92.酒の肴(14)

 準備が出来たことを確認した鬼源は久美子の顔を覗き込むようにしながら話しかける。
「いいか、これから30分間、お前さんたちの豆をたっぷり責め上げる。少々辛い責めかもしれないが、これに耐えることが出来たら浣腸責めは勘弁してやろう。どうだ、受けてみるか」
久美子ははっとして鬼源の顔を見る。
股間の当たりに垂れている細いテグスを目にしても、久美子は鬼源のいう「豆責め」というのがどんなものか想像も付かない。しかし、これから行われようとしていた浣腸責め以上におぞましい責めがあるとは思えない。衆人環視の前で排泄を強要されるなど、そんなことをされたら絹代や美紀はショックのあまり頭がおかしくなってしまうかもしれないと、久美子は恐怖に似た思いに身体が震えるほどなのだ。
それに、30分間の猶予を与えられるというのは悪いことではない。もう夜が明けてからかなりの時間が経っているはずだ。その間に兄が救出に駆けつけてくれる可能性は大きい。
久美子は素早く左右の美紀と絹代に目をやる。美紀と絹代は決断は久美子に任せるというように頷く。
「わかったわ。責めを受けるわ」
「良い覚悟だ」
鬼源は満足そうに頷く。
「その代わり、30分間耐えてみせれば、本当に浣腸は勘弁してくれるのね」
「ああ、約束するぜ。時間一杯耐え切れば、今日のところは檻に戻してやる。社長、親分、それで良いですね」
鬼源が振り向いて田代と森田にたずねると、二人は「鬼源に任せるよ」と頷く。
何とかこの間に兄が救出に来てくれないかというのが久美子のたった一つの希望である。
記憶力に自信のある久美子は、義子たちをこの屋敷に送って来たタクシーのナンバーを正確に兄の山崎に伝えたことは断言できる。今頃はもう兄は、そのナンバーから運転手にたどり着き、この屋敷へと向かっているはずだ。
久美子にとって気掛かりなのは、このままでは兄が救援に現れた時、自分が言語を絶する恥ずかしい姿を晒している可能性が高いことである。兄に対して憧憬に近い感情を抱いている久美子は、あられもない姿態を兄に見られるのは身を切られるような辛さである。
(でも、今はそんなこと言っていられないわ)
久美子はそう考えて覚悟を決め、責めの開始を待っている。
大塚順子は目の前に下りて来た糸を見て首を傾げていたが、鬼源が「その糸をご婦人たちのお核に繋いでやってくだせえ」と言うのを聞いて、嬉々とした表情になる。
「奥様、お聞きになったでしょう。奥様の可愛い花の蕾を糸でえぐり出して上げるわ」
順子はそう言うと絹代の陰核を指先で揉み立てる。
「あっ、なっ、何をっ!」
それまですべてを諦めたように女三人がかりの責めに身を任せるようにしていた絹代が激しくうろたえ始めたので、友子と直江はわっと歓声をあげる。
絹代と反対側のベッドの上では美紀が、銀子と朱美によって代わる代わる急所を揉み上げられ、絶叫に似た悲鳴を上げている。
「ほんと、ここを可愛がられた時の反応なんか、鈴縄をかけられた時の小夜子とそっくりだわ」
「さすがに小夜子はもう少し慎ましかったんじゃない? こんな獣みたいな声は上げなかったわ」
「そのあたりは矢っ張り中年女の貪欲さじゃないの。どっちにしても、ここのところをしっかり鍛え上げて、小夜子と並んで瓶吊り芸ができるように仕込んでやりたいわ」
「そうね、母親と姉が瓶吊りをするのに挟まれて、チンチンで分銅を吊りあげる文夫の姿も見てみたいわ」
銀子と朱美はそんな言葉を交わしながら美紀の花蕾を揉み上げていたが、「そろそろいいんじゃない?」と頷き合うと、テグスをその部分の根元に巻き付けて行く。
二人の人妻の中央では、久美子が義子とマリによって揉み上げられてすっかり膨張させた新鮮な貝柱に似たその部分に糸を巻き付けられている。
「や、やめて……そ、そんなことはやめて下さいっ!」
豆吊り責めと聞いた時、いったいどのようなものか理解出来なかった久美子だったが、ようやく鬼源の言う「豆」が女の敏感な陰核のことを指しているのだと気づき、激しく狼狽するのだった。
「偉そうに責めを受けると啖呵を切ったんやなかったんかい」
「そうよ。柔道の技で男をぶっ飛ばすようなお転婆が、いまさらやめてなんて気の弱いことを言わないでよ」
マリが口元に嘲笑を浮かべながら久美子の花芯を引っ張るようにすると、義子がそれに器用に糸を巻き付けて行く。
「あっ、ああっ……」
細いテグス糸で女の象徴をすっかり締め上げられた久美子は、羞恥、苦痛、そして屈辱といった言葉だけでは表現出来ないような強烈な感覚に思わず呻き声を上げる。
「しっかり巻き付けたわ。準備完了や、鬼源はん」
用意を終えた義子が鬼源に笑いかける。
「よし、一丁派手に吊り上げるか」
鬼源は残酷な笑みを浮かべるとぶら下がった糸を手で握り、思い切り引き下ろす。
「あっ! ああーっ!」
糸をかけられた久美子の花蕾が陰裂からぐいと引き出される。久美子の魂切るような悲鳴がホームバーに響き渡り、詰め掛けた男女はどっと笑い声を上げる。
「こんなものはまだまだだぜ。ほらっ」
鬼源がさらに力を込めて糸を引くと、久美子の尻は軽く木枕から浮き上がり、肉芽は完全に陰裂から引きずり出される。その部分に巻かれたテグス糸で身体を吊られた格好になった久美子のそれは限界まで引き伸ばされ、長さが二倍にもなったようである。
(ああっ、こ、こんなことって!)
鬼源の言う「豆吊り責め」とはこのことだったのか。女の急所に糸を巻かれて吊り上げられるなどという無残な仕置きはいったい現実のものだろうか。久美子は脳が炸裂するような強烈な感覚にのたうちながら、切れ切れになる思考の海を漂っている。
豆吊り責めというものを受ければおぞましい浣腸責めは免除してやると鬼源から宣告された時、久美子はそれが具体的はどういうものであるか分からないが、肉体的な苦痛はあるものの、羞恥と屈辱の極限とも言うべき浣腸よりは耐えやすいと考えた。痛みや苦しさを伴う拷問であれば鬼源が指定する30分の間それに耐えて、兄の救出を待とうと思ったのである。
しかし、鬼源の言う豆吊り責めは久美子の想像をはるかに超えるものだった。それは苦しみや痛みと言った言葉では表現できない激烈なもので、まさに女の魂そのものを引きずり出されて締め上げられるような感覚に久美子は陥っているのだ。
(ああっ、ど、どうにかなっちゃうっ!)
木枕の上に乗せ上げられた、久美子の逞しいまでに見事なヒップはその部分が糸吊りにされているために軽く浮き上がり、女の二つの羞恥の部分をこれ見よがしに晒している。
女の象徴を無残にいたぶられている久美子は、まるでその部分から身体全体が粉々に砕かれ、違う何かに作り替えられていくような感覚に陥っているのだ。
「ひいっ!」
「あっ、あーっ!」
久美子の悲鳴に続いて、両隣の美紀と絹代の喉からも相次いで絹を裂くような絶叫が迸り出る。美紀と絹代は共にその部分を久美子と同様、いや、それ以上に引き伸ばされ、成熟した腰部を木枕の上で激しくのたうたせているのだ。

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