被虐の鉄火花


概要

『被虐の鉄火花』は団鬼六先生の『お柳情炎』や『緋ぢりめん博徒』などのいわゆる「女侠客もの」を白川なりに再現してみたものです。

第一部が55話、第二部が73話、最終の第三部が396話、合計524話。400字詰め原稿用紙換算で約4,450枚。通常の文庫本換算で約11巻に相当する大長編です。

鬼六ファンはもちろん、広く楽しんでいただける作品です。ぜひお楽しみください。

物語

太平洋戦争終結後の 日本社会の混乱は、ヤクザの本質を大きく変化させた。統制経済下の食糧配給制度とこれに伴う闇市の発展により、 闇取引を仕切るヤクザが大きな力を得るようになったのである。
この時流に乗り、勢力を拡大していく新興の暴力団吉岡組と、昔ながらの侠客の伝統を守る林崎一家。物語はこの対称的な2つ のヤクザの対立から幕を開ける……。

登場人物

被虐側

林崎蘭子


年齢:25歳

物語のヒロイン。北関東I県Q市の侠客、林崎三蔵の長女。

「緋桜のお蘭」の通り名を持つ美貌の侠客。三蔵の横死後、林崎一家の跡目を継ぐが、敵対する吉岡一家の罠にはまり、吉岡組が経営する娼館、若葉屋にて淫虐な調教を受ける。

様々な羞恥の芸を身につけさせられ、見世物女郎「赤褌のお蘭」として若葉屋で珍芸を披露することとなる。

 


林崎慶子

年齢:22歳

蘭子の妹で空手の達人。東京の女子師範学校に通っていたが、父の死と蘭子の苦境を知り、友人であるGHQオフィサー、リ サ・ハロウェイ と共にQ市に戻る。

リサとともに蘭子や菊子の救出に奔走するが、入浴中に吉岡組の襲撃を受け、全裸のまま吉岡組へと拉致される。

若葉屋で姉の蘭子とともに過酷な調教を受け、見世物女郎「青褌のお慶」に生まれ変わる。

 

 


沢村菊子

年齢:39歳

Q市で料理屋「菊」を営む。城主の末裔であり、Q市の市議会議長を務めた塩原春信の愛妾。塩原春信の死後、夫と親交のあった三蔵の庇護を受けていた。

三蔵の死後、言い寄る吉岡重吉を拒絶するが、 時子の策略により無理矢理妾にされ、さらに蘭子と共に若葉屋に連れ込まれて女郎修行を受けることとなる。

娘の美弥子を守るため、徐々に時子たちに対して迎合的な態度をとるようになる。

 

 


沢村美弥子

年齢:17歳

菊子と春信の間に生まれた娘で可憐な美しさを持つ女子高校生。

蘭子によって面子を潰された吉岡組の坂原によって拉致され、淫靡な折檻を受けるが、その後、立野竜次に連れられて逃亡。

新宿で「夜桜のお藤」こと山中藤子に匿われる。

 

 


リサ・ハロウェイ

年齢:28歳

緑の瞳と金髪、米国陸軍大尉の肩書をもつ美貌のGHQオフィサー。

ハーバードロースクールを卒業、日本国憲法マッカーサー草案作成にも参画した気鋭の弁護士でもある。

湯島の空手道場で知り合った慶子と共にQ市に 向かい、GHQの人脈を使って蘭子たちの解放を図るが、慶子と入浴中に吉岡組の襲撃を受け、拉致される。

若葉屋では「お理佐」と名乗らされ、「日本の文化と伝統の研修」という名目で激しい調教を受ける。

その後、吉岡組に買収されたGHQの不良軍人たちの手によって、口封じのために拷問・処刑される寸前に竜次や藤子たちに救出される。


北上葉子

年齢:35歳

物語後半の実質的なヒロイン。

大学病院の勤務医を経験した後、父親が5年前に軍医として満州に渡ったのを契機に、実家のあるQ市郊外の診療所を引き継いでいる。

拷問によって傷ついたリサを治療し、匿ったせいで吉岡組に拉致され、リサたちの行方を吐くように凄絶な拷問を受ける。

淫虐な責めに耐えかねて、リサの居場所を白状した後も「吉岡組に敵対した」という理由で蘭子たちとともに過酷な調教を受け、見世物女郎「めんどりのお葉」に仕立てられる。

 


山中藤子


仲間の仙子や吉子とともに新宿の「竜宮マート」を根城にしている女番長。通称「夜桜のお藤」。

新宿で竜次と知り合い、リサの救出や美弥子の逃亡など、その後の行動に手を貸すようになる。

ブラックジャックを武器にして、仙子や吉子とともに吉岡組を翻弄するが、最後は捕らえられ、「紫褌のお藤」として女郎修行をさせられることになる。

 

 


嗜虐側

吉岡時子


年齢:30歳

吉岡重吉の娘。

同性をいたぶることを何よりも好む倒錯性欲者。

その知恵と肉体で吉岡四天王はじめ幹部を操る、事実上の吉岡組の支配者でもある。

 

 


吉岡重吉

年齢:58歳

Q市の暴力団で100人を超える組員をもつ吉岡組の組長。菊子を手に入れるために娘の美弥子を強引な手段で誘拐する。更 に蘭子、慶子へと魔の手を伸ばす。


堀尾・山内

元は林崎一家の中堅幹部。

三蔵の死後、組を見限り吉岡組に奔る。


本間・飯田・長井・坂原

「吉岡四天王」と呼ばれる吉岡組の幹部組員。


その他

本間(田宮)喜美子

年齢:37、8歳

林崎一家の若頭である田宮の妻。娘の和美とともに吉岡組に捕らえられる。

芸妓あがりだが、実際は客もとる枕芸者だった。

母を早く失った蘭子と慶子にとっては母親代わりといった存在だったが、娘を人質に取られて心ならずも姉妹の調教に手を貸すこととなる。

その後重吉に凌辱され、田宮と吉岡組の幹部組員である本間の妻になり、若葉屋の運営に携わることになる。

 


咲子

年齢:20代後半

若葉屋近くで乾物屋を営む吉男の妻。若葉屋の開店祝いにほかの商店主たちとともに招待され、葉子の見世物女郎の珍芸を目撃し、衝撃を受ける。

その後、若葉屋から逃亡してきた葉子を匿い、女同士の関係を持つ。

葉子の東京行きに手を貸すが失敗。吉岡組に捕らえられ、女郎勤めをすることになる。

 

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