151.懊悩の限界(13)

「だけどまあ義子の言う通りだよ。ここにいる小夜子も文夫も、京子も、それに静子夫人や珠江夫人も後ろの穴は立派に使えるようになっているのさ。奥様と一緒に捕まった絹代夫人や久美子に対しても、そこんところの調教は始まっているんだよ。二日後、岩崎親分たちの前で糸通しを立派に演じるためにも少しほぐしておかないとね」
「ああ、そ、そんな……」
そんな風に朱美に決めつけられた美紀夫人は切羽詰まったような表情になる。
しかしながらマリに電気アンマで身体をほぐされ、義子に双臀の狭間の隠微な箇所を愛撫されているうちに、美紀夫人の身体の中で不思議な被虐性の快感の炎が徐々に燃え上がり始めるのだ。
「思った通りや。この奥様、ケツの穴をほぐされてすっかり気分を出しているやないか」
義子は片手で美紀夫人のその部分を嬲りつつ、空いた手で前の秘奥のあたりをまさぐる。するとそこからはすでに熱い女の果汁が温泉のように湧き出ているのだ。
「あ、ああっ……」
そんな身体の反応を指摘された美紀夫人は、恥ずかしさに首を振る。
「案外、亭主にここんところを可愛がられた経験があるんじゃないかい。ええ、どうなんだい、奥様」
マリが美紀夫人の鼠蹊部のあたりにぐいぐいと電気アンマを押し付けながら尋ねるが、美紀夫人は頬を染めて無言のまま顔を横に振るばかりであった。
「そろそろ美津子に鈴縄を取り付けてもらっちゃどうなんだい?」
そう朱美に声をかけられた美紀夫人は、堅く閉じていた目を開け、悲痛な表情を向ける。
「そんな情けない顔をしたって駄目だよ。ショーは明後日に迫っているんだ」
朱美は冷たく美紀夫人に言い放つ。
「いいかい、奥様たちの鈴縄踊りは昼の部の最初の出し物で、その次は小夜子と文夫のポルノショーなんだ。奥様たちが観客の機嫌を損ねると、小夜子と文夫はより過激な演技で埋め合わせをしなくちゃならないんだよ。娘と息子が満座の前で近親相姦ショーを演じさせられるようなことになってもいいのかい?」
「そ、それは……」
夫人は追い詰められたような顔付きになる。
美紀夫人の耳に、京子と文夫が愛し合う熱のこもった囁き合い、そして小夜子が津村に抱かれて奏でる淫靡な音色が聞こえてくる。
(ああ……ここは地獄だわ……誰か、誰か早く私達を助けて)
美紀は目を閉じて、胸の中で必死で救いを求める。
(あなた……このままでは小夜子も文夫も、私も……悪魔たちの生け贄になってしまいます……)
(山崎さん、いったい何をしているの……どうして助けに来てくれないの……)
頭の中夫の善吉の顔、そして私立探偵の山崎の顔が浮かんでは消える。しかしマリと義子の息の合った責めに翻弄される美紀夫人の脳裏からは次第にそれは薄れ、朝もやのように消えて行くのだった。
「奥様」
そんな美紀夫人の思考は朱美の声で破られる。
「何を愚図愚図しているんだい。本番まで時間がなくてこっちはイライラしているんだ。早くしないかっ」
「わ、わかりました」
夫人は悲愴な決意を固めて頷くと、足元に跪いている美津子に顔を向ける。
「み、美津子さん、お願い……」
美紀夫人に声をかけられた美津子の肩先がぶるっと震える。
「わ、私の身体にその……鈴縄をかけてください」
「お、お母様っ」
美津子は涙に濡れた目を美紀夫人に向ける。
「そんなあっさりした頼み方じゃお客様は満足せえへんで。もっと色っぽく、ケツを振りながらお願いするんや」
義子がそう言うと美紀夫人の豊満な臀部をぴしゃりと平手打ちする。夫人は必死で嗚咽をこらえながら命じられるまま美津子の目の前で腰部をくねらせる。
「ねえ、ねえ……美津子さん……美紀の身体に鈴縄をかけて……美紀、思い切り良い気持ちに浸りたいの」
そんな美紀夫人の痴態に美津子は悲痛な視線を向けている。
「ほらほら、お姑さんが頼んでいるんだよ。さっさと言うとおりにしてあげないか」
マリが美紀夫人の乳房の下あたりに電気アンマをあてながら、美津子は肩を催促するようにどんと叩く。
美津子は必死で感情を殺しながら鈴縄を手に取り、立ち上がると美紀夫人の腰の周囲に巻いていく。
「もっと遠慮なく、肉の中に沈み込むくらいきつく巻くんだ。さもないと後でズレてきてしまうよ。それからその結び目で長さを調整して、鈴の位置を合わせるんだ。そうそう、なかなか上手いじゃないか」
朱美が美津子の手元をじっと見ながら鈴縄のかけ方を指南しているのを見て、義子とマリが顔を見合わせて噴き出す。
「笑うんじゃないよ。ショーではこういった準備を手早く確実にやるのが大事なんだ」
「そやけど、本番ではうちらがやればすむことやない」
「これだけ奴隷が増えて来たんだ。奴隷同士でやらせた方がお客に受けるんだよ。明後日だって、美紀夫人の準備は小夜子か美津子に、絹代夫人は美沙江か珠江にやらせるのが面白いじゃないか」
「なるほど。そりゃあ朱美姐さんの言う通りや」
義子は感心したように頷く。
「それじゃあ久美子の準備は誰にやらせるかね」
「決まってるやないか。兄貴のやま……」
そこまで言いかけた義子は朱美ににらみつけられて慌てて口を噤む。
「そうだね。久美子は京子に準備をさせるのがいいんじゃない?」
マリが取り繕うように提案する。
「さっきは必死で平静を保っていたようだけど、久美子が捕まったことに京子は相当ショックを受けているはずだわ。京子にとって久美子は恋人の妹ということだけでなく、性格も似ていることから実の姉妹のように親しくしていたみたいだからね」
「そいつはええ考えや。マリもたまには良いこと言うやないか」
「たまに、は余計だよ」
ズベ公たちのそんなやり取りをよそに、美津子はしっかりと美紀夫人の腰の回りに巻き付け、前で結び目を作った鈴縄をぐいと下に引き、夫人の股間をくぐらせる。
「ああ……お母様、許してっ」
「あ、ああっ!」
その瞬間、夫人の腰部がブルッと電流に触れたように痙攣するのを見た美津子が、慌てて手を離す。
「ご、ごめんなさいっ。お母様っ。い、痛かったですか」
「い、いいえ……痛くなんかないわ」
美紀夫人はそう言うと美津子に弱々しく笑いかける。
「か、身体が驚いてしまっただけなの。大丈夫よ……美津子さん、遠慮なく縄をかけて頂戴……」
「は、はいっ」
美津子は頷くと再び縄を引き絞り、夫人の股間を割る。
「うっ……」
美紀夫人はぐっと顔をしかめ、そのおぞましい感触に耐えている。

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