新 花と蛇(挿絵更新分)

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232.奴隷のお披露目(32)

「ついに接吻したわ。姉と弟で。なんて愉快なのかしら」土蔵の中を覗いていたお桂は思わず歓声を上げるが、隣でやはり壁の隙間から土蔵の中を覗いている津村が難しそうな顔をしているのに気づき、声をかける。「どうしたのよ、旦那。浮かない顔をしているじゃ...
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231.奴隷のお披露目(31)

「ここからが面白いのよ」お夏はにたりと不気味な笑みを浮かべると、再び読み上げ始める。「……父の敵討ちの旅とはいえ、始めて国元を離れた若い二人にとっては、旅の空で見るもの聞くもの、すべて珍しいものばかりだった」お夏はそう言ってお小夜と文之助の...
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230.奴隷のお披露目(30)

「いいかい、あたしが言ったように言ってみな」お春が念を押すようにそう告げると、お小夜は「ああ……そんな……」と苦しげに眉をひそめる。「大して難しい台詞じゃないわよ。お武家のお嬢さんがそれくらいのこと、どうして言えないのよ」「で、でも……血を...
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229.奴隷のお披露目(29)

長年トルコ嬢(今のソープ嬢)を勤めてきた町子は、これまで様々な客を相手にしてきた。客の中にはそれこそやくざも、犯罪歴のある男もいたかも知れない。どんな客に対しても裸で向かい合わなければならない職業柄、一種の開き直りのような態度と度胸が自然と...
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228.奴隷のお披露目(28)

「ほう、森田はんのところの役者は、どれもこれも美女、美男揃いですが、それに質では負けんとはかなりの自信でんな」岩崎はギョロリとした眼をまっすぐ岡田に向ける。「伊豆のどのあたりでっか」「下田からだいぶ山の方に入る辺鄙な場所です」「下田から山の...
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227.奴隷のお披露目(27)

「で、でも……」ためらうお小夜に、お夏が「お春、しょうがないわよ。お嬢さんはどうしても嫌みたいだから」と、諦めたように言う。「そうね。やはり予定通り女郎と陰間になってもらうしかないのかしら」お春もまたため息をつくようにそう言うと、鬼源に「鬼...
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