147.懊悩の限界(9)

 朱美のそんな言葉に秘められた邪悪な企みに気づいた小夜子は、思わず顔を引きつらせるが、美紀は哀願するような表情を朱美に向けながら「いったい、どうすれば……」と尋ねかける。
「簡単なことさ。二人掛かりで文夫のあそこをおしゃぶりしてやるんだ」
「え、ええっ!」
美紀の目が驚愕で大きく見開かれる。ある程度朱美の言葉を予想していた小夜子は頬を染めて俯く。
「そ、そんなこと……出来るはずがありませんわ」
美紀は慌てて首を振る。
「出来なきゃ小夜子一人にやってもらうよ」
朱美は平然と言い返す。
「小夜子は以前、私たちに誓ったよね。姉弟でポルノショーのコンビを組むからには、近親相姦以外のことならなんでもやるって。それなら、舌で弟の肉棒を愛してやるくらいどうってことはないだろう?」
朱美のそんな残酷な言葉に小夜子は羞恥と屈辱のあまりしばらく肩を小刻みに震わせていたが、やがて顔を上げ、きっと朱美を見つめ返す。
「わ、わかりました。やりますわ」
「さ、小夜子――」
唖然として目を見開く美紀に小夜子は「ママ、小夜子の姿を見ないで」と告げると、ひざ立ちのまま文夫の前ににじり寄る。
「文夫さん――」
「ね、姉さん……」
まるで恋人同士のように切なげに見つめ合う美しい姉弟。小夜子は哀切な視線を文夫に投げかけると、綺麗にカールされた栗色の髪を振り、文夫の肉棒の先端に口づけをする。
「ああっ、ね、姉さんっ!」
その瞬間文夫の身体を電流のような快感が貫く。小夜子はチュッ、チュッと小さく音を立て、文夫の先端に続けざまに接吻を施していたが、やがて小さく口を開けて文夫の亀頭を咥える。
生臭さを伴う男の味が口中に広がり、小夜子の頭はあたかも麻酔を嗅がされたようにじんと痺れる。包皮を弾かせたその敏感な箇所を甘噛みしていると、それは次第に小夜子の口の中で膨張し、同時に硬さを帯びてくる。
(文夫さん……姉さんを許して……)
小夜子はこれまで文夫と、ディープキスやペッティング、そして指を使った愛撫などを強いられたことはあるが、弟に対してオーラルでの本格的な愛撫を施すのは初めての経験である。他の女奴隷たちと同様、田代屋敷に捕らわれた時は処女だった小夜子も様々な調教を受けるうちに、そんな娼婦めいた行為も身につけてさせられていたが、血を分けた弟にそれを強いられることになるとは――。小夜子は改めて、落ちるところまで落ちてしまったと実感するのだ。
しかしながらその一方で小夜子は、自分の愛撫で男の象徴をたちまち充血させて行く弟を舌先に感じているうちに、身体の中に妖しい背徳の炎が燃え始めるのを自覚し始める。
文夫もまた、実の姉の愛撫で興奮して行く自らの身体を浅ましく感じるとともに、小夜子に対する切ないまでの思慕の念が身体を焦がすばかりに燃え上がって行くのを感じている。それは悪鬼たちが綿密に計算した計画どおりに、文夫の中で姉に対する肉親の愛が異性愛へと変貌して行く過程だったのかもしれない。
(さ、小夜子……)
淫らな鬼に変貌したように弟を責め立てる娘の姿を目の当たりにしている美紀夫人だったが、その光景が現実のものであるとは信じられない。娘と息子の背徳の行為を言葉を忘れて見つめる美紀夫人の肩を朱美が叩く。
淫らな魔物に取り付かれたように弟の肉を貪っている小夜子、姉の舌先で愛撫され獣のように呻いている文夫。変わり果てた子供たちの姿に美紀夫人は圧倒されるとともに、このまま二人がそんな背徳の行為を続けると、気が狂ってしまうのではないかという恐怖さえ感じ始めているのだ。
「小夜子があんなに頑張っているのに、母親は高みの見物って訳?」
美紀夫人ははっとした表情で朱美を見る。
「文夫が戦闘可能な状態になるまで、小夜子は続けなきゃならないのよ。母親として娘を助けてやろうという気にはならないの?」
「い、いったいどうすれば……」
美紀夫人は哀願するような瞳を朱美に向ける。朱美は残酷そうな笑みを浮かべながら「そうねえ」と首を捻る。
「前は塞がっているようだから、奥様は文夫のお尻を愛してあげてよ」
「え、ええっ?」
美紀夫人は朱美の言葉に衝撃を受ける。
「そんなに驚くことはないじゃない。奥様はゆうべ、文夫さんにお尻を愛撫されたのでしょう。そのお返しをして上げればいいのよ」
そう言うと朱美は義子とマリに目配せする。二人のズベ公はにやりと頷くと文夫の背後に近寄り両方から形の良い両の尻たぼに手をかけ、ぐいと押し開く。
「ああっ……」
羞恥の蕾を露わにされた文夫は思わず狼狽の声を上げる。朱美は両手で美紀夫人の頭を、生々しく剥き出しにされた文夫のその箇所に押し付けるようにする。
「い、嫌っ」
思わず顔を背ける美紀夫人を、朱美はぴしゃりと平手打ちする。
「いつまで気取っているんだい!」
怒声を上げる朱美に夫人は恨めしげな目を向け「ゆ、許して下さい……実の親子にそんな恐ろしいことをさせるなんて、か、神様が許すはずがありませんわ」と口走る。
そんな美紀夫人の言葉を聞いた朱美は一瞬キョトンとした顔付きになるが、すぐにゲラゲラ声を上げて笑い出す。
「神様は良かったね。奥様はクリスチャンなのかい?」
「そ、そうではありません」
美紀夫人は首を振る。
「で、でも血の繋がった親と子がそんなこと、出来るはずがありませんわ」
「何言ってるんだい、奥様はゆうべ実の息子にケツ穴を嘗められて、ヒイヒイ声を上げてよがったそうじゃない」
「自分が息子に嘗められるのはええけど、自分が息子を嘗めるのは嫌やなんて、えらい手前勝手な理屈やないか」
マリと義子が交互に美紀夫人を揶揄する。
「小夜子、我が儘な母親に例のスパッ、スパッを見せてやんな。小夜子がどれだけ成長したか、母親に見せつけてやるんだ」
小夜子は無言で頷くと、文夫の肉棒を喉につかえるまでぐっと深くくわえ込み、勢いをつけて首を後方に振り、口元から離す。
「さ、小夜子……」
それを繰り返すと小夜子の舌が文夫の肉塊を巻き込むようにスパッ、スパッと音を立てる。まるで舌、口、そして喉までを性器に変貌させたように、弟の肉を淫らに愛撫する小夜子の姿を美紀夫人は茫然と見つめている。
「あ、あっ、ね、姉さんっ。そ、そんなにされたら……」
姉の口中で自失してしまうというのか、文夫は悲痛な声を上げながら下半身を悶えさせる。

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