「さ、白状しなさいよ。いったい誰に可愛がられたの」
 お夏はそんなことを言いながら、文之助の菊蕾をいたぶり続ける。お夏の指がその隠微な穴を出たり入ったりする度に、文之助の女のように形の良い尻はブルッ、ブルッと震え続ける。
「言わないとこうするわよ」
 お夏は文之助の狭隘な穴に、いきなり二本の指を差し入れる。
「あっ、い、痛いっ。お、おやめくださいっ」
 身体の底を抉られる激痛に文之助は甲高い悲鳴を上げる。
「ここんところを引き裂かれたくなければ、聞かれたことに答えるのよ」
「い、言いますっ。言いますからやめて下さいっ」
 文之助は苦痛に喘ぎながら、お夏の問いに答え始める。
「と、殿です……殿にそこを……」
「まあ、四谷のお殿様に可愛がられたっていうの?」
 お夏はわざとらしく驚いた顔になる。
「将軍や大名はそっちの趣味の人が多いって聞いたけど、本当なのね」
「だけど、あのお殿様って確か正室と側室がいて、子供も三人もいるんじゃなかったっけ」
「こっちの道は別物、要するに両刀遣いってことよ。別に珍しい話じゃないわ」
 お夏とお春はそんなことを言い合っている。
「要するにあんた、生娘じゃなかったって訳ね」
 お夏が文之助の顔を覗き込むようにして尋ねると、文之助はさも恥ずかしげに頬を染めて首を振る。
「あら、違うの」
 文之助はこくりと頷く。
「お夏、お坊ちゃんはまだそこんところでお殿様のものを咥えた訳じゃないってことを言いたいのよ」
「へえ、もったいない。どうしてかしら」
「文之助が見事仇を討ったら始めて、お殿様からお情けを頂けるってことじゃないかしら。文之助、よくぞ仇を討ち果たした。うい奴じゃ。今宵はたっぷりと可愛がってやるぞ、ってね」
「ふうん、そうなの。何だか侍の世界っていっても乱れたものね」
「と、殿はそのようなお方ではありません」
 文之助がいきなり顔を上げて、そんなことを口走ったのでお春とお夏はびっくりしたような顔になる。
「急に大きな声を出すから驚くじゃない」
 お春は腹立たしげに文之助の肉棒をごしごしと扱く。
「そうよ。いくら愛しいお殿様とのことをからかわれたからって、そんなに興奮するのはおかしいわよ」
 お夏もまたそんなことを言いながら文之助の菊花を改めていたぶり出す。
「ほーら、ここね。見つけたわよ」
「あっ、ああっ、そ、そこはっ」
 お夏が大胆に指を入れ、文之助の前立腺を探り当て、ゆっくりと揉み上げ始めたので、文之助は急に狼狽の声を上げる。お春に嬲られている文之助の肉棒は隆々とそそり立ち、鉄のような固さを示している。
 お春とお夏の二人がかりで弄ばれている文之助の様子を楽しげに見ながら、鬼源はお小夜の柔らかい乳房をゆっくりと揉み続けている。
 お小夜の肌は上気して艶っぽい赤みが差し、乳首ははっきりと屹立を示している。女郎屋の女体調教師などと言う卑しい男に嬲られる――そんな嫌悪感は徐々にお小夜の中であやふやなものになっていく。
「見てみな、てめえの弟、女みてえななよなよした顔をしている癖に、あそこんところはえらく逞しいじゃねえか」
 そんな風に耳元で囁かれたお小夜は、焦点の合わない瞳を前に向ける。
「あっ、ふ、文之助っ」
 お小夜の視界に、おぞましい男娼二人にいたぶられながら、明らかな興奮を示している文之助の姿が飛び込んで来る。お小夜は慌てて文之助の痴態から眼を逸らす。
「おらおら、しっかり見てやらねえか。弟の晴れ姿を。へへ、あんな風に肉棒をビンビンに押っ立てているところを、これまで見たことがあるかい」
「い、嫌っ……」
 お小夜は鬼源が吹き込むおぞましい言葉を振り払うように何度も首を振る。
「へへ、そんなことを言ってるうちに、随分乳首が立ってきたじゃねえか。侍の娘なんて気取ってやがって、しっかり感じてるみてえだな」
 鬼源は堅くしこってきたお小夜の乳首を指先で巧みに揉み上げながら、嘲笑の言葉を浴びせる。
「ち、違いまするっ」
 お小夜はその部分から込み上げる快感を振り払うように、何度も頭を振る。
「なにが違うんだ。こんなに堅くしやがって」
 鬼源はそう嘲笑を浴びせながら「まあいい。感じやすいのは女郎にとっては売りになるからな。こっちにとっては好都合だ」とほくそ笑む。
 ああ、こんな下劣な男にいたぶられるなんて――屈辱で気が遠くなりそうなお小夜だったが、鬼源に対する嫌悪感の一方で、敏感な乳房を巧みに愛撫されることによって、なぜか身体がふわふわと、雲の上を歩いているような気分にもなるのだった。
「こっちももうビンビンよ」
 お春は文之助の肉棒を片手でぐいと持ち上げ、鬼源に見せつけるようにする。
「ほう、なよなよした顔に似合わねえなかなか見事な松茸じゃねえか。陰間好みの客が大喜びするぜ」
 鬼源はお小夜の背後から乳房を揉み上げながらそう言うと、お小夜の耳元に「ほら、弟の肉棒をよく見てやれ。太さと言い、長さと言いすっかり一人前だぜ」と囁きかける。
 そう言われたお小夜は無意識のうちに文之助の方に眼を向けるが、すぐにはっとした表情になり顔を背ける。
「こらこら、なんでまた顔を背けるんだ。駄目じゃねえか」
 鬼源は片手でお小夜の胸を愛撫しながら、もう一方でお小夜の後頭部をぐっと掴み、無理矢理前へ向ける。
(ああ……文之助……)
 お小夜の眼に、陰間二人にいたぶられている弟の悲惨とも言うべき哀れな姿が映る。
 武士の身でおぞましい責めにかけられる弟の屈辱を思うと、お小夜は悩乱のあまり気が狂いそうになるのだった。
「何をしかめっつしてやがる。おめえたちがしっかり女郎と陰間の手管を身につけて店に出られるようにならない限り、仇の津村清十郎って侍には会わせてもらえねえぜ。おめえたちが津村を討つ機会はその時一回きりなんだからな」
 鬼源にそう指摘されたお小夜はハッとした顔つきになる。
「そ、それはなぜでござりますか」
「そんなことは決まっているじゃねえか」
 鬼源はそう言ってせせら笑う。
「おめえたちみてえな上玉が店に出るようになりゃ当然ここいらの評判になる。侍の姉弟が女郎屋の見世物に身を堕としたとなりゃなおさらだ。津村だってそれを聞きつけりゃ、たとえお気に入りの女郎がいたとしても警戒して葉桜屋には近づかなくなる」
 鬼源の言葉に、お小夜の顔色がみるみる変わっていく。
「仇持ちってのはそれだけ慎重に行動するってことだ。要するに、てめえたちが津村を討つ機会は次に奴がこの店に来る時、一度だけだ。その時までに店に出られるまでに仕上がってなけりゃ、てめえたちは仇を討てずじまい。骨折り損の草臥れ儲けって訳だ」