小説 16.変化(5) 「わからないんですか? これはあきれた」 「まだまだ我々の教育が足らないようですな」 男たちが口々に呆れたような声を出します。 「昨日の役員会では会計の藤村の奥さんは、趣味のフラワーアレンジメントの素材をたっぷり用意していたぞ」 「あれは傑... 2023.01.22 小説役員会
小説 15.変化(4) 整形外科クリニックを経営する道岡がニヤニヤ笑いながらそう言うと、橋本がわざとらしく驚いたような声を上げます。 「道岡副会長、そんなことが出来るんですか」 「PTAの婦人役員ということは出産経験があるということでしょう。それくらいは当然出来ま... 2023.01.22 小説役員会
小説 14.変化(3) 「東山さん、落ち着いて。今日は連中がやっていることをしっかりと確認してこれからの作戦を立てるのが目的だから、くれぐれも早まったことをしないでね」 里美は私を宥めるようにメッセージを送って来ます。 ディスプレイの中の妻はますます頬が赤くなり、... 2023.01.15 小説役員会
小説 13.変化(2) そう考えた途端、画面の下部にメッセージが現れます。 (東山さんの会社の社長さん、面白いね) 「里美」 私は思わず小さな声を上げます。私の顔がいきなり画面で大きくなり、社長が不審げにたずねます。 「どうした? 専務」 「い、いえ。何でもありま... 2023.01.15 小説役員会
小説 12.変化(1) 「御疲れのせいか、奥様が気分を悪くされたようなのでお送りしました」 「そうですか、どうもお世話をかけまして申し訳ございません」 私は怒りを表情に出さないよう必死でこらえながらそう言いました。ぐったりとした妻は橋本に寄りかかるようにしながらよ... 2023.01.01 小説役員会
小説 11.不安(3) 私は妻のPCを立ち上げ、里美に会いに行きます。 「おはよう。東山さん。あまり眠れなかったみたいね」 里美はいつものように本を読んでいたようです。 「里美、実は明け方に絵梨子に電話したんだが」 私はそのときの妻の様子を里美に話します。 「絵梨... 2023.01.01 小説役員会