アーカイブ: 1月, 2018
68.地獄巡り(6)
(……!) 姿見に映った自分の姿を目にした久美子は思わず絶句する。光沢のあるピンクのベビードールは薄い布越しに乳首がはっきりと透けて見え、何とも言えぬ卑猥さである。そんな衣装を身にまとっている姿が自分だとは俄に信じられないほどである。 美紀と絹代が身にまとったベビードールはさらに扇情的であり、それぞれ赤と黒のレース越しに素肌がはっきりと透けて見え、二人の人妻はべそをかきそうな顔付きになっている…
67.地獄巡り(5)
絹代は口惜しげに眉をしかめながら、久美子に身体を近づけて囁く。 「久美子さん、本当に助けは来るんですの?」 「ええ、間違いありませんわ」 久美子は小さく頷く。 「でも、先程申し上げた通り、早くても明日の午前中だと思います。今夜は何があってもじっと耐えないと」 「わかっていますわ、でも――」 「その、熊沢組という暴力団の幹部がこの屋敷に滞在しているというのも、こちらとしてはかえって好都合です。連…
66.地獄巡り(4)
「鬼源さんっていうのは森田組専属の調教師なの。後であなたたちも紹介してあげるわ。女の命を吊り上げられるようなもんだから辛いわよ。久美子なら耐えられるかしら」 そう言って笑いかける銀子を見た久美子の身体に悪寒が走る。 (森田組――それが静子夫人たちを誘拐した黒幕なの? どうして銀子はその名を私たちに?) (自分たちが捕まるはずがないと思っているの?) そんな不安に駆られている久美子の耳に京子と美…