43.姉と姉(7)

「春太郎と夏次郎、吉沢は珠江夫人の裏門の調教。大塚先生と葉子、和枝夫人は美沙江の水揚げに立ち会ってます」
「ほう、すると時造さんは大塚先生と、兄貴の大五郎親分の妾二人の目の前で美沙江を抱くってわけか」
さすがの田代も、順子を始めとする中年女たちの厚顔さに呆れたような顔付きになる。
「湖月流にとっては長年の宿敵とも言える千原流の家元令嬢が、やくざの手で処女を散らされるんですから、大塚先生としては祝杯でも上げたい気分でじっとしてられないんでしょう」
「それにしても酷いもんだな。同じ女でもこうも違うもんか」
田代は静子夫人や珠江夫人の淑やかさと慎ましさを思い起こし、溜め息を吐く。
「いや、社長、千代夫人や大塚先生のような女も確かに異常ですが、静子夫人や珠江夫人のような女も珍しいんです。ああいった女は滅多にいませんや」
「そうだな。小夜子や美沙江たちと葉桜団のズベ公どもを比べても、まさに月とスッポンだ」
森田の言葉に田代は自分のことはすっかり棚に上げて頷く。
舞台の上の京子と小夜子の淫靡な踊りは今や最高潮に達し、二人の美女はズベ公ややくざ達の手拍子に合わせ、汗が飛び散るように激しく裸身をうねり回せている。
「あ、ああっ、さ、小夜子、もうっ」
「だ、駄目よっ、小夜子さんっ。京子を置いていかないでっ」
断末魔が近づいた小夜子が狼狽の悲鳴を上げると、京子が小夜子を叱咤するような声を上げ、いっそう激しく裸身をうねり回せる。
空手で鍛えられた京子の23歳の裸身と、女らしい線で囲まれた小夜子の22歳の裸身が汗にまみれ、甘い果汁の香りを発しながらうねり舞う様子は、広い奥座敷を埋めたやくざやズベ公たちの目をすっかり奪っている。その様子に森田は、鬼源の発案による京子と小夜子の姉対姉のショーはなんとかものになるのではと安堵する。
これに加えて珠江夫人が人妻らしく成熟した艶技を見せれば当面静子夫人が抜けた穴はなんとか埋まるのではないか。森田がそう考えているとようやく小夜子に追いついた京子が「小夜子さん、い、いいわっ」と切羽詰まった様子で声をかける。
「さ、小夜子、いくっ」
「京子もいきますっ」
二人の美しい女奴隷がほとんど同時に獣を思わせる咆吼とともに事切れる。二つの美麗な肉体からは玉のような汗がどっと噴き出し、腰のあたりは互いにリズムを合わせるようにブルブルと痙攣している。
「まあ、嫌だ。ほとんど同時に気をやったわ」
「まったく、器用なものね」
葉桜団の不良少女たちはどっと歓声を上げ、手を叩いて囃し立てる。そんなからかいの声を、京子と小夜子はじっと目を閉じて聞いている。
「どう、京子。気持ちよかった?」
銀子が京子の美しい顎に手をかけ、ピンク色に染まった顔を持ち上げるようにすると、京子はさも恥ずかしげにこっくりうなずく。
「大勢の人の前で、カメラに撮影されながらオナニーをして思いきり気をやるなんて、空手二段の鉄火娘もずいぶんエッチな女の子になったものね」
「ああ、銀子さん……。もうそんなことはいわないで。京子は空手など二度と使わない可愛い女の子になり、森田組のために働くことを誓ったのです」
「わかったわ。それじゃあ、京子が可愛い女の子になったご褒美にキッスをしてあげるわ」
「ああ、それは……」
「なによ、静子夫人や美津子じゃないとレズは嫌だというの? 女奴隷は相手が男だろうが女だろうが、命じられた相手と喜んで寝なけりゃあならないのよ」
銀子が再び唇を求めると京子は拒否する気力もなく、不良少女の首領と唇をあわせ、絹のように滑らかな舌を吸わせるのだ。
朱美もそれを真似たかのように、小夜子の柔らかい乳房を粘っこくもみ上げながらディープキスを注ぎ込む。
「小夜子が可愛くいく、いくっていう瞬間の声がばっちり映画にも録音されたわ。あのときの声の大きさでは京子に負けてなかったわよ」
「意地悪なことをおっしゃらないで……小夜子、恥ずかしいわ」
「深窓のご令嬢も、立派なポルノ女優に変身したってわけね。婚約者の内田さんやご両親が今の小夜子を見たらどう思うかしら」
「ああ、朱美さん、お願いですからもう昔のことはいわないで……。小夜子は以前の生活にはきっぱりと別れを告げて、森田組の実演スターとして生きていくと決心したのです」
「そう、そう、いい子ね。二人とも森田組と葉桜団のために、しっかりと働くのよ。あなた達は金の卵を産む鶏なんだからね」
銀子と朱美はたっぷりと女奴隷の甘い舌先を堪能し終えると、二人の股間に噛ませた鈴縄を取り外す。
「まあ、小夜子ったら、こんなにぐっしょり濡らしちゃって。よほど気持ちが良かったのね」
朱美がは小夜子から外した鈴縄を手に取り、京子の目の前に見せつけるようにする。
「京子も負けていないわよ。しっとり濡れて、なんだか縄が重くなったみたいだわ」
銀子も朱美を真似て濡れた鈴縄を京子に見せつけると、ふと何かを思いついたように見物に回っている義子の方を振り返る。
「義子、これでお坊ちゃんに猿轡をかけてやってよ」
「え? ああ、それは傑作や」
義子はニヤリと笑い、朱美から鈴縄を受け取ると舞台の脇で身を縮めるようにしている文夫に近寄る。義子と一緒に見物に回っていたマリが「あたいも手伝うよ」と立ち上がる。
「そういえばこのお坊ちゃんに、京子のパンティで猿轡をかけてやったことがあったな」
「よくそんなこと覚えているわね」
「よく覚えているってほどのことでもないわ。このお坊ちゃんがこの屋敷に誘拐されてから、まだ三週間も経ってないんやで」
「そんなものかしら」
マリが首をひねる。
「もう何カ月も経ったような気がするけど」
「それに、あたいはこのお坊ちゃんのことは何でもよう覚えてるんや。確かあの時は美津子のピンクのパンティをはかされて、京子の水色のパンティで猿轡をされていたんや。その姿が男の癖に妙に媚めかしかったで」
義子はそんなことを言いながら文夫の顎に手をかける。
「さあ、大きく口を開くんや」
義子がそう命じると、文夫は姉に良く似た長い睫毛を哀しげに震わせながらそっと口を開く。義子はそんな文夫に、京子の股間に食い込んでいた鈴縄で猿轡を噛ませていく。
自分の汗と恥ずかしい愛液が浸み込んだ鈴縄を、妹の恋人である文夫の猿轡として使用される羞恥と屈辱に、京子は声を殺して嗚咽する。
「あら、嫌だわ。このお坊ちゃんたら、オチンチンを立てているじゃない」
文夫の股間の肉塊が隆々と勃起しているのを目ざとく見つけたマリが頓狂な声を上げる。
「どうしたのかしら、小夜子お姉様のオナニー姿を見て感じちゃったの? それとも京子お姉様のダイナマイトボディに欲情しちゃったのかしら」
あさましい身体の異変をマリに指摘された文夫は、狼狽した顔を背ける。一瞬、文夫と京子の視線が交錯し、二人は慌てたように顔を伏せる。

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