99.久美子辛子責め(1)

 二階のホームバーの隣の、二つ並んだ部屋の手前が吉沢の部屋であり、奥の洋間が津村の部屋である。階段のある廊下を挟んで同様に二つ部屋が並んでいるが、手前の菊の間と呼ばれる八畳の和室が大塚順子に割り当てられており、その奥が鬼源の個室である。
ホームバーから連れ出された久美子、美紀、そして絹代の三人はそれぞれ吉沢、津村、大塚順子の部屋に連れ込まれることになる。
廊下で三方向に別れる寸前、三人の美女は互いの覚悟を確かめ合うように無言で視線を交わしあう。久美子は川田と吉沢に背中を押されるようにして部屋に入る。
当初の目論見がはずれた今、いつになったら救出されるのかまったく分からない。しかしながら、山崎としても久美子の告げたタクシーに該当がないと判明すれば、必然的に妹の久美子だけでなく依頼人である美紀と絹代にも危機が訪れていることになり、もはや探偵としての面子にこだわっている場合ではないため、当局と連絡を取って必死で手がかりを探すだろう。
少なくとも久美子が新宿のスナック『どん底』で葉桜団の女たちと接触したことは分かっている。スナックのマスターや常連客に聞き込みを行えば、いずれこの田代屋敷まで辿りつくことも十分考えられるのだ。
(そこまで美紀さんや絹代さんの──いや、私自身の神経が保つだろうか)
そう思うと久美子は暗然たる気持ちになるのだ。
(いや、私が弱気になってどうするの。こうなったら奴らがどんな手段で責めてきても、死んだ気になって耐えるのよ。いつかきっと兄さんが助けに来てくれるわ)
久美子は気力を奮い起こすように首を振るのだった。
久美子は吉沢の部屋に置かれた大型のダブルベッドの上に素っ裸のままで寝かされ、両手両足を広げて青竹に縛られ固定される。
「このベッドでは京子を散々可愛がってやったもんだ。最初のうちは必死で抵抗していたが、身体が馴染んで自分から腰を使い出すようになるまでそれほど時間はかからなかったぜ」
吉沢と川田は煙草をふかしながらベッドに縛り付けられた久美子を見下ろし、そんなことを楽しげに話しあっている。
「あなたたちは京子さんをそんな辱めに──」
久美子は憤怒に燃えた表情で川田と吉沢を順ににらみつける。
「覚えていらっしゃい。きっとあなたたちには罰が下されるわ。その時になって吠え面をかいても遅いわよ」
「まったく、元気なお嬢さんだぜ。たいていの女は浣腸されてその後始末までされたら、素直になるもんだが」
川田は苦笑しながら久美子の均整の取れた裸身を眺めている。
「しかし、それだけに責めがいがあるってもんだ。おまけにその後でたっぷりお楽しみもあるしな」
そう言いながら淫靡な笑みを交し合う川田と吉沢に、久美子が不安げな視線を向ける。
「あ、あなたたち、田代から私の身体には手を出さないように言われたんじゃないの。言いつけに背いてもいいの?」
「社長からはお嬢さんの処女膜を破るなと言われただけだ。それ以外は何をするなとは聞いていないぜ。な、吉沢の兄貴」
「その通りだ」
吉沢はにやにや笑いながら答える。
「女が男を楽しませるのは何もマンコを使ってのことだけじゃねえ」
久美子は吉沢の言葉に不気味なものを感じ、表情を硬くする。
「女には男を楽しませる穴が三つもついているんだ。マンコが使えないのならあとの二つを使えばいい。わかるか、お嬢さん」
吉沢は「ここんとこと……」と言いながら指先で久美子の唇に触れる。久美子ははっとした顔を横に逸らせる。
「それからここだ」
次に吉沢が久美子の菊蕾を指先で押すと、久美子は「な、何をするのっ!」と悲鳴を上げる。
「何をするも何も、さっきはここに浣腸をぶち込まれたあげく、びっくりするほどたくさん糞を垂れ流したじゃねえか」
「そうそう、俺と川やんが優しく後始末までしてやったのを覚えていないのかい」
川田と吉沢にそう揶揄された久美子は先ほどの羞恥がよみがえり、顔を赤らめる。
「いいか、よく聞きな。女は訓練しだいでここのところで男を受け入れられるようになるんだ」
「そ、そんなこと出切る訳がないじゃない」
「出来るかどうかやってみないとわからないだろう」
「お嬢さんも、オカマがどうやってセックスをするのか知らないわけじゃあるまい」
「し、知らないわ。そんなこと」
「まあそんなことはどうでもいい。知らないなら知らないで、じっくり教えてやるだけだ」
川田はそう言うと吉沢と淫靡な笑みを交し合う。
「これからたっぷり一日かけて、お嬢さんを色々な手段で責め上げるから覚悟をするんだな」
「どれもあのお転婆の京子や、じゃじゃ馬の珠江夫人にもしたことのない責めだが、鬼源からぜひお嬢さんの身体で試してくれといわれているもんだ」
川田がそう応じたとき、ドアがノックされる。
「誰だ」
「竹田と堀川ですが、鬼源さんから指示されたものを持ってきました」
「入りな」
吉沢が答えるとドアが開き、竹田と堀川が入ってくる。堀川は久美子が素っ裸のままベッドに大の字で縛り付けられているのを見て足を止める。
「なんだい、お前、何を照れくさそうな顔をしているんだ。さっきはこの女が素っ裸で糞や小便を撒き散らすところまで見ているじゃねえか」
「いや……こんなに近くで見るとやっぱり……」
堀川が急にズボンの前を押さえだしたので、川田と吉沢は顔を見合わせて笑いあう。
「急にチンチンを膨らませやがって。呆れたやつらだ」
自分とさほど年齢が変わらない二人の少年が現れたことに久美子は狼狽え、顔を赤らめて横へそらす。
「お前ら、この女のおかげで、あやうく俺たち全員がお縄になるところだったんだぜ。わかっているのか? 銀子と朱美が悦子の様子がおかしいことに気づいたから良かったようなものの」
「わ、分かってますって……だから仕置きにかけようっていうんでしょう」
堀川はあわてたようにそう答えると、手に持ったものを差し出す。
「しかし、こんなものいったい何に使うんですか」
竹田と堀川がもってきたものはすり鉢一杯に入った辛子、1メートルほどタコ糸と細いガラス棒、そして細い紐に繋げられた金属製の小さな輪といったものだった。
「まずはこの辛子だが」
川田はすり鉢を取り上げると、辛子を指で掬う。
「おう、こりゃあ辛味が利いているぜ」
川田は大げさに顔をしかめながら、山盛りに入った辛子を久美子に見せ付ける。
「どうだ、お嬢さん。実に辛そうだろう。見ただけで舌がヒリヒリしそうじゃないか」
「そ、そんなものをどうするつもりなの」
久美子の瞳に何ともいえぬ不安が現れているのを認めた川田はニヤリと残酷な笑みを浮かべる。
「やくざのリンチで辛子責めってのがあってな、この練り辛子をチンポやケツの穴まで摺りこむってものだ。どんな気が強い男でもそれをやられるとヒイヒイ泣き喚いて許しを請うらしい。それをお嬢さんに味わってもらおうって訳だ」
そんな川田の言葉を聞いた久美子の顔が見る見るうちに青ざめる。
「そ、そんなこと……本気なの」
「冗談でこんなことをするもんか。これをお嬢さんのマンコにたっぷり塗りつけてやる。どんな声で泣き喚くか、今から楽しみだぜ」
「それだけじゃない」
吉沢が川田の後を続ける。
「辛子責めを味わったら次はケツの穴の糸通しだ。この一メートルのタコ糸を、こっちのガラス棒を使ってお嬢さんのケツの穴に押し込む。なかなか根気のいる責めだが、全部押し込むまでは勘弁しないからそのつもりでいるんだな」

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました