「ちゃんと声に出して言わないと分からないよ。我慢出来ないのかい」
「が、我慢出来ません」
 お春に迫られたお美津は切羽詰まったような声で答える。
「漏らしちまいそうなんだね」
「……はい」
 お美津を演じる美津子は実際に尿意が限界に来ているのか、華奢な裸身をブルブル震わせながら再び頷く。
「お京さんはどうなんだい。もう漏らしちまいそうなのかい」
 お夏がお京の引き締まった尻をいとおしげに撫でながらそう尋ねると、お京は一瞬苦しげに顔をしかめるが、すぐにお夏に挑むような視線を向けると「そうだよ、漏らしちまうよっ。そう言えばいいんだろう。いい加減にしておくれっ」と吐き捨てるように言う。
「お、女にこんなことをして何が面白いんだいっ。これが森田組のやり口かいっ」
 お京が自棄になったようにそう言うと、徳利から茶碗に酒を注いでいた駒造がニヤリと笑いながら立ち上がる。
「男勝りのお京姐さんもついに自分が女だってことを認めたのかい。こりゃあ愉快だ」
 駒造はそう言いながらお京の尻を淫靡な手つきで撫でさする。
「床を汚されると厄介だ。そろそろ支度をしてやろうじゃないか」
 駒造はお春とお夏に目配せする。お春とお夏は頷き、舞台の奥からそれぞれ木製の盥を一つずつ抱えてくる。
「この中に小便するんだ。くれぐれも的を外さないようにするんだぜ。床を汚したら小便をする穴に灸を据えてやるからな」
「な、何だって」
 駒造にそう告げられたお京の顔色がさっと青ざめる。
「そんなこと、で、出来る訳ないじゃないかっ」
「出来ないならそのまま垂れ流すことになるぜ」
 冷たく言い放つ駒造に、お京がすがるような目を向ける。
「お、お願いだ。せめてお美津だけでもはばかりにいかせてやっておくれ」
「ならねえ」
 駒造は首を振る。
「だいたい、もう今にも漏らしちまいそうなんだろ。はばかりに行くまで我慢出来るのかい」
「そうそう、この葉桜屋のはばかりは廊下を渡ってずっと奥にあるし、おまけにいつも女郎で混み合っているんだ」
「お二人の順番が回ってくるまで漏らしちまうのが落ちだよ」
 お春とお夏も、駒造に迎合するように口を揃える。
「お、お美津……」
 お京が悲痛な表情をお美津に向けると、お美津は「お、お姉さん、わ、わたし、もう我慢出来ないわ」と泣きべそをかいたような顔を向ける。それを見たお京は覚悟を決めたように「わ、わかったよ」と言う。
「この盥の中に小便するんだな」
 駒造が念を押すようにそう言うとお京は「や、やるよ。やればいいんだろう」と答える。
「そうなりゃ善は急げだ」
 駒造がそう言うと、お春とお夏はお京の片足を掴み、ぐっと開かせる。
「あっ、な、何をするんだいっ」
 お京が狼狽えたような声を出すが二人は構わず、意外な馬鹿力を発揮してお京のすらりとした肢を限界まで開かせると、床に打ち付けてあった杭にしっかりと縛り付ける。
「や、やめなっ。やめるんだよっ」
 お京は必死で身を揉むが、お春とお夏はお京のもう一方の肢も開かせ、同様に杭に固定する。
「良い格好じゃないの。お京姐さん」
 お春は人の字型に固定されながら憤辱にブルブルと身を震わせているお京の姿をさも楽しそうに見る。
「お京姐さんはその格好で堂々と立小便するのよ」
「な、何だって」
 お春の言葉にお京が思わず顔を引きつらせたとき、お美津の悲鳴が響く。
「ああっ、や、やめてっ。やめて下さいっ」
 見るとお美津は駒造に背後から抱きかかえられ、まるで幼児がおしっこをするような格好にされている。
「な、何てことをっ」
 それを見たお京はかっと頭に血を上らせる。
「お、お美津に何をすんだよっ。は、離せっ、お美津から手を離しなっ」
「何をするって、お美津ちゃんがおしっこをしたいっていうから、優しくさせてやろうとしてるんじゃねえか」
 駒造は淫靡な笑みを浮かべながらそう言い返す。
「お京姐さんは妹のことは気にしないで、堂々と流し出しゃあいいんだよ。お褌を解いてやるからさっさと始めなっ」
 お春はそう言うとお夏とともに、お京の褌を解いていく。
「あっ、な、何をするんだいっ。やめなっ。やめないかっ」
 お京は狂ったように身を揉むが、両手両肢を縛られた身ではどうにもならず、白い褌を解かれていく。
 ついに一糸纏わぬ素っ裸にされたお京の羞恥の丘が無毛であることに気づいたお夏が頓狂な声を上げる。
「あら、お京さん、あんた、パイパンなの?」
 泣きじゃくるお美津を抱え上げていた駒造もその声を聞いてお京の方を見る。
「本当だ。こりゃ驚いた」
 駒造もわざとらしい大声を上げると、お春、お夏と声を合わせて笑い出す。
「緋桜のお京姐さんが、おぼこ娘みてえな股ぐらをしているとは知らなかったぜ」
 駒造がそう言うと、お春とお夏は「まったくだわ」と同時に頷く。
「畜生、畜生」
 そんな野卑なからかいを受けているお京は極限の屈辱に声を殺して嗚咽する。
「あらあら、緋桜のお京姐さんが、とうとう口惜し泣きを始めたわよ」
 お春がおどけた口調でそう言いながら、お京の顔を覗き込むようにする。
「ねえねえ、お京姐さんったら、パイパンがばれたくらいで泣くなんて、お京姐さんらしくないわよ」
 お夏もまたお京の耳を引っ張りながら、
「そうそう、こうなったら開き直って、堂々とした方がいいわよ。そうね、この際だから通り名も緋桜のお京から、パイパンのお京に変えてみたらどうかしら」
 と言ってからかう。
「ば、馬鹿におしじゃないよっ」
 お京は涙に濡れた目でお夏を睨みつける。
「お前たちみたいな化け物に虚仮にされる覚えはないよっ。いい加減におしっ」
「まあ、怖い顔」
 お春とお夏は処置なしと言った顔で手を拡げる。
「まあパイパンの方が、女がどの穴から小便するのか良くわかるってもんだ。お春、お夏、化け物呼ばわりされた仕返しに、お京姐さんの女陰(ほと)を思いっきり広げてやんな」
「わかったわ」
 お春とお夏はニヤリと笑ってお京に近づく。