「あっ」
 小さな悲鳴とともに、双臀の狭間に秘められた文夫の菊蕾が露わになる。美紀夫人は実の息子の隠微なその部分をじっと見つめていたが、いきなり唇をつける。
「あ、あっ、母さんっ」
 文夫がまるで女のような甲高い悲鳴を上げたので、和枝と葉子は「まあ、可愛い」と言って笑いあう。
「だ、駄目だよっ、そ、そんなことっ」
 文夫がさすがに狼狽して腰を振り、夫人の舌先を避けようとするが、二人のシスターボーイが左右から文夫をぐっと押さえ込むようにする。
「いいから母さんに任せなさい」
 美紀夫人は舌先を丸め、文夫の菊孔にぐっと押し込むようにする。母親の舌先で隠微なその箇所を犯される妖しいまでの快感に、文夫は傷ついた獣のような声を上げるのだ。
「か、母さんだから……母さんだからこんなことまで出来るのよ。あ、ああ……ふ、文夫さんっ」
 取り憑かれたような美紀夫人の狂態を、和枝と葉子は指さし、ゲラゲラ笑いながら眺めていたが、ひとり町子はいつしか気圧されたような気分になっている。
 実の息子と絡みあうという禁断の行為──あれほど美紀夫人が忌諱していたことを今、あたかも彼女が進んで行っているように見えるのはなぜだろうか。いくら薬を飲まされたからとは言え、本能的に拒んでいた行為に対してこれほどまでに情熱的にのめり込むことが出来るのだろうか。
 町子は女の中に秘められていた魔性めいたものに触れ、いつしか慄然とした思いになるのだった。
「ああっ、母さんっ、そ、そんなにされたら」
 美紀夫人に舌先で菊蕾を愛撫され、春太郎と夏次郎に交互に若茎をしごかれている文夫は、射精寸前にまで追い込まれている。文夫が限界に近づいているのに気づいた春太郎は、文夫を愛撫する手を止めて美紀夫人に声をかける。
「それくらいで良いわ。文夫さんも用意は十分みたいだから、そろそろつながり合いなさい」
「分かりました」
 美紀夫人は立ち上がり、文夫の前に回る。
 身体の向きを変えようとした美紀夫人は、ふと小夜子と視線が合う。夫人は恥じらうように頬を染め、小夜子から視線を逸らせる。
「さ、始めなさい。最初はキスからよ」
 春太郎に尻を叩かれた美紀夫人はこくりと頷くと、文夫の唇に自らの唇を寄せる。
「母さん……い、いけないよ。こんなこと」
「母さんと思っちゃ駄目。ひとりの女だと……そう、年上の恋人だと思って……美紀を愛して……」
 夫人はほざくようにそう言うと、そのぽってりとした唇を文夫の唇にぶつけるのだった。
(ああっ)
 その瞬間、美紀夫人の身体を電流のような衝撃が貫く。
 実の息子と唇を合わせる──その背徳の感覚が、夫人の全身をたちまち痺れさせていくのだ。
 そんな強烈な感覚に夫人はのめり込むかのように、激しく文夫の舌を吸い上げ、豊満な乳房を文夫の胸にすり付けていく。
「ねえ、ねえ、文夫さん。もっと感じて……もっと堅くして」
 美紀夫人は唇を離すと、甘えるように訴えながら文夫に頬ずりし、逞しいばかりに張り出した腰部を文夫の硬化したものにすり付けるようにする。そんな美紀夫人の媚態に煽られるように文夫も積極性を示し始め、夫人の唇を自ら求めるのだった。
「ほう、文夫君もやる気を出してきたようじゃないか」
 文夫が美紀夫人の口を吸いながら、腰をもどかしげに動かし始めたのを見た津村は、満足げに小夜子に語りかける。小夜子もまた文夫が今にも美紀夫人と繋がろうとしているのに気づき、慄然とする。
(お母様……文夫……)
 いくら悪鬼たちに強制されたとは言え、血を分けた母と息子が互いの肉を貪り合うという禁断の行為に身を投じるとは──小夜子は今眼前で展開している光景がとても現実のものとは思えない。
 しかしながらその一方で、いよいよ来るべきものが来たという思いがわき起こっているのも事実なのだ。弟とともに淫獄に囚えられ、日夜言語に絶する辱めを受け続けたあげく、母までが生贄の列に加わることとなってからは、いつかこのような時が来ると言うことは薄々分かっていたのではないか。
「文夫さん……違うわ……もっと下……い、いえ……それじゃ上すぎるわ」
 文夫が少女のようにすすり泣きながら、母親を求めて腰をうねらせる。美紀夫人はそんな文夫を優しく受け止めるように、懸命にその動きを文夫に同調させているのだ。
「ほらほら、頑張れ。文夫さん」
「もっとしっかり腰を振るのよ」
 したたかに酔っぱらった和枝と葉子はゲラゲラ笑いながら、美しい母と息子の狂態を眺めているのだ。
「そ、そこよ。文夫さん。強く突いてっ」
 美紀夫人は急に動きを止めて、優美な裸身を弓なりに反らずようにする。すかさず文夫がぐっと腰を入れると、美紀夫人の喉から「ああっ」という悲鳴が迸り出る。
「受け入れたのね、奥様」
 春太郎がすかさず美紀夫人に問いかけると、夫人はがくがくと裸身を震わせながら「は、はい」と頷く。
「奥様の身体のどこにに何が入ったの。見物のお客様に教えてあげなさい」
「はい……」
 夫人は再び頷くと、とろりと潤んだ瞳を和枝と葉子に向け、
「み、美紀のおマンコに……息子のおチンポが入っていますわ」
 と口にする。
 上流に生まれ育った美貌の夫人がそんな卑語を口にしたので、和枝と葉子は手を叩いて笑い合う。
「聞いた、葉子。いいところのご婦人が『マンコにチンポが入っています』だって」
「それも息子のおチンポだって言うからあきれたわ」
 そんな嘲りの言葉を、美紀夫人はぐっと唇を噛みしめるようにしながら聞いている。
「奥様、今自分が何をしているのか分かっているの。近親相姦よ、近親相姦。いくら旦那が構ってくれなくて欲求不満だからって言って、よりにもよって息子のチンポをくわえ込むなんて母親として恥ずかしいとは思わないの」
 酒に酔った和枝が嫉妬に駆られてそんな罵声を浴びせると、ついに美紀夫人は肩を震わせて泣き始める。
(ちょっとやりすぎたか)
 媚薬の効果もあって、せっかく美紀夫人がこちらの思う壺に入ってきたのに、女たちの悪のりのせいで気持ちが醒めたらたまらない。そう思った春太郎は、慌てて文夫の尻をぱしっと叩く。
「ほらほら、文夫さん。ぼんやりしないで腰を振りなさい。お母さんをうれし泣きさせてあげるのよ」
 しなしながら文夫もまた母親の涙のせいで我に返ったのか、美紀夫人の肩に顔を埋めるようにしてすすり泣いている。男色の調教をし続けたことによって、男らしさを喪失してしまったのかのような文夫の姿に、春太郎は当惑して夏次郎と顔を見合わせる。
「もう一度酒を飲ませる?」
 夏次郎の言葉に春太郎は首を振る。媚薬は使いようによっては役に立つが、度を超したらかえって逆効果である。思いあぐねた春太郎が首をひねっていたとき、突然小夜子の声が飛ぶ。