236.奴隷のお披露目(36)

 文之助のそれはお小夜同様健康的な色を示しており、襞も少なく形も整っている。
「男と女だから身体の前の方は全然違うけれど、お尻の方はとてもよく似ているわ。やっぱり姉と弟ね」
お春がさも楽しげにそう言うと、お夏が「まったく。お春の言うとおりだわ」とケラケラ声を出して笑う。
「いつまで穴比べをしてやがるんだ。とっとと調教しねえか」
相変わらず徳利を抱えながら、お春とお夏の調教ぶりを見守っていた鬼源が苛立たしげにがなり立てる。
「もう、うるさいわねえ。鬼源さん」
お春が口を尖らせると鬼源は「何だと」と気色ばむ。
「少なくとも裏門の調教についてはあたしたちの方が専門よ」
「そうよ、あまり細かく口を出されちゃ気が散って、かえってはかどらないわよ」
「けっ。何でえ、えらそうに」
鬼源はそう毒ずくと徳利に口をあて、ぐいと酒を飲む。
「そこまで言うならやってみな。ただし、今晩中にその二人の裏門を使えるように仕込み上げるんだ。いいな」
「そんなのお安いご用よ」
お春が口を尖らせる。
「でけえ口を利いたからにはちゃんとやるんだぜ。いいな」
鬼源はそう言うと立ち上がり、徳利を抱えて土蔵を出て、舞台右手に去る。
「やっと邪魔者がいなくなったわ」
お春がそう言って笑うとお夏が「でも、今晩中にこの二人を仕込むなんて大丈夫なの? 普通の女郎なら少なくとも四、五日はかかるところよ」と不安そうな顔をする。
「侍の娘と息子だもの。多少の荒療治は平気でしょう」
お春は平然とそう言うと、「それじゃ行くわよ。覚悟は良いわね」と、お小夜に声をかけ、引き締まった双臀の肉をぐいと引き裂く。
「ああっ」
お小夜の甲高い悲鳴が響き渡り、菊の蕾にも似た肛門が再び露わにされる。
「うっ、ううっ」
続いて文之助のくぐもった呻き声が響く。文之助の引き締まった尻肉もまたお夏によってぐいと断ち割られ、その隠微な蕾もすっかり露出させられたのだ。
お春とお夏は姉弟の秘められた箇所を観客席に見せつけるかのようにさらに大きく開く。二人の肛門はぽっかりと口を開け、それ自身が生き物であるかのようにフルフルと震えを見せているのだ。
お春とお夏は再び合図を交わすように笑い合うといきなり姉弟の肛門に接吻する。
「あっ、ああっ」
不意打ちにも似たお春とお夏の攻撃に、お小夜と文之助の喉から同時に絶叫に似た悲鳴が迸る。排泄器官を陰間女郎の舌先で抉られるおぞましさに姉弟はもはや武家の子女としての矜持も忘れたかのように泣きわめくのだった。
「そんなにお尻を振っちゃ駄目よ。おとなしくするのよ」
お春とお夏は激しくうねらせる姉弟の尻をパシッと平手打ちすると、その繊細な肉を舌先を使って巧みに揉みほぐしていく。
「ふ、文之助、た、耐えるのですっ。敵を、敵を討つまでは何としても耐えるのです」
「わっ、わかりました。姉上。文之助は耐えてみせまするっ」
美貌の姉弟は淫靡極まりない責めを受けながら、互いを励ますように懸命に声を掛け合う。そんなお小夜と文之助の姿を覗いていた津村は、隣で壁の隙間に眼を当てていたお桂をいきなり押し倒す。
「何するんですかっ。旦那っ」
「あんなのを見せられて、我慢出来る訳ないだろう。お桂、ここで抱くぞっ」
「だ、駄目ですよ。こんなところで。土蔵の中の人間に気づかれたらどうするんですかっ」
「その時はその時だ」
津村はそう言うとお桂の着物を剥ぎ取っていく。お桂も口では拒絶の言葉を吐きながらもさほどの抵抗はせず、津村に襦袢も腰巻きも脱がされ、ついに素っ裸になる。
