潮を噴く瞬間を見逃したとは実に残念だ」
 津村はそんなことを言いながら美紀の艶やかな繊毛に覆われた恥丘をポン、ポンと叩く。
「ところでその浣腸ですがね、小夜子の母親である奥様を他の人間に任せる訳にはいかないな。僕が浣腸して差し上げますよ」
「な、何ですって!」
 美紀は顔を引きつらせながら悲鳴を上げる。
「どうです、親分、いいでしょう?」
「おっしゃる通りそのご夫人は津村さんの義理の母親だ。津村さんが面倒を見るのは当然でしょうな」
 森田はそう言って田代と頷きあう。
「心配しなくても優しく浣腸してあげますから、ゆったりとした気分になってのびのびと排泄してください。小夜子の浣腸も最初は僕がしてあげたんですよ」
「な、何てことを……」
 美紀は怒りと屈辱に唇を震わせる。
「それなら絹代夫人の浣腸は私に任せてくれないかしら」
 大塚順子がそう言って進み出る。
「大丈夫ですか? 大塚先生は浣腸責めの経験はありましたっけ?」
「この前、美沙江に浣腸して上げたところよ。今度はその美沙江のお母様に浣腸して差し上げようという訳」
 順子はそう言うとさも楽しげに笑う。
「大塚先生、奥様の浣腸は私達にも手伝わせてくれませんか」
 友子と直江がそう申し出ると、順子はあっさり「いいわよ」と頷く。
「三人で家元夫人にたっぷり浣腸のご馳走をしてあげましょう」
 順子はそう言って、さも楽しげに笑う。
「そうすると最後は久美子だが」
 森田が一同を見回すと、川田と吉沢が手を上げる。
「その娘の面倒は俺達に見させてくれ。山崎には煮え湯を飲まされたことがあるんだ」
「そのお返しをたっぷり妹に食らわせてやるぜ」
 川田と吉沢が口々にそんなことを言い合うのに田代と森田は頷く。