「ま、待って。も、もう少し我慢して」
 夫人は身体を弓なりにして、尖った花蕾を文夫の腰にぐっと押しつけるようにする。そして小刻みに腰を左右に動かして快楽の波を調整しながら小夜子に目を向ける。
 とろりと潤んだ小夜子の視線と夫人の視線が交錯する。美貌の母娘は互いの覚悟を伝えるように頷き合うのだ。
 夫人は再び顔を前に向け、文夫の目をじっと見つめながら、
「文夫さん、母さん、もう駄目っ」
 と口走りながら、腰を激しく前後させる。
「母さん、僕も、もう駄目だよっ」
 文夫もまた母親の攻勢を迎え撃つかのように、激しく腰を振り立てる。
「いっしょに、母さんと一緒にいきましょう。ああっ、文夫さんっ」
 美紀夫人が絶叫するようにそういうと、文夫もまた「ああっ、母さんっ」と悲鳴のような声を上げる。
「い、いくっ」
「母さんも、いくっ」
 ついに文夫と美紀夫人は同時に官能の絶頂を極め、重なり合わせた裸身を震わせる。そしてどちらから求め合ったのか、互いの唇をぶつけるように重ね合うと、舌を吸い合うのだ。
「くっ、い、いきますっ」
 ひとり自涜行為を演じてきた小夜子が二人の後を追うように美麗な裸身をのけぞらせ、快楽の頂に達する。上流に生まれ育った母子三人の鮮烈なまでの崩壊劇を目撃した女たちはいっせいに手を叩き、歓声を上げるのだった。

 美紀夫人、小夜子、そして文夫の三人は素っ裸を後ろ手に縛られて、春太郎と夏次郎によって地下の牢へと引き立てられていく。
「三人とも今日はご苦労だったわね。ご褒美に今夜は、親子水入らずで過ごさせて上げるわ」
 春太郎がそういうと、夏次郎が「親子仲良く、今日の舞台や調教の感想でも語り合うと良いわ」と続け、二人で声を上げて笑うのだった。
 美紀夫人たちはそんなからかいに対しても、もはや反発する気力もない。泥のように疲れた肉体を一刻も早く休めたい──人格を粉々に砕くような過酷な調教によって消耗しきった三人の頭には、そのことしかなくなっているのだ。
「さ、着いたわよ」
 三人は地下室の、二畳敷ほどの広さの檻の前に引き立てられる。そのあまりの狭さに美紀夫人は驚き、春太郎の顔を見る。
「どうしたの、奥様。目を丸くしちゃって」
「こ、こんな狭い檻に、私たち三人を押し込めようと言うのですか」
「そうよ、何か文句ある?」
 春太郎は夫人に向かって唇を尖らせる。
「そりゃあ、今まで住んでいたお屋敷よりは狭いかも知れないけど、あなたたちはもう贅沢を言える立場じゃないのよ」
「そうそう、住めば都っていうじゃない」
 春太郎と夏次郎はそういって笑い合う。
「で、でも、こんなに狭くては身体を休めることも出来ません」
「そんなことないわよ。三人ぴったりと身体を寄せ合えば、十分休むことは出来るわ」
「文句があるなら文夫さんは和枝さんのところに連れて行ってもいいのよ。何しろあの人は岩崎親分の関係の大事なお客様だから、部屋の広さは十分よ。そのかわり、一晩中寝かせてもらえないかも知れないけどね」
 春太郎が脅すようにそう言うと、美紀夫人はぐっと言葉に詰まり、口惜しげに唇を噛む。
「お母様、逆らっても無駄よ。言われたとおりにしましょう」
 小夜子が夫人に声をかける。
「娘の方がよっぽど素直じゃない。さ、どうするの。三人でここに入るの。それとも文夫は和枝さんの部屋に連れて行く方がいいの」
「こ、ここで休みます」
 美紀夫人が屈服の意を示すと、春太郎は満足そうに頷く。
「最初からそういえば良いのよ」
 屈辱に肩を震わせる美紀夫人にちらと視線をやった小夜子は、春太郎に向かって「檻に入ります。縄を解いてください」と告げる。
「すぐに解いて上げるわけにはいかないわ」
「えっ」
「私たちに反抗した罰として、奥様とお嬢さんには鈴縄をつけて入ってもらうわ」
「そんな……」
 執拗なまでのいたぶりに、小夜子は呆然と言葉を失う。
「心配しなくても一時関したら外して上げるわ。それまでせいぜい、親子三人仲良く語り合っておくことね」
 春太郎はそういうとポケットから、金と銀の鈴が取り付けられた赤白段だらの紐を取り出し、小夜子の腰に巻き付けていく。
 弱々しく腰をひねり抵抗しようとする小夜子に春太郎は、「逆らったら一晩中このままよ。それでもいいの」と言い放つ。それで反抗の意思がくじかれた小夜子は、屈辱の縄を身体の奥深く食い込まされていくのだ。
 美紀夫人もまた夏次郎によって、同様の縄を締められていく。
「さ、出来上がりよ」
 春太郎は小夜子の太腿をパシッと叩くと、「ちょっとそこに、お母さんと一緒に並んでご覧なさい」と命じる。
 美紀夫人も小夜子も、一刻も早くこの汚辱から解放されたいという一心で、命じられるまま檻の前に並んで立つ。美貌の母娘の股間を締め上げている鈴縄──小夜子に施されたそれは剃毛によって陰りを失った秘裂を割り、そのふっくらとした媚肉に食い込んでいる。
 また、美紀夫人に施された淫縄は、秘奥を覆う艶やかな繊毛の間に姿を隠し、夫人の女の急所をはっきりと封じているのだ。
「こう見るとやっぱり、そこのところは剃り上げておいた方が調教をつけやすいわね」
 春太郎は母と娘のその部分を見比べながら笑うと、文夫に向かって「ね、文夫さん、あなたはどう思う」と尋ねる。
 顔を赤らめて俯く文夫に春太郎と夏次郎は「まあ、照れているわ。可愛いのね」と言って笑い合う。
「さ、入りなさい」
 春太郎は檻の扉を開けると、美紀夫人、文夫、そして小夜子の順に中へと押し込んでいく。バランスを失った三人は互いに身体を支え合うようにして、どうにか正座の姿勢をとる。
「それじゃしばらく親子三人で、今日のショーの反省会でもしていなさい」
 春太郎と夏次郎はそういうと、ケラケラ笑いながら地下室を出ていくのだった。
 照明と言えば天井から垂れ下がった裸電球のみの、薄暗い地下室の檻の中で、美紀夫人、小夜子、そして文夫の三人はともに身体をちぢこめ合うようにしながらすすり泣いている。
「文夫さん……ごめんなさい……お母さんを許して……」
 無理矢理そうさせられたとはいえ、血を分けた息子と肉に契りを持つに至った美紀夫人の衝撃は計り知れない。
 また、同時に夫人はそのことによって、文夫の心に取り返しのつかないほどの傷を負わせることになったのではないかという思いに打ちひしがれているのだ。