16.変化(5)

「わからないんですか? これはあきれた」
「まだまだ我々の教育が足らないようですな」
男たちが口々に呆れたような声を出します。
「昨日の役員会では会計の藤村の奥さんは、趣味のフラワーアレンジメントの素材をたっぷり用意していたぞ」
「あれは傑作でしたな。あの奥さん、自分のマンコや尻の穴を使ってバラやらスズランやらを生けて見せおった」
「来月の旅行では、ぜひあれを宴会芸としてやらせましょう」
「ピンクコンパニオンたちがまた目を白黒させますぞ」
男たちはそう言って笑いあいます。
「やっぱりピンクコンパニオンの前で奥さんたちにおかしなことをやらせたのね……だけど来月の旅行って……また奥さんたちを連れて行くつもりかしら」
私も男たちの会話に驚いていました。来月もまた旅行に行くなど、妻から聞いた覚えはありません。
「ああ、お願いです……もう、旅行は許してください」
「そんなことを言って、役員の仕事をおろそかにされちゃあ困りますな」
犬山が冷たく言い放ちます。
「今度の旅行は、B学園ラグビー部OB会との合同です。我々をいれて男が20人以上の大宴会になりますから、東山さんの奥さんと藤村さんの奥さんには気合を入れて接待をしてもらわなけらばなりません」
「そうそう、この前みたいに途中で弱音を吐かれては困りますよ」
「奥さんと尚子さんで10人ずつのチンポを処理してもらいますからね。どうです、楽しみでしょう」
男たちはとんでもないことを話し出します。
「馬鹿な!」
さすがに私も頭に血が上ります。
「そんなことをさせてたまるか」
「落ち着きなさいよ、東山さん」
里美が私をたしなめます。
「馬鹿野郎、これが落ち着いてなんかいられるか」
「馬鹿とは何よ。八つ当たりしないで」
興奮のあまりキーボードを打つ指も震えてきます。
「そうそう、言い忘れていましたが、今度の旅行には長尾先生も参加するそうですよ」
妻がびくっと体を震わせたのが分かりました。
「長尾先生って誰なの?」
「さあ……聞いたことはあるんだが」
確か息子の浩樹の2年の担任の教師だったような気がします。私は仕事の忙しさにかまけて、息子の担任教師との保護者面談などには顔を出したことがなく、B高校の教師の名前もうろ覚えです。
「奥さんも久しぶりに長尾先生に会えるので嬉しいでしょう。長尾先生も楽しみにしているようですよ」
「あ、あの人のことは……言わないでください」
「どうしてですか? 半年以上も男と女の関係を持った仲でしょう。長尾先生には結局何回抱かれたんですか? ええ、淫乱人妻の絵梨子さん」
「やめてくださいっ!」
妻がヒステリックな悲鳴を上げます。私はいきなり頭を鈍器で殴られたようなショックを受けました。
「どういうこと? 東山さんの奥さん、不倫していたの?」
「……」
「東山さん、知らなかったの? 奥さんに不倫されていたこと」
「やめろ!」
私はキーボードを叩き壊さんばかりの勢いでメッセージを打ち込みます。
「……ごめんなさい」
どういうことでしょうか。今の男たちの台詞は。
男たちの言葉が本当ならば、妻が子供の担任教師と関係を持っていたということです。それも半年以上も。私はそれにずっと気づかずにいたのです。
「藤村さんの奥さんも、恋人の西岡先生が参加するというので涙を流して喜んでいましたよ。そういうことならぜひ参加したいということでした。奥さんももちろん参加しますよね」
「……」
「どうなんですか? 黙っていては分かりませんよ」
「……参加します」
「声が小さいですね。もう一度」
「参加します!」
妻は怒ったような声を出します。
「そんな機嫌の悪い声は聞いていて気分が悪いですな。まるで女房の声を聞かされているようだ」
犬山の軽口に男たちがどっと笑います。
「奥さん、どうせならこう言ってくださいよ。淫乱人妻の東山絵梨子は、喜んで慰安旅行に参加させていただきます。どうか皆さんで絵梨子の穴という穴を思う存分犯し抜いてください、とね」
「ああ……」
妻はあまりの屈辱に天を仰ぎますが、何度も男たちにせっつかれ、ついにその破廉恥な言葉を口にします。
「い、淫乱人妻の東山絵梨子は、よ、よろこんで慰安旅行に参加させていただきますわ……どうか皆さんで……絵梨子の穴という穴を思う存分お……犯し抜いてください」
「よく言えました」
男たちは嘲笑を浮かべながらいっせいに拍手します。
「よくもそんな破廉恥なことを口に出して言えるもんだ。一度亭主に聞かせてやりたいもんだ」
「亭主の目を盗んで子供の担任教師と乳繰り合っていた淫乱人妻ですからな。これくらいはどうということもないんでしょう」
男たちはいっせいに妻に侮蔑の言葉を浴びせます。
「久しぶりに長尾先生にも思う存分ハメてもらえますよ。嬉しいですか? 奥さん」
犬山が皮肉っぽい口調で妻にたずねます。妻はあまりの屈辱に顔を背けていましたが、犬山にしつこく迫られ「嬉しいです」と返事をします。4人の男たちはいっせいに笑います。
「それではいよいよ異物挿入ですよ。いいですか、茄子は前の穴に、プチトマトは後ろの穴に入れるのです。奥さんは藤村さんの奥さんのようにフラワーアレンジメントなんて優雅な趣味はないのだから、卑猥さで勝負するしかありませんよ」
「しっかり練習して今度の旅行で、久しぶりに会う恋人の長尾先生に見てもらいましょう」
「練習しながら長尾先生との不倫セックス体験をたっぷり聞かせてもらいますよ、いいですね」
「……わかりました」
妻はがっくりと首を落として頷きます。その時私の部屋をノックする音がしました。
「専務、よろしいですか」
「しまった、来客の予定を忘れていた」
時計はとっくに午後1時を過ぎています。
「里美、後は頼む」

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