「明後日には岩崎親分だけじゃなくて、岩崎一家から十人以上の客人がやって来るし、熊沢組や関口一家といった以前から懇意にしているやくざたちを加えれば、軽く二十人を越える男たちがこの屋敷に集結するのよ」
「美紀夫人や絹代夫人が、京子や小夜子たちの実演ショーを見て頭に血の上った男たちに入れ替わり立ち替わり輪姦されてもかまわないって言うのなら好きなようにするがいいわ。あのお上品な奥様方がそんな目にあったら、頭がおかしくなっちゃうかもしれないけどね」
 そんなマリの脅迫の言葉を聞いた山崎は苦しげに顔をしかめて首を振る。
「わかっているのならいいのよ」
 マリは勝ち誇ったように笑うと山崎の肉棒を軽く握り、ゆっくりと扱き始める。
「な、何をするっ」
「何をするって、わかっているでしょう? あんな風に銚子を吊り上げさせられて、中途半端にさせられたんだから身体がもやもやしているに決まっているじゃない。それをあたいが解決して上げようっていうのよ」
「くっ……」
 山崎は苦しげに顔を歪めるが、先程京子と美津子によって煽られ、限界まで膨張を示したそれはたちまちマリの手の中でドクドクと脈打ちながらその硬度を取り戻していく。
 義子もまたマリの行為を真似るように、文夫の肉棒を巧みに扱き上げる。文夫もまた先程美津子との行為を中断させられていたため、すぐにその若茎を逞しく充血させていく。
「あっ、ああっ……」
 文夫はたちまち官能のほむらをかきたてられたのか、舌足らずの悲鳴を上げながら身悶える。
「お坊ちゃんもすっかりマゾ少年らしくなったやないか」
 義子は片手で文夫の肉棒を扱きながら、空いた片方の手で引き締まった尻をひっぱたく。
「義子、マリ、ショーは明後日に迫っているんだ。空撃ちなんてもったいない真似はさせるんじゃねえぞ」
 鬼源にそう言われた義子とマリは肩をすくめて手を止める。
「空撃ちにならなきゃいいんだろ」
 マリはそう言うと山崎と文夫と向かい合っている京子と美津子の姉妹に目を向ける。
「この二人の男を中途半端にさせたのは京子と美津子だから、最後まで責任を取らせようじゃないか」
「恋人同士に思いを遂げさせようってのか。お前にしちゃあ珍しく情があるじゃねえか、マリ」
 川田がそうからかうとマリはそう言うとニヤリと笑い、「そうじゃないよ」と首を振る。
「京子は文夫の前に、美津子は山崎の前に立つんだ」
 そうマリに指示された姉妹の顔がたちまち蒼白になる。
「聞こえなかったのかい? お互い、相手を取り替えっこしようっていうんだ。早くしなっ」
「そ、そんなこと……出来ません」
 美津子が恐怖のあまり身体を震わせ、必死に首を振る。
「この期に及んで手間をかけさせるんじゃないよっ」
 マリは苛立ちの声を上げると立ち上がり、美津子の両脇を抱えるようにしながら無理やり引き立てる。
「い、嫌っ! 嫌よっ!」
 美津子は必死で抵抗するが、義子もマリに加勢して美津子を引きずるようにして山崎の前に立たせる。
「美津子もいつまでも文夫だけを相手にしていればいいご身分じゃないんや。桂子に文夫を取られそうになった時に、そう覚悟を決めたんやなかったんかい」
「で、でも、お兄さん……山崎さんとは嫌っ。それだけは許してっ」
「姉の恋人を寝取ることになるから遠慮してるのなら、それは無用の遠慮だよ。お姉ちゃんはもうちゃっかり、文夫と出来てるじゃないか」
 マリにそう言われた美津子は隣りを見る。すると京子が既に文夫の前にひざまずき、すべてを諦めたような表情で静かに目を伏せているのだ。
「美っちゃん……」
 京子が涙で潤んだ瞳を美津子に向ける。
「こうなったら仕方がないわ。言われたとおりにしましょう。姉さんに気兼ねしないで、山崎さんにご奉仕して……こ、こんな風に」
 京子はそう言うといきなり文夫の肉棒の先端に口吻を注ぎ込む。
「うっ……」
 たちまち文夫の腰部が電流に触れたようにブルッと震える。
「ねえ、美っちゃん……山崎さんを愛してあげて……姉さんの代わりだと思って」
「わ、分かったわ。姉さん」
 姉は自らそんな淫らな行為を演じることによって、改めて美津子に奴隷として生きる決意を促している。そう感じた美津子は思い切って口を開け、山崎の肉棒をくわえ込んでいくのだ。
「だ、駄目だっ。美っちゃん」
 さすがに山崎はうろたえた声をあげる。美津子は山崎を見上げると小さく顔を振る。
(何も言わないで、お兄さん)
 そんな思いを伝えるかのように美津子はじっと山崎を見つめ、熱く硬化した肉棒を舌先で愛撫し始めるのだ。
 山崎の肉塊はたちまち熱気を取り戻し、美津子の口の中でムクムク大きくなる。そんな山崎の反応を舌先で感じながら、美津子はどこか醒めた気持ちになっていくのだ。
(ああ……どうして愛情は肉欲の奴隷になってしまうのだろう)
 美津子を愛していたはずの文夫は今、姉の京子に濃厚な愛撫を施されて他愛ないほど燃え上がっている。姉の京子の恋人であった山崎も、その妹の自分に愛撫されてはっきりと男の欲情を示している。
 大切に育んできたはずの恋人たちの精神的な絆が、田代屋敷の悪鬼たちによっていとも簡単に断ち切られ、支えを失ったものたちがひたすら頼りなく肉欲の海に漂っている――そんな情けない自分たちを意識すると美津子は底知れない敗北感に陥って行くのだ。
「そろそろ準備完了みたいね」
 文夫がすっかり高ぶりを示しているのを確認した義子とマリは京子を立ち上がらせると尻をパシッと叩き、「さあ、つながるのよっ」と急き立てる。
 後ろ手に縛られたままの京子はぎこちなく肢を開き、文夫を受け入れるべく裸身を密着させて行く。文夫ももはやそれを拒む意志は失われており、京子に協調するように腰部をうごめかせ、肉の繋がりを実現させようとしている。
「ああ……駄目、文夫さん……そこじゃないわ……もっと下……」
 京子は切なげに文夫に囁きかけ、もじもじと裸身をくねらせる。義子とマリはしばらくそんな二人の痴態を楽しげに眺めていたが、やがて美津子に近づくと山崎を愛撫している口元をのぞき込む。
「あら、美津子も随分うまくなったわね」
「ほんまや。その舌使い、お姉ちゃんに負けてへんで」
 マリと義子は美津子をそうからかうと「もういいよ、そろそろつながりな」と促す。
「ハイ……」
 美津子はうなずいて立ち上がると山崎をじっと見つめる。山崎が思わず顔を背けると美津子は「目を逸らさないでっ! お兄さん」と叱咤するような声をあげる。