変身(妻物語版)

変身(妻物語版)

変身(25)

「教えて欲しいことがある」 「なんでしょう?」 「あんた、女の前では関西弁を隠すのか?」 「そんなことはありません。これが地ですし、女を口説く時はむしろ関西弁の方が便利です」 「なら、どうして妻の前では関西弁を抑えていた?」 「それは簡単で...
変身(妻物語版)

変身(24)

私は翌日、会社には医者に立ち寄ると連絡して春日に会うことにしました。  今回は会社の近くの喫茶店は避け、駅の近くの公園に春日を呼び出しました。朝の公園は人も少なく、周囲に話を聞かれる心配がありません。  春日はほぼ時間どおりに、中年太りの身...
変身(妻物語版)

変身(23)

妻の涙がポタポタとテーブルの上に落ちます。私は何を言ったら良いか、言葉を失いました。 「寂しかったから春日に抱かれたのか」 「違います……あなたに、抱かれたかった」 風俗にのめり込んでいる間、それまでも疎遠気味だった妻とのセックスはますます...
変身(妻物語版)

変身(22)

「それと、離婚するかしないかは俺達夫婦の問題だ。お前が口出しをするな」 「ごもっともです」 「それからさっきからのお前の関西弁も気に入らない。ふざけているのか」 「ふざけていません。私はもともと関西出身で、これが普通です。銀行でも関西弁で通...
変身(妻物語版)

変身(21)

私と話をしたければ携帯に電話をすればすむことです。妻は私が家にいないことを知りながらあえて家の電話にかけて来たということは、私とすぐに話すのを避けたかったからでしょうか。  私は妻の希望をわざと無視して、実家の電話にかけます。病に倒れている...
変身(妻物語版)

変身(20)

春日は紀美子の勤める部署の次長のようです。銀行での出世の早さがどういったものなのか良く知りませんので、優秀なのかそうでないのか分かりかねます。電話が保留にさせる間、聞き慣れたクラシックのメロディが流れました。私は必死で気持ちを落ち着けます。...
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