26.激しい調教(7)

「ところでお嬢様はどうしてお仕置きされることになったの? 詳しく教えてちょうだい」
順子は素っ裸の美沙江につかつかと近寄ると顎に手をかけて顔を上げさせる。美沙江は思わず赤く染まった顔を順子から逸らす。
「あら、目を逸らせちゃ駄目よ。ちゃんとこっちを向きながら教えるのよ」
美沙江は口惜しげな目を順子に向ける。
「み、美沙江の……緊め具合が良くなかったからです」
美沙江は口ごもりながら順子に告げる。
「緊め具合ですって? 何のことかしら? どこの緊め具合が悪かったの」
「美沙江、大塚先生にちゃんと教えるのよ」
マリに尻の肉をつねられ、美沙江は目尻から一筋涙を流す。
「み、美沙江のお、おマンコの緊め具合が――」
「まあ、お嬢さん、なんてはしたない!」
順子がわざとらしく大声を上げる。
「千原流の家元がおマンコやなんて」
「まったく、恥ずかしくないんかいな?」
順子の声に煽られたように、友子と直江がわっとはやしたてる。
あまりの羞恥と屈辱に肩を震わせて鳴咽する素っ裸の美沙江を見ながら順子は恍惚とした快感を覚える。
「そんな卑猥な言葉を平気に口にするなんて、お嬢様は一体どんな躾を受けたのかしら。ぜひ一度親の顔が見てみたいわ」
「……」
順子の言葉のいたぶりに、美沙江は死んだ気になって耐えている。
「そういえば私、お嬢様のお父様の千原元康先生を見たことがないわ。噂ではご病気が重くてお外へ出れないんですってね」
じっと口をつぐんでいる美沙江をよそに、順子はぺらぺらと話し続ける。
「お母様もそんなお父様につきっきりらしいじゃない。お嬢様の躾がおろそかになるのも仕方がないってことかしら」
「ち、父や母を侮辱しないでください」
「あら、全部本当のことよ」
美沙江は思わず反撥するが、順子は一向に気に止める様子もない。
「それで、お嬢様が19歳の若さでで千原流の名代を務め、それを折原珠江夫人が支えて来たってわけね。だけどそのお嬢様も折原夫人も、今や素っ裸の女奴隷。家元のお父様は再起不能。伝統ある千原流もいよいよお嬢様の代でおしまいってことね」
順子の残酷な言葉に美沙江はついに声を上げて泣き出す。そんな美沙江に桂子と美津子が痛ましげな視線を向ける。
大塚順子の珠江や美沙江に対するいたぶりの執拗さには、桂子は病的なものすら感じる。それは千代の静子に対するねちっこい責めと共通するものがある。
桂子は時折、千代の静子に対する感情は屈折した愛情ではないかと思うことがある。千代の指示で酔いどれ医師の山内の手によって人工授精まで施された静子――それは、千代が自らの子供を静子に産ませたかったからではないかとさえ思うのだ。
最近、葉桜団の義子やマリは、銀子や朱美がいない時は桂子に対して話しかけてくることがある。桂子は葉桜団の団長であり、団の掟を破ったことで銀子や朱美に粛正されることになったが、桂子に代わって団長になった銀子や、その片腕の副団長の朱美以外は、もともと桂子に対してそれほど悪感情を抱いていない。
むしろ最近森田組に対して協力的な桂子には、徐々に警戒の目も弱くなっているのが実情である。
義子やマリの話によると、最近の千代は人工授精が成功し、ほぼ確実に妊娠したと思われる静子の元へ毎日のように通い、早々と買い込んだベビー服や玩具を静子の前に並べては長々と話し込んでいるという。
「あの千代夫人が静子と仲良く話し込んでいるんだから驚いたわ」
マリは調教の合間に桂子に対してそんな風に語りかけた。それを聞いた桂子は自分の想像がどうやら正しかったことを知ると共に、なんとも複雑な気分になったものである。
静子夫人はこの地獄屋敷の中で子を宿すことを自分の運命として受け入れ、まだ見ぬ子に愛情を注ごうとしている――。
(やはり私は、あの人にとって娘ではなかったのか)
桂子は、自分の複雑な感情がいずれ産まれてくるであろう静子夫人の子供に対する嫉妬だということまでは、まだ気づいていなかった。

一方、順子たちの言葉責めを受けている美沙江は胸の中で自分の守護神に呼びかけるように、珠江の名を呼ぶ。
(ああ……おば様……美沙江を助けて)
父の元康の介護で手が離せない母に代わって美沙江をまるで年の離れた妹――いや、むしろ母のように愛情を注ぎ、守って来た珠江夫人。珠江が夫の源一郎との間に子供が出来ないことがそんな二人の関係をいっそう強めたのかもしれない。
しかし今、美沙江を常に守ってきた珠江はチンピラ部屋に幽閉され、野蛮な男たちに日夜蹂躙されているという。今や美沙江は孤立無援で順子たちに対峙しなければならなかった。
「それじゃあお嬢様、おマンコの緊まりが悪いお嬢様にたっぷりお仕置きしてあげるわ。いいわね」
「は、はい――」
拒絶すればするほど加えられる責めは大きくなることを美沙江はわかっている。どんなおぞましい責めでも悦んで甘受するほかはないのだ。
「お仕置きは何がいいかしら――そうね、お嬢様のお通じの具合はどうなの?」
「えっ……」
突然順子にそんなことを聞かれた義子は一瞬面食らう。
「そうでんな、少し便秘気味やけど。まあ、普通こんなところへ誘拐されたら多少はそんな風に――」
「それはいけないわ」
順子は大袈裟に驚き、義子の言葉を途中で遮るように声を上げる。
「お嬢様ったら、便秘なの?」
順子が美沙江に尋ねると、美沙江は真っ赤に頬を染めてうつむく。友子と直江がくすくすと声を上げて笑う。
「ちゃんと答えなさい。どうなの、便秘なの?」
「はい……」
蚊の鳴くような声で美沙江が返事をすると、友子と直江の笑い声が一層高まる。
「便秘は健康によくないし、美容の大敵よ。ちょうどいいわ。お仕置きとして浣腸をしてあげるわ。お嬢様の便秘も解消出来るし」
「ああ、そんな……」
顔を上げた美沙江の顔は涙で濡れている。
「そんなに嫌がらんでええのよ、お嬢さん」
「そうや、お付きの女中やった私たちが、優しく浣腸してあげるわ」
友子と直江がそんなからかいの言葉を浴びせながら美沙江の柔らかい内腿を抓ったり、乳首を引っ張ったりする。
上流の世界で育った美沙江にとって最もおぞましい責めを選ぶ順子たちの残酷さ。美沙江はついに根負けしたように、激しくすすり上げながら順子にいう。
「お、大塚先生、み、美沙江のお尻にお浣腸のお仕置きをたっぷりして下さい――」
そんな屈辱の言葉を口にした美沙江は、再びわっと号泣するのだった。

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