第49話 めんどり夫人(1)

(気をやったんだわ……!)
美樹に見られていることも知らず、男たちは2人に口々に野卑なからかいの言葉を浴びせる。美樹はそこで男の1人が運動会で女生徒の尻や太腿を執拗なまでにカメラで追っていた、脇坂という父兄であることに気づく。
美樹もあわててカメラ付携帯電話を取り出し、悦楽の余韻にヒクヒクと裸身を震わせながら、脂ぎった中年男に後始末をされている裕子としのぶにレンズを向け、ボタンを押す。カシャ、カシャと小さな電子音が響くが、裕子やしのぶはもちろん、目の前の裸女に心を奪われている男たちは全く気がつかない。
ぐったりとした裕子としのぶは裸のまま男たちに抱えられるようにして車に乗せられ、駅前の方に走っていった。
車に乗り切れなかった男たちがいかにも早朝ジョギングを楽しんでいるという風に、これも駅前に向かって走って行くのを見送った美樹は、すっかり酔いの醒めた頭をしきりに巡らせていた。

「まだ産めないのっ? まったく、愚図なめんどりたちだこと。お客様はすっかりお待ちかねよ」
「ま、待って……も、もう少しです」
「もうすぐ……もうすぐ産めますわ……」
裕子としのぶは豊満な裸身を麻縄で緊縛され、煌々とライトで照らされた「かおり」のフロアで卑猥な花電車ショーを演じていた。2人の美夫人は膣内に埋め込まれたゆで卵を、さきほどから大きなヒップを競うようにくねらせながら、床の上のちょうど股間のあたりに置かれた籠の中に必死で産み落とそうとしているのだ。
金曜の夜ということもあって「かおり」は満員御礼の状態である。もちろん必要以上に秘密が漏れないように香織自身が厳選した客たちだったが、一昨夜の輪姦ショーで裕子としのぶの媚肉をたっぷり味わった客からの情報が口コミであっと言う間に常連客に伝わったのである。
フロアを埋めつくした客たちは、上品な美熟女2人がゆらゆらともどかしげにヒップを左右に振ったり、上下に動かしたりする様子を息を呑むようにじっと見つめている。
「そんな風に黙っていたら駄目でしょ、めんどりらしく鳴きなさい」
「は、はいっ」
しのぶは香識の命令に素直にうなずくと「コ、コケッコ」と滑稽な鳴き真似を始めるのだ。
「お前も何をぼんやりしているの。先輩めんどりに負けないで鳴きなさい」
「……コ、コ、コッコ、コケッコ……」
裕子は一瞬口惜しげに顔を歪めたが、すぐに諦めたようにしのぶにならって鳴き真似を始める。
観客からどっと笑い声が沸きあがる。秘密ショーに集まった客たちは、この卑猥なショーを演じている美女が、同じニュータウンに住む中流家庭の人妻であることを知っている。
しのぶの37歳という年齢が信じられないほどの若々しい裸身、そして幾分幼ささえ感じさせる整った美貌──。
そして裕子のこれも42歳とは思えない引き締まった中にもパンチの効いた肉体、そして学生の頃はモデルのバイトをしていたというエキゾチックな美貌――。
そんな魅力的な人妻たちが目の前で、ストリッパー顔負けの卑猥な行為を演じている。その非日常的な感覚が集まった客たちをいっそう興奮させるのだ。
(ああ、もっともっと笑うがいいわ……)
裕子はまるで挑みかかるような気持ちで「コケッコ、コケコッコ」と鳴き声をあげながら身体を小刻みにゆする。巨大な乳房がそれにつれてゆらゆらと扇情的に揺れ、店内の熱気は高まっていく。
「ああっ――」
裕子の隣で切なげに双臀を揺らしていたしのぶは切羽詰ったような声を上げると、ぴたりと尻の動きを止めると、次にブルブルと震わせる。
「おおっ」
「出たぞ、出たぞ」
しのぶの無毛の陰裂の狭間に白い卵の肌がはっきりと姿を現したのを認めた男たちが興奮の声を上げる。
「ああ……」
か細い悲鳴とともにしのぶのふっくらした花唇を割って、つるんとした卵が飛び出ると、ぽとんと落下した。
「先輩めんどりはもう産んだわよ。早くしなさいっ」
香織に尻をひっぱたかれ、裕子は「は、はいっ」と返事をするとその部分に命を懸けたように必死に下半身をグラインドさせる。
「あっ」
小さな悲鳴とともに裕子の鬱蒼とした陰毛に覆われた秘園がぷっくりと膨らみ、白いゆで卵がスポッと音を立てて勢いよく飛び出す。
「ああっ」
取り囲んだ観客はその滑稽な結末にどっと笑い声を上げる。あまりの恥ずかしさに裕子は頬を真っ赤に染め、身悶えする。
「なかなかたいした膣圧をしているじゃない、奥様ったら隅に置けないわね。お座敷ストリッパーとしても十分才能がおありになるわ」
香織は裕子の大きなヒップをパシッと平手打ちすると、籠の中で湯気を立てているような2つのゆで卵を皿に取り、カウンターに置く。
「お待たせ。当店名物『裕子エッグ』と『しのぶエッグ』よ」
「おお、これこれ。これを食べないと精がつかないんだ」
しのぶのひり出したゆで卵を嬉しげにほうばる小柄な黒縁の眼鏡をかけた中年男は、同じ町内にすむ朽木というサラリーマンで、しのぶとも顔見知りである。そんな男に自分の秘部で暖めていた卵を食べられる──しのぶは身体の中にたまらない屈辱と嫌悪感、それと同時になにか陶酔に似た被虐性の快感が走るのを意識するのだ。
「よく塩味がきいているぜ」
しのぶはあまりの羞ずかしさに頬を真っ赤に染めて顔を伏せる。
「俺は裕子夫人の方をもらうよ」
脇坂が残った皿に手を出し、ゆで卵をわしづかみにすると一気にほおばる。
「これこれ、この味がたまらないや。よくダシが染みているぜ」
脇坂の軽口に男たちが再びどっと笑い声を上げる。
「2人ともそろそろお尻の方でも産ませてみようと思うんだけど、それはさすがに売り物にならないかしら?」
「しのぶ夫人のお尻の穴から産んだゆで卵か……」
朽木は卵をほおばりながら首をひねる。
「俺なら喜んで喰うぜ」
「まあ、沢木さんったら。悪趣味なんだから」
沢木はしのぶの方を見つめてにやりと笑いかける。しのぶはかおりママとカウンターに座った常連客が交わす恐ろしい会話に新たな責めの予感を覚え、しのぶはぶるっと裸身を震わせる。
「俺も、裕子夫人のケツの穴なら全然問題ないね」
脇坂の仲間の赤沢がそういって裕子の豊満な尻をツルリと撫で上げる。裕子もおぞましさのあまりぞくっと肌を粟立てる。
「しのぶ夫人、デュエットにつきあってくれや」
「また黒田さんワンパターンの銀恋かい?」
「ええやないか」

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