「なるほどね、泣き油とはよく言ったものね」
葉子は感心したようにそう言うと「ねえ、ちょっと私に変わってくれない」と銀子に声をかける。
「いいですけど、自分の手まで痒くなりますよ」
「かまわないわよ」
葉子はそう言うと山崎の股間の前に座り込み、右手の指先に泣き油をとる。
「まあ、探偵さんったら、可愛いお尻の穴をしているじゃない」
山崎のその部分は、銀子に塗り込まれた「泣き油」で濡れ、僅かに口を開いている。葉子はニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべると、油に塗れた指先を山崎の奥深くに挿入する。
「ううっ」
その部分にナイフを突き立てられたような呻き声を洩らす山崎。葉子は左手でも泣き油を取ると、山崎の肉棒を握りしめて擦り上げる。
「うっ、ああっ」
肛門と肉棒を同時に攻められる汚辱と激しい掻痒感、そして身体の深奥からこみ上げる被虐性の快感に山崎は狼狽したような悲鳴を上げる。
「どう、探偵さん。お尻の穴とチンポを同時に責められる気分は」
「や、やめてくれっ」
「やめてくれ、ですって?」
葉子はキラリと目を光らせると、山崎の睾丸をぐっと握りしめる。
「ひいッ」
山崎は再び悲鳴を上げる。
「言葉遣いが間違っているでしょう」
「や、やめてくださいっ」
「そうじゃないでしょう」
葉子はグイグイと山崎を締め上げながら
「もっと虐めてください、でしょう。奴隷は奴隷らしく、どうしたらご主人様にもっと喜んでもらえるかを真剣に考えるのよ」
「も、もっと虐めてください」
山崎は男の急所を握りつぶされる激痛に、恥も外聞もないといった風に悲鳴を上げるのだった。
「なかなか堂に入った責め方じゃないですか」
銀子は、葉子の山崎に対する責めっぷりに感心したような声を上げる。
「そちらの……町子さんでしたっけ。どうですか、妹の方を責めてみませんか」
「え、私?」
突然銀子に指名された町子は、どぎまぎした表情を見せる。
「見てるだけじゃ面白くないでしょう。さ、どうぞ」
朱美もにっこりと微笑みながら久美子を促す。
「それじゃ、遠慮なく」
町子は大股開きで両肢を宙に吊り上げられている久美子の前に腰を下ろす。
久美子の哀切さのこもった恨みがましい視線と、町子の視線が交錯する。町子はその久美子の表情に、月影荘に監禁している大月姉妹の妹──雅子のそれが重なるのを感じる。
いずれも柔道を使うお転婆娘という共通点はあるが、伊豆の名門旅館に育った雅子と都会っ子の久美子では性格も違うし、もちろん顔立ちも違う。
しかしながら一糸纏わぬ裸に剥かれて屈辱的な姿勢を晒し、淫虐な拷問に喘いでいる姿は、町子には二人ともそっくりのように思えるのだ。
久美子は町子に対して挑むような視線を向けていたが、やがて諦めたように目を逸らす。そんな久美子の仕草に奇妙なまでに胸の疼きを覚えた町子は、いきなり久美子にのしかかるとその唇を奪う。
「うっ……」
不意打ちのような町子の行為に、久美子は当惑の呻き声を上げる。町子はかまわず両手で久美子の頬を両側から押さえるようにすると、舌を久美子の口内に差し入れる。
「あらら」
意外な町子の振る舞いに銀子と朱美は顔を見合わせるが、すぐに意味ありげな微笑を交わし合う。彼女たち葉桜団も、もともと同性愛的な関係でつながり合っており、町子の久美子に対する行為に自分たちの同類を見つけたという思いとともに、今まで過酷に扱っていた久美子に対する新たな責め口を教えられたような気分になったのだ。
町子は久美子に口吻を施しながら、久美子の形の良い乳房をやわやわと揉み上げていく。すると久美子の雪白の肌は桜色に上気し始め、性的な興奮状態に陥っていることをはっきりと示し始めたのだ。
町子は久美子をさらに昂ぶらせようと、片手で久美子の乳房を揉み上げながら、もう一方の手で久美子の秘唇をかき立てる。すると久美子もまた自らの昂ぶりを伝えるかのように、町子の舌を吸い上げるのだった。
「上手いわねえ」
町子の技巧に朱美が感心したようにつぶやくと、銀子もまた同意するように頷く。
町子は久美子との長い接吻を終えると、久美子の秘奥を指先でかき立てながら、耳元に口を近づける。
「どう、痒い所をほぐされると、気持ちいいでしょう」
町子が尋ねると久美子はさも恥ずかし気に頬を赤らめながら「は、はい」と頷く。
「こんな風にされるとどう?」
町子は片手で久美子の秘壺を抉りながら、もう一方の手で久美子の花芯につないだ糸を摘み、くい、くいと引っ張る。
「あっ、あっ」
「どうなの、痛い?」
「い、痛い」
「痛いだけなのかしら」
町子は薄笑いを浮かべながら糸を引き続ける。
「い、い……」
「どうなの、はっきりおっしゃい」
「……気持ちいい」
久美子がさも切なげにそう告げると、銀子と朱美は思わず顔を見合わせる。
久美子の隣では、山崎が葉子に睾丸をぐいぐい握られながら肉棒を扱かれ、同時に和枝によって肛門を嬲られながら、ヒイヒイと悲鳴を上げている。
「こんなにチンポをビンビンにして、痛いばかりでもないんだろう。ええ、どうなんだい」
葉子が興奮に目を血走らせながら山崎を責め続けると、和枝もまた煽られるように、山崎の裏門を嬲りぬく。
「あっ、ああっ」
頭が痺れそうな掻痒感と睾丸を潰されそうな苦痛、そして男の二つの官能の芯を刺激される陰密な快感──山崎はもはや恥も外聞もないといった風に悲鳴を上げ続ける。
「どうだい、ケツマンほじられるのは気持ちいいかい」
「きっ、気持ちいいですっ」
「ケツマン気持ちいいって言ってみな」
「ケツマン気持ちいいっ」
ついにそんな言葉まで口にした山崎に、女たちはここぞとばかりに嘲笑を浴びせかけるのだ。
久美子もまた町子によって、糸でつながれた花芯を引っ張られ、指先で肛門を抉られながら、「ああっ、も、もっと久美子を虐めてっ」とわめくような声を上げている。
「兄と妹で、せいぜいいい声を聞かせあうといいよ」
銀子はそんな惨めな兄妹の姿を見下ろしながら、勝ち誇ったように笑うのだった。
(未完)
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