19.告白(3)

里美はついに胡瓜を蜜壷の奥深くに挿入し、ゆっくりと抽送し始めます。空いた手の指先を唾液で示した里美は、開かれた双臀の狭間に露わになったアヌスをマッサージし始めました。
(絵梨子もああやって男たちの目の前で肛門を……)
私はたまらなくなってそこがオフィスの中であることも忘れズボンを下ろします。里美がちらりと私を見ると、「いいのよ」という風に頷きました。
「東山さんの奥さんは男たちにせきたてられて、茄子で前を虐めながら自分の手でお尻の穴を揉みほぐしていったの……」
里美はああ……と溜息をつくようにそう言います。
「それで……じゅうぶん柔らかくなったところでプチトマトを手にとって……」
里美は透明のパックの中から真っ赤なプチトマトをひとつつまみ、下手のところを指先で持って、口の中に含みます。
「こうやって濡らしたものを一つずつお尻の中に……」
里美はプチトマトを肛門に押し当てると、力を入れました。ああっ、と小さな悲鳴とともに、真っ赤なプチトマトが里美の中に吸い込まれていきます。菫色の里美の肛門がトマトを飲み込んでいく妖しい様子は、あたかも食虫植物を思わせます。
「……一つ飲み込むたびに男たちは笑いながら拍手をしたわ。今度の旅行の余興としてぜひやらせようって。すると男たちの中で、背が高くて縁なしのめがねをかけた気障なやつが……」
「道岡のことか」
「そう、その道岡が……プチトマトじゃ物足りない……ピンポン玉を呑ませるようにさせよう……って」
「何だと」
私は男たちの言葉に怒りを覚えますが、2個、3個と赤いプチトマトを飲み込んでいく里美の尻の穴に目が釘付けになり、いつしかその怒りもあやふやなものになって行きます。
「……さすがにそれは無理だって他の男たちが言っただけれど、道岡ってのが意地になって……それで奥さんが参加する次の役員会は……オンラインじゃないリアルのものだけど……道岡のクリニックで開催されることになったの」
私は硬直したペニスを取り出し、片手でゆっくり扱きあげます。今、私の個室に他の社員がいきなり入ってくると大変なことになりますが、もはや止めることが出来ないのです。
「そこで奥さんは道岡から、ピンポン玉を呑みこむことが出来るようになるよう肛門拡張、肛門美容整形……おまけにクリトリスの包皮切除手術を受けるように命令されたの」
私はもはや心が麻痺してしまったようで、そんなショッキングな言葉を聞いてもほとんど衝撃を受けなくなっています。ディスプレイの中の里美が話しているせいか、本当のこととは思えないのです。
「奥さんはさすがに泣きながら拒んだのだけれど……長尾とのことを東山さんだけでなくPTA全体にばらすと脅されて……最後は大声で道岡から肉体改造手術を受けることを誓わせられながら茄子をあそこで思い切り食いしめて絶頂に達したの……ああっ、わ、私ももうっ……」
「里美っ」
私も絶頂が近くなり、思わず里美の名を呼びます。
「違う……私は絵梨子よ……あなたの妻、絵梨子」
ディスプレイの中の里美の裸身が、見慣れた妻のものに変わっていきます。
「お、奥様はこういいながらイったの……」
里美は膣口に挿入した胡瓜を激しく抜き差ししながら喘ぐように言います。
「い、淫乱人妻でB高校PTA役員会の恥さらし、東山絵梨子は、み、道岡先生から肉体改造手術を受け、つ、次の慰安旅行までに、お尻の穴でピンポン玉を最低3個は呑み込めるようになることを誓いますっ」
里美のそんな言葉を聞いたとたん、私の身体に電流のような快感が走りました。
「ああっ、あ、あなたっ、絵梨子……イクっ」
「絵梨子っ!」
里美の声がヘッドセットの中で響きました。私は里美の下半身がディスプレイの中で、深々と呑み込んだ胡瓜を食いしめながら激しく痙攣するのを眺めながらティッシュの中に白濁をぶちまけていました。

自慰を覚えたのはいつ頃だったでしょうか。私はなぜかその点については奥手だったので、高校生になっていたような記憶があります。とにかく始めのうちは行為の後には必ず罪悪感に苛まれたものです。
つかの間の快楽の後、こんなことをしていていいのだろうか、自分は卑しい人間なのではないだろうか、欲望をコントロール出来ない弱い人間なのではないだろうか、などという思いに駆られました。
妻を演じた里美の痴態を見ながら欲望を解放させた私は、久しぶりにその時の罪悪感に似たものを感じていました。
里美の言ったことが本当なら、妻は大変困った状況に陥っている、いや、精神的に追い詰められているだけではなく、肉体的にも想像を越えた加虐行為を受けているということになります。
しかし私は、妻のその苦境をネタにして自慰行為にふけったのです。
里美というフィルターがかかったいたから、という言い訳は出来るかも知れませんが、私はディスプレイの中の里美の姿態、里美の表情に妻のそれを重ね合わせていたことは否定出来ません。正直言って妻に対して同情するよりも妻が半年以上も私を裏切っていた、そのことについて妻は当然罰を受けるべきであるという思いのほうが強かったといえます。
4人の男たちの妻に対する淫虐な行為は、私に代わって妻に対してお仕置きをしているように思えたのは事実なのです。
もちろん犬山たちに対する激しい怒りはあります。しかし、長年信頼しあって来たはずの妻が不倫を行っていたということが私をひどく打ちのめし、犬山たちに対する復讐心もいつしかあやふやになっているのです。
(こんなことではいけない……)
私は激しい絶頂を極めた余韻にぐったりとしている里美の部屋からログオフすると、混乱した頭を整理することにしました。
妻に対して、あるいは男たちに対してなんらかの行動をとる前に自分の中で明確にしなければいけない点は大きく2つあります。

一、はたして里美は本当のことを話しているのか?

二、(里美が本当のことを話している場合)妻は本当のことを話しているのか?

まず一ですが、里美が私に嘘をつく、つまり妻のことを実態以上に貶めて表現したと仮定します。そうすると私と妻の関係は壊れる方に向かいますが、里美にそれをする動機があるでしょうか?

・私と妻の関係が壊れたら、金銭的な利益を得ることが出来る

・私と妻の関係が壊れたら、後釜に座ろうと思っている

いずれのケースも単なる可能性としてなら存在しますが、どうも里美というキャラクターからは想像しにくいところがあります。
里美が私に対してなんらかの好意を抱いてくれていることは確かなようですが、それはあくまで私の仕事が彼女の興味の範疇にあることと、夫婦関係が危機に瀕していることに対する同情から来ているように思えるのです。
そもそも里美は現在、私が犬山たちと対決するにあたっての唯一の味方と言えます。その里美を疑ってしまえば私は正直手詰まりになってしまいます。多少の誇張はあるにせよ、里美が私に話した内容は真実だと考えることにしました。
次に二です。妻が長尾と関係していたということは本当でしょうか。
私はこれまでのことを時系列に沿って思い出しながらメモを作っていきました。
発端は3月のある土曜の午後です。
妻が藤村さんにPTA役員就任の件で呼び出され、直接断るために出かけました。その後6時近くに妻から「食事をしていく」という電話がありました。
その日、妻が帰ってきたのは夜の11時近くで、泥酔状態に近い妻は役員の一人である道岡にタクシーで送られてきました。妻はしきりに「ごめんなさい」と繰り返し、また見たことのない派手な下着を身に着けていました。
この日に妻の身に何かが起きたのは間違いありません。

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