14.姉弟無残(2)

 小夜子も均整のとれた弟の裸身と、その股間の男の象徴がみるみるうちに逞しくなっていくのを見て、頬をさっと赤らめる。
「まあ、文夫ったら、お姉さんの素っ裸を見て早速おチンチンを堅くさせるなんて。いけないお坊っちゃんね」
朱美が嘲笑を浴びせると文夫はうろたえたように顔を逸らす。
「あれだけ可愛がってやっても一向に堅くならんかったくせに。現金な奴や」
義子が苦々しげにそう言い、硬化していく見事な肉棒をはじくと、文夫はさっと顔を赤らめる。そんな文夫の仕草からはまるで処女が恥じらうような色気が漂い、葉桜団の女たちは嗜虐的な愉悦に身体を痺れさせる。
(ま、まさか――新しいショーの相手って――)
意味ありげな表情を小夜子に向けて微笑を浮かべている朱美。小夜子の裸身はあまりの恐怖にガタガタ震え出す。
「もうわかったと思うけど、これから小夜子は文夫とコンビを組んでもらうわ」
朱美が小夜子にそう言い渡すと、小夜子の裸身はますます激しく震え出す。
「静子夫人が妊娠したので、新しくショーの体制を作り直すことになったのよ。これからは折原珠江を中心にショーのコンビを組ませる。いずれは小夜子も珠江夫人とのレズを演じてもらうけれど、珠江を静子夫人の域に達するまで調教するのには、かなり時間がかかると思うわ」
銀子がそう言うと、朱美が口を挟む。
「それでも森田親分と鬼源さんは急いで仕上げようと、珠江をチンピラ部屋に漬けたみたいだけど」
「三日三晩、竹田さんや堀川さんたちにやられっぱなしになるっていうわ」
「なんや、珠江がうらやましい気もするな」
マリと義子がケラケラ笑いあう。
「心配しないでも最後の一線は越えさせないであげるわ」
「お姉様の奇麗なお手手や、お口を使って弟を発射させることはあるだろうけどね」
銀子と朱美はそんな風に小夜子に声をかける。
「――あ、朱美さん。お願いです」
小夜子は哀切感のこもった視線を朱美に向け、声を震わせる。
「なによ」
「さ、小夜子は実演スターとして森田組のために働くことは納得しました。弟の文夫も同じです――」
「当たり前でしょ。貴方達は森田組の奴隷なのよ」
朱美の冷酷な言葉に小夜子はうつむくが、再び顔を上げる。
「ほ、他のことなら何でも我慢します。でも、血のつながった姉弟を一緒になぶるのだけは堪忍して――」
「贅沢言うんじゃないわよっ」
銀子が小夜子の頬を平手打ちする。
「姉さんっ」
文夫は小夜子をかばうように鎖につながれた裸身を捩らせる。
「奴隷のくせにあれこれ注文を付けると承知しないわよ。京子と美津子のように近親相姦コンビにしてあげようかっ」
「姉弟そろってご立派なお道具を持っているんだから、いい実演コンビになるわよ」
銀子はいきなり文夫の股間に垂れ下がった肉棒をつかみ、ごしごしと乱暴にしごき上げた。
「ううっ」
文夫が柔肉を激しく摩擦される苦痛に思わず呻き声を上げる。
「わ、わかりましたっ。もう我侭は申しませんっ。で、ですから、弟を苛めるのは止めてくださいっ」
平手打ちをされて赤く腫れた小夜子のなめらかな頬に、一筋涙が伝わる。
「わかったらしゃんとして向かい合いなっ。今度文句を付けると承知しないわよっ」
銀子の怒声を浴び、小夜子は濡れた瞳を文夫に向ける。
「ふ、文夫さん――もうどうにもならないわっ。お姉さんと地獄へ落ちてっ」
「姉さんっ」
文夫も小夜子の哀切的な声に引き込まれるように、涙で喉を詰まらせる。
(静子お姉様……ああ、小夜子はいったいどうしたらいいのっ)
小夜子は自らの守護神に祈るように、胸の中で静子に呼びかける。
しかし、その静子夫人は無残にも人工授精を施され、父親の分からぬ子を宿すというのだ。ここまで徹底した人間性の破壊が考えられるだろうか。
母親となった静子夫人は、その慈愛に満ちた性格を悪魔たちに逆手に取られ、子供の身を守るためならどのような惨い仕置きにも耐えることだろう。
口にできないほどおぞましい自らの写真が、内村春彦他、小夜子の友人、知人にばらまかれてしまった今、小夜子にとって一生をこの田代屋敷で暮らすという生き地獄のような選択が現実味を帯びてくる。
妊娠、そして出産――女にとって幸福なことであるはずのものが、小夜子には悪夢のように感じられる。文夫とは最後の一線は越えさせないと言われたが、悪魔たちの約束は当てにならない。当面は肉の関係は持たさないといっても、じわじわと追い込まれ、いずれは姉と弟が獣のように互いの肉を貪り合うようなおぞましい瞬間が訪れることだろう。仮に弟の子を宿すことになったら、自分は一体どうしたらよいのか。
小夜子はふと、母親の美紀のことを思い出す。いつもは夫の陰に控えているが、美しく気丈で、芯の強い母。その母が今の小夜子の姿を見たら何というだろうか。
(ああ……お母様……小夜子、いったいどうなるの)
小夜子は祈るような思いで母親の美紀に呼びかけるのだ。

本番までは許されたものの、村瀬小夜子と文夫の姉弟は遂にコンビでいわゆるポルノショーを演じることとなった。上流階級に生まれ、何不自由なく育った美しい姉弟に対するショーの調教は、お互いの素っ裸を見つめ合いながらのオナニーショーの練習から始まる。
朱美と銀子が小夜子の股間に鈴縄を取り付けようと白い陶器のような太腿に手をかけると、小夜子は全てをあきらめたように両肢の力を抜き、ゆっくりと両腿を開いていく。
「この前竹田さんに剃ってもらったばかりなのに、また少し生えてきたわね」
朱美が小夜子の薄い繊毛に覆われた秘所をそっと撫であげると、小夜子は電流に触れたようにびくっと身体を震わせる。
「こっちのお坊ちゃんも無駄毛が生えてきているわ」
「みっともないから姉弟一緒に剃ってしまいまひょか、銀子姐さん」
マリと義子も、文夫の若茎をつまみながらそんな風に笑う。
「まあ、お待ちよ。それもショーの出し物に使えそうだ。今剃っちゃうのは勿体ないよ」
「なるほど、それもそうや」
銀子の言葉に義子は頷く。
「そういうわけや、お坊ちゃん。ショーに出演した時、お客さんの見ている前でお姉ちゃんと仲良く一緒に剃り上げてやるさかい、楽しみに待っているんやで」
義子が文夫の半ば硬化を見せている肉棒を指で弾くと、それはブルンと勢いよく振れる。
「まあ、このお坊ちゃん、わかりましたってオチンチンで返事をしているわ」
義子とマリはそう言って笑い合う。

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