そんなことを言いながら二人の不良少女は久美子の足首の縄を解くと、さ、立つのよと再び太腿の辺りをパシッと叩く。
 久美子は後ろ手に縛られたままふらふらと立ち上がろうとするが、重心を失いよろけたところを川田に抱きとめられる。
「どうした、久美子。糸通しのお仕置きですっかり腰が抜けたんじゃねえのか」
 川田はそう言ってからかいながら久美子の柔らかな乳房をまさぐり始める。これまでの久美子なら男たちのそんな淫らな振る舞いに対しては、眉を吊り上げて怒りをあらわにしたところだが、今や久美子はすっかり魂を抜かれたようにぐったりと川田に身体を預けているのだ。
「か、川田さん……」
「何だ」
「お願いです。ちょっとでもいいから休ませて――身体がおかしくなりそうなのです」
 声を詰まらせながら哀願する久美子を見ていると、川田は嗜虐心がますます刺激され、いまだ生娘の久美子を京子同様自分の手で引き裂いてやりたいといった欲望に駆られ出すのだ。
「この場は義子とマリに任せているんで、俺にお願いされてもなあ」
 川田はそんな欲求をぐっとしずめながら、二人の不良少女の方をちらりと見る。
「まあ、二人も俺の頼みなら聞いてくれるかもしれねえが」
「川田さんったら、まったく、女には甘いんだから」
 マリがわざとらしく唇を尖らせると吉沢が「なに、美人にだけ甘いんだ」と混ぜっかえす。
「しかし、人に物を頼む時にはそれなりの態度ってもんがあるんじゃねえか?」
 川田に詰め寄られた久美子は気弱に顔を伏せる。
「い、いったいどうすれば――」
「お嬢さんの処女は破るなというのが社長と親分の方針だから身体をよこせとは言わねえが、キスくらいしてくれてもいいんじゃねえか」
 川田の言葉に久美子は脅えた表情になる。
「さんざんマンコやケツの穴を責められたくせに、今さらキスくらいで脅えた顔をするなんざ、柔道名人のお嬢さんらしくねえじゃないか」
 そう言うと川田は「来な」と言って久美子を抱き寄せ、いきなり唇を奪う。
「う、ううっ……」
 突然の川田の行為に久美子は目を白黒させる。川田は久美子が驚く隙にその舌を相手の口中に侵入させ、歯茎や上顎、下顎を蹂躙し、そして絹のように滑らかな久美子の舌を思いきり吸い上げる。
「う、むぐっ……」
 久美子は自らの唾液が大量に吸い取られ、川田のそれと混じり合って再び口中に逆流して来るのを感じる。久美子は激しい嫌悪感を知覚するのと同時に、何か麻薬のようなものを注入されたように脳髄がジーンと痺れるのを感じるのだ。
「さすがにうまいものね。キスだけで久美子をメロメロにしちゃったわ」
「そう言えば静子夫人かて、あたいたちに誘拐されたばっかりの時に川田はんにキスされたら途端に目をウルウルさせて感じてたもんな。やっぱり川田はんは天性のスケコマシやな」
 マリと義子は感心してそんなことを言い合うと、竹田と堀川に向かって「あんたらもちょっとは川田さんのテクニックを盗むくらいの姿勢を見せたらどうなの」とからかう。
「けっ、やくざは腕で勝負するもんだ。スケコマシが巧くたって自慢になるもんか」
 竹田が小声でそう言い返すと、義子が「何が腕で勝負や。タイマンなら京子や久美子にもかなわんくせに」と鼻で笑う。
「何だって」
 すごむ竹田を吉沢が「やめねえか」と制止する。
「マリや義子の言うことに一理あるぜ。この森田組は静子や京子といった女たちからのあがりで食ってるんだ。スケコマシが巧いのは喧嘩が強いのよりはずっと値打ちがあるぜ」
「吉沢の兄貴までそんな……」
「悔しければもっとそっちの腕を磨くこった。チンピラ部屋の4人がかりで珠江一人に返り討ちにあうようじゃまだまだ役に立つとは言えねえぜ」
「あ、あの時は俺達の方が珠江をグロッキーにさせたんで」
「張り型やら何やらを使ってだろう。そんなことだったら俺一人でも出来るぜ。4人も男がいて、肉棒ひとつで女一人調教出来ねえでどうするんだ」
 吉沢に叱咤された竹田と堀川は悄然と頭を下げる。
 一方、久美子はすっかり身体が溶けてしまったかのように川田の腕の中に身を任せ、くなくなと裸身をくねらせている。
 久美子はようやく川田との、唇から唾液の糸を引き合うような濃厚なキスを終える。薬を飲まされたように瞳をとろんと潤ませている久美子の耳元に、川田が囁きかける。
「どうだ、山崎をおびき寄せる協力をする気になったか? 協力するならこの後の姫輪責めと山芋責めは勘弁してやるぜ」
「……そ、それだけは」
「それだけは、ってのはどういう意味だ? これ以上の責めは勘弁してくれってことかい?」
 久美子は川田の問いかけに答えず、しばらく呆然とした表情になっている。
「何をぼうっとしてやがるんだ」
 川田にパシッと尻を叩かれ、久美子ははっとした顔付きになる。
「あ、兄をおびき出すことに協力するなんて、で、出来ません」
「それじゃあしょうがねえな。次は予定どおり姫輪責めだ。こいつは辛いぜ。あの京子でさえヒイヒイ泣き喚いたって話だ」
 そんな川田の言葉を聞いた久美子は裸身をぶるっと痙攣させる。
「どうしたんだ、怖いのかい、久美子」
「そ、そんな酷い責めはもうやめて――も、もうとても耐えられません」
 シクシク泣き出す久美子を見ながら、川田は勝ち誇ったような調子で「まったく、柔道の名人もだらしなくなったもんだぜ」と笑う。
「仕置きが嫌なら色気の修行をしてもらおうじゃねえか。その場でちょっとケツを振ってみな」
 久美子は驚いて涙に濡れた瞳を川田に向ける。
「何をぼんやりしているんだ。言われた通りにしねえか」
 川田が再び苛立たしげに、久美子のムッチリとした尻を叩く。久美子の菊花から膝の辺りまで垂れ下がったタコ糸がぶるっと揺れるのが滑稽味を感じさせる。
 久美子がゆっくりと尻を振ると、マリと義子が同時にぷっと噴き出す。
「男を平気でぶっとばすような怖いお嬢さんが、ケツの穴からしっぽを垂らしたままで尻振りダンスとは傑作だわ」
「しかしいかにも恥ずかしそうに振るところが処女らしくて味があるやないか。いつもマリが酔っ払った時にやるケツ振りダンスとは随分違うで」
「失礼ね。どうせ私は処女じゃないわよ」
 マリと義子はそんなことを言い合っていたが、やがて立ち上がって部屋の隅から青竹を持ち出して来ると、「ほらほら、もっと大きく振るのよ!」と怒鳴りつけ、久美子の尻を代わる代わるバシッと叩く。
「うっ、ううっ……」
 耐え難いほどの羞恥と汚辱をぐっと堪えながら、久美子はさらに大きく尻を振り続ける。吉沢と川田、そして竹田と堀川といったやくざとチンピラたちが、手を叩き、卑猥な歌を唄い出す。
「ひとつ出たほいのよさほいのほい……」
 男たちの猥歌にマリと義子も加わり、いつしか大合唱になる。そんな野卑な男女の歌に合わせて、久美子は魂が抜けたような表情で大きく尻を振り、踊り続けるのだった。