若鮎のようにピチピチしたお桂――遠山財閥令嬢、遠山桂子の裸身が露わになったので、観客席からどよめきの声が上がる。
津村が慌ただしく褌を解くと、すっかり硬化した肉棒がバネ仕掛けのように跳ね上がる。津村とお桂は舞台の中央で騎乗位で繋がる。
「ああっ、だ、旦那っ。だ、駄目ですよっ」
「お桂っ」
津村とお桂が激しい肉の交わりを開始する。お桂の形の良い尻が激しく上下運動を見せ、津村もその動きに合わせてお桂を突き上げる。
ようやく舞台で本格的な肉の交わりが演じられた訳だが、観客たちの視線は、むしろ土蔵の中でともに隠微な菊花を責められ、苦悶の声を上げている美しい姉弟に向かっている。
もちろんお桂と津村の絡み合いも迫力満点だが、陰間女郎たちによって裏門を開発されている美女と美少年を演じるのが本当の姉弟であり、しかも村瀬宝石店の令嬢と令息であるということが、観客たちの興奮をいやが上にもかき立てるのだ。
しかしながらねっとりとした責めの魅力が、こういったショーではつきものと言える男女の絡み合いを上回ることがあることを、観客たちは改めて認識するのだった。
お小夜と文之助の裏門への調教は、陰間女郎たちの舌先から責め具を使ったものに移行している。お春とお夏は細巻きと呼ばれる裏門専用の調教具を取り出すと、壺の油をたっぷりと塗り込んで、お小夜と文之助の菊蕾へと突き立てていく。
「ひいっ」
姉弟の喉から同時に悲鳴が迸る。微妙な秘孔に責め具を突き立てられたお小夜と文之助は、身体を切り裂かれるような痛みにのたうち、形の良い双臀を震わせているのだ。
お春とお夏は鼻歌でも歌い出しそうな上機嫌で、お小夜と文之助の肉に食い込ませた細巻きをゆっくりと抽送し始める。美しい姉弟は二人の陰間女郎に肉を抉られる度に、腰部をブルッ、ブルッと痙攣させるが、その一方で秘められた快楽の源泉を開発される倒錯的な感覚に、肉体を緩やかに燃え上がらせていくのだ。
「このお坊ちゃん、お尻を責められるのが満更じゃないみたいよ。ほら、こんなに逞しく反り返らせているわ」
お夏の言うとおり、文之助の肉棒は裏門を抉られる度にその屹立の度合いを増し、肉の表面にごつごつと静脈を浮き立たせるほどの膨張を見せているのだ。
「こんなにたっぷり先走りのお汁を垂らすなんて、武士の家の跡取り息子としてはちょっとはしたないんじゃない」
そんな風にお夏にからかわれても文之助はもはやシクシクと女っぽくすすり泣くばかりであり、これまで見せたような反撥は示さなくなっている。」
「それにしても、凄くおいしそうなおチンチンね」
お夏はそう言うと文之助の亀頭にチュッと音を立てて接吻する。その瞬間、文之助の肉棒はそれ自身が生き物であるかのようにブルッと痙攣する。
「あら、抜け駆けはずるいわ。お夏」
お春がちょっと変わりなさいよとお夏を押しのけるようにして文之助の足元に陣取り、尻肉に食い込ませたままの細巻きを操作しながら、隆々とそそり立った肉塊をペロリと舌で嘗める。
「あ、ああっ、お、おやめ下さいっ」
文之助は陰間女郎たちの攻撃を避けるように腰部をうねらすが、それははっきりとした拒絶と言うよりも、二人の責めを消極的に受け入れている風情にも見られ、お春とお夏は文之助がますます思う壺に入ってきたことを確信するのだった。

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