第112話 嗜虐の競艶(5)

大勢の男たちの前で極限の羞恥を展開しなければならない気も狂うほどの屈辱。里佳子は「嫌っ、嫌っ」と泣きわめき、駄々をこねるように尻を振るのだった。
「早くしないと妹の方がお待ちかねだぜ」
「奥さんが愚図愚図しているとそれだけ長く、この娘がケツ穴を晒さなきゃならない時間が伸びるんだ」
脇坂と赤沢にせきたてられた裕子はあわてて貴美子の花蕾に手を当て、クルリと包皮を剥く。
「あっ!」
濃いピンク色の敏感な亀頭を剥き出しにされた貴美子は思わず甲高い悲鳴を上げる。裕子がアルコールを湿した新しいガーゼでその部分を清浄すると、貴美子の悲鳴はさらにオクターブを上げるのだ。
「ああっ、し、沁みるっ!」
アルコールが敏感な皮膚に沁み込んでくる鋭い刺激に貴美子は緊縛された裸身をのたうたせる。
「じっとしているのよ」
裕子は宥めるように貴美子の太腿を叩きながら、丁寧に汚れを拭い落とすと、籠の中から小さな宝石箱のようなものを取り出す。
裕子は箱から金色のリングをつまみ出すと、ネジを回していったん緩め、すっかり剥き出しになった貴美子の花蕾に取り付けると再び締め上げる。
「ひ、ひいっ!」
女の最も敏感な急所を金属性のリングで締め上げられる激烈な痛みに、貴美子は獣の咆哮のような声を上げる。
「こ、これでお望みどおり、ク、クリトリスをはっきりムキムキしてあげたわ。貴美ちゃんのクリはいつでも剥き出しよ。パ、パンティの布にこすれるだけで感じてしまうから、もう、いつも丸出しにしているしかないわね」
裕子はそう言いながら露骨なまでに剥き出しになった愛娘のクリトリスをひねったり、引っ張ったりする。そのたびに貴美子はヒイッ、ヒイッとつんざくような悲鳴をあげるのだ。
次に裕子は龍から羽帚を受け取り、貴美子の花蕾を柔らかに愛撫し始める。
「どう、皮を剥かれたクリを直接刺激される感覚は? は、はじめてでしょう?」
「あ、ああっ!」
その部分から感じられる鋭い痛覚はいつしか妖しい快感を伴い出す。女の急所を完全に封印された敗北感は次第に被虐性の愉悦に変じ、貴美子は脳乱の極致の中で意味のない言葉を吐き出すのだ。
「そ、そんなところを締め上げるなんて……ひ、ひどいわ。ああ……き、気が狂いそうっ」
「ああっ、こ、こんな恥ずかしいお仕置きがあるんですかっ、ゆ、許してっ」
麻薬を打たれたような感覚に浸っている貴美子を、裕子はしばらく痛ましげに眺めていたが、やがて意を決したように剃刀を取り上げ、美貌の女子大生の菊襞にそっと当てる。
「ああ……」
貴美子はそんな母親にまるで協調を示すように尻をぐいと突き出す。あるかなきかの肛門周囲の産毛がゆっくり剃り取られていき、貴美子は極限の羞恥の中で徐々に露出の快感を知覚し始めたのか、シクシクと切なげにすすり泣く。
「さあ、奇麗になったわ」
裕子がぎこちなくほほ笑みながら尻をパシリッと平手打ちをすると、貴美子はさも恥ずかしげにコクリとうなずく。
「次は里佳ちゃんね」
裕子は脇坂と赤沢の手によって尻を開かれたままになっている里佳子に近づき、足元に膝をつく。
「お姉さんみたいに逆らっちゃ駄目よ。良い子にしているのよ」
裕子はそう言って美少女の尻を軽く叩くと、シェービングクリームを臀裂に吹き付ける。
「あ、ああっ!」
里佳子は小さな悲鳴を上げるが、姉の貴美子が逆らったあげく味わなくてもよいはずの羞恥を味わわされたあげく、結局アヌスの無駄毛まで剃られる羽目になったことを観察していただけに、強い抵抗は示さない。ただこの羞恥の時間が早く過ぎ去ってくれることだけをひたすら念じているのだった。
裕子はそんな里佳子の態度に複雑な思いを抱きながら、手に持った剃刀をゆっくりと粘膜の上に滑らせる。貴美子のそれよりもさらに薄い里佳子の産毛がすっかり剃り取られて行く。
里佳子は男勝りで時には周囲とぶつかることもある姉の生き方をじっくり観察して、自分は姉がぶつかって来た障害を巧みに避けて通るようなところがあった。よく言えば次女特有の要領のよさ、悪く言えばずる賢さだが、この極限状況においてもそんな里佳子の性格が発揮されているような気がして、裕子は思わず苦笑したくなるのだ。
美しい姉妹の下半身が完全に無毛になる。貴美子と里佳子は柱に固定された身体の縄を解かれる。ステージの真ん中に裕子が、その左右に貴美子と里佳子が両肢を少し開いたポーズで立つ。
裕子のやや斜め後ろには赤沢、貴美子には飯島、里には脇坂が付き添うように立つ。そこで再び龍のアナウンスが店内に響く。
「皆様、それでは本日のショーのスターを改めてご紹介致します」
その声にステージ上の3人の美女は急に身体を堅くする。ある意味で、今夜のショーの最大の屈辱の瞬間が訪れたのだ。
「まずは当スナック『かおり』の二大ベテランスターの一人、東中学PTA会長で大学国文科講師という立場にありながらマゾで淫乱、そして露出症という忌まわしい性癖を押さえ切れず、秘密ショーのスターの道を歩み始めた美貌の熟女、小椋裕子です」
自らのアイデンティティがすべて暴露される龍のアナウンスを死刑宣告のような思いで聞いた裕子は、覚悟はしていたもののあまりのショックに耐え切れず、思わず崩れ落ちかける。
「馬鹿野郎、しっかりしないか」
赤沢は裕子の尻をパシリッと叩き、抱え起こす。裕子は震える身体を必死で静めながら一歩前に出る。
裕子は両手を頭の後ろに回し、両肢をゆっくりと肩幅よりやや広めに開く。それまでは強いられた淫らな演技に没頭していた裕子は、改めて店内を埋め尽くす男たちの欲情の視線が肌に突き刺さるのを感じ、羞恥と屈辱の震えが激しさを増すのを抑えることができない。
裕子は観客の中にふと、数名の女が混じっているのに気づく。
(あれは……)
見覚えのあるその顔は裕子から自治会副会長を引き継いだ佐藤文子と、その腰巾着的存在の瀬尾良江だった。
文子と良江と一緒にいるのはA工業高校保健担当教師の長岡と、生物担当の酒田である。2人はA高の野球部マネジャー兼用務員として雇われた貴美子の露出症まがいの姿に眉をひそめた女教師たちである。
しかしながら実のところ2人の女教師は、貴美子および彼女が露出狂の性癖を有するに至るまでに影響を受けたといわれる母親の裕子に強い興味を抱いた。それで同僚の飯島から、2人が出演する秘密ショーがスナック『かおり』で催されると聞いてわざわざ店まで足を運んだのである。
裕子はもちろん長岡と酒田の顔は知らなかったが、文子と良江とともにこちらを指差してわざとらしく顔をしかめ、くすくすと笑いあっているのを見ると、新たな不安と恐怖を覚えるのだった。

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