66.地獄巡り(4)

「鬼源さんっていうのは森田組専属の調教師なの。後であなたたちも紹介してあげるわ。女の命を吊り上げられるようなもんだから辛いわよ。久美子なら耐えられるかしら」
そう言って笑いかける銀子を見た久美子の身体に悪寒が走る。
(森田組――それが静子夫人たちを誘拐した黒幕なの? どうして銀子はその名を私たちに?)
(自分たちが捕まるはずがないと思っているの?)
そんな不安に駆られている久美子の耳に京子と美津子の信じられないやり取りが聞こえてくる。二人の姉妹は、それぞれの恋人の妹や母親に一部始終をすっかり聞かれていることなど夢にも思わず、背徳の淫戯に没入しているのだ。
「そ、その二つの張り型は、ジョーとブラウンのおチンポから型を取ったものなの。き、京子は実演ショーで、お二人の愛をを同時に受け入れなければならないのよ」
「まあ、それは大変ね。同情しちゃうわ」
美津子は笑いながら姉のたくましいまでの尻たぶをぐいと引き裂き、微妙な菊の蕾を再び露わにさせる。
「わかったわ。この大きなものでお姉さんの前と後ろを同時に調教すればいいのね」
美津子が意地悪く念を押すと、京子がさも恥ずかしげにこっくりとうなづく。
「それじゃいくわよ。お尻の力を抜いてね」
「ああ……、美、美っちゃん、ら、乱暴にしないで」
「ブツブツいわないでっ」
美津子は姉の豊満な尻をパシンと平手打ちすると、手に持った巨大な張り型を、じっとりと粘っこく濡れた菊花の蕾へ当てつけていく。
「ああっ」
美津子が力を入れて押して出ると、京子のその微妙な筋肉はまるで生き物のように毒っぽく膨らみ、その巨大な張り型の丸い先端をしっかりとくわえ込んだ。
「ところで、前の方はどうなっているかしら」
美津子はそう言いながら京子の両腿の付け根に指先を触れさせ、粘膜の内側に指先を含ませる。
「まあ、すっかり濡らしているじゃない」
美津子は京子のそこがもうじっとりと熱く潤んでいるのに気づき、わざと驚いたような声を上げる。
「お尻を責められながらすっかり気分を出すなんて、お姉さんも隅に置けないわ。案外こういったことがお好きなのね」
美津子はからかうように姉に声をかけると、いったん張り型を引き、再び薬液を姉の直腸奥深くまで塗り込む。
「お姉さんが黒人のアレをