「珠江夫人と美沙江の場合だって同じことが言えるわ。珠江夫人の美沙江に対する思い入れ、あれはどう見たってプラトニックな同性愛だわ。美沙江の側だって同じようなものよ。お互いのそんな思いをかなえさせて上げたんだから、二人ともきっと悦んでいるはずよ」
「美紀夫人や絹代夫人だって決して不幸とは言えないわ。この屋敷に来なければ、愛する娘や息子たちとは一生会うこともできなかったのよ。美紀夫人は宝石のことしか頭にない旦那から籠の鳥にされたままだし、絹代夫人は身体の弱い亭主の面倒を一生看ていたことだわ。あの二人もこの屋敷に来てから初めて、本当の女の悦びを味わえるようになったんじゃない。それに、いずれあの二人はこの屋敷で、いずれは自分の孫を抱くことが出来るわよ」
銀子はそこまで言うとおかしくてたまらないという風にクスクス笑い出す。
そうなのだろうか――久美子は混乱した頭でぼんやりと考える。
正常な思考能力がある時の久美子なら、銀子の身勝手な理屈には当然のように反論したことだろう。しかし、女の急所をテグス糸で吊られ、秘奥や菊花に淫らな薬液を塗り込まれた上に、「小巻き」と呼ばれる調教棒で身体の底に穴を穿たれている今の久美子は、全身がすっかり痺れたように力が入らない。頭の中もピンク色の靄がかかったようで、銀子の言うことを不思議なほど抵抗なく受け入れているのだった。
「お嬢さんのケツの穴がだいぶ柔らかくなって来たぜ」
小巻きを操作する鬼源が満足げな声を出す。
「そうなの、よかった。リラックスしてくれたのね」
銀子はそう言うと久美子の豊かな乳房を粘っこく揉み上げながら、身体を寄せ付けるようにして接吻を求める。久美子は抗うように上半身を悶えさせたが、それはもはや強い拒絶というよりは相手を甘く誘うような消極的な承諾とさえ思える。
銀子は久美子をぐっと抱き寄せると自らの唇を久美子の唇に押し付ける。「ううっ」と切なげなため息と共に久美子はそんな背徳の行為を受け入れる。
銀子は舌先を久美子の口中に差し入れると同時に、手のひらを使って久美子の乳首をくすぐる。羽毛で愛撫されるようなその感触に久美子の堅く閉ざされた歯は徐々に開き出す。
銀子はすかさず舌を差し入れ、久美子の舌先をからめとる。絹のように滑らかな久美子の舌の感触を楽しみながら、銀子はその甘い唾液をすすり上げる。
久美子はすっかりその口内を銀子に明け渡し、レズビアンの強者のなすがままにされている。唇、舌、口腔、そして歯茎――すべてが銀子の繊細かつ大胆な技巧によって蹂躙され、久美子は銀子の舌と唇によって魂が吸い取られるような錯覚さえ感じ始めるのだ。
まるで口内が性器と化して、同じく男根と化した銀子の舌に犯されている。そんな感覚に久美子は徐々に陶酔の極致に至り、その美麗な裸身はヒクヒクと小刻みに痙攣を示し出す。
唾液の糸を引くような濃厚で長い久美子との接吻を終えた銀子は、久美子のうなじや胸元にチュッ、チュッと接吻を注ぎ込みながら、片手で花芯を吊ったテグスを摘まみ、軽く引くようにする。そうすると久美子はますます燃え上がり、その心も身体も被虐の陶酔の海へと漂い始めるのだった。
「あっ、あっ、だ、駄目っ……」
久美子は甘い喘ぎ声を上げながら、その美麗な裸身をさらに激しく悶えさせる。その度にテグス糸で吊られた花芯がくい、くいとと引っ張られるが、久美子はそんな痛みさえも快感に置き換えるように、ハア、ハアと熱い吐息を吐いているばかりだった。
「おやおや、このお嬢さん、こっちの穴での楽しみ方がだいぶ分かってきたみたいじゃねえか」
久美子が隠微な菊花で小巻きと呼ばれる調教棒を無意識のうちにをきゅっ、きゅっと断続的に締めつけ始めたのを見た鬼源は思わずほくそ笑む。
「そうそう、そんな風に締めてやれば男は大喜びするわよ」
銀子もまたくすくす笑いながら久美子の花芯を指先でしごき続ける。
「そろそろ中巻きに変えても大丈夫そうだな」
鬼源はそう呟くと久美子の隠微な穴に装填した調教棒をゆっくりと引き上げる。すると久美子はまるでそうはさせまいとするかのように奥深い吸引力を発揮したので、鬼源と銀子は思わず顔を見合わせてぷっと吹き出す。
「こりゃ思わぬ掘り出しものだ」
鬼源はニヤリと笑いながら小巻きを引き出す。久美子のその部分は小さく口を開き、それ自身が生き物であるかのようにヒクヒクと収縮している。
「多少赤く腫れているようだが、これくらいなら大丈夫だ」
鬼源は改めて久美子の菊花にワセリンを塗り込む。新たな責めの準備のためのそんな汚辱の行為にさえ久美子は疼くような快感を知覚するのか「あっ、あっ」と切なげなため息さえ吐いているのだ。
鬼源は「中巻き」と呼ばれる調教棒を手に取ると、久美子の菊蕾に押し当てる。それは勃起した男の肉棒に近い太さがあり、久美子はその圧迫感にさすがに「ううっ!」と呻く。
「きついの? 久美子」
銀子が問いかけると久美子は無言のまま苦しげにうなずく。
「でも頑張るのよ、これを受け入れたら普通の男の肉棒ならそれほど苦もなく受け入れることが出来るわ」
そんな銀子の言葉に久美子が反射的に頷いたので、銀子は思わず吹き出す。
「こら、笑うんじゃねえ。ここが一番肝心なところなんだ」
「ごめんなさい。久美子があんまり真剣なんで。根が真面目なんでこんなことでも一生懸命やってしまうのね」
「こんなことってこと言い草があるか。大事なことじゃねえか」
鬼源は大真面目な表情で久美子の隠微な穴をじっと睨みつけながら、じわじわと中巻きを食い込ませて行く。ようやく先端部を呑み込ませた鬼源はほっと息をつく。
「ここまで来れば一安心だ」
鬼源は手に持った中巻きを静かに抽送させながら、久美子の菊蕾にさらに深く食い込ませて行く。
「ああっ、い、痛いっ、痛いわっ」
久美子はさすがにその繊細な箇所が突き破られる痛みに悲鳴を上げる。するとどこからか筆を持ちだしてきた銀子が、まるでむずがりだした赤ん坊を宥めるように、柔らかくした穂先で花芯をくすぐるのだ。
「ほらほら、いい子だから我慢するのよ。痛くないようにここをくすぐって上げるわ」
「あっ、ああっ、そ、そんなっ」
ピンと張られたテグス糸で限界まで引き出された女の急所を筆の穂先でくすぐられる――その甘く切ない感覚に久美子は切羽詰まった声を上げる。
鬼源はそんな銀子の責めと調子を合わせるように、ゆっくりと久美子の菊花を責め立てる。すると久美子の閉ざされた城壁は内側からあっけなく開かれ、鬼源が操る責め棒を城内へと受け入れて行くのだ。
「ひっ、い、いいっ」
銀子と鬼源による同時責めに翻弄されている久美子は、いつしかうわ言のような喘ぎ声を上げながら、二人の熟練した責め手によって快感の頂上へ向かって引き立てられて行く。久美子の秘奥からはまるで泉がわき出るように、早熟の愛液が吹きこぼれ、双臀の溝を伝って流れ落ちる。
そんな久美子の感受性の深さに銀子と鬼源は同時にほくそ笑む。久美子の絶頂が近いと見た銀子と鬼源は顔を見合わせてニヤリと笑い合うと、責めの手を強める。もはや二人の責め手に完全にその身をゆだねている久美子はついにその最後の備えを破られ、獣のような声を張り上げる。
「ああっ、い、いくっ! いくわっ!」
そんな断末魔の声と共に久美子は肛門に深々と装填された責め棒をぐっと締め上げ、同時に秘奥からは貝が潮を噴くようにピュッ、ピュッと透明な愛液を吹き上げる。そんな久美子の凄絶なまでの敗北の姿を、銀子と鬼源は会心の笑みを浮かべながら眺めているのだった。
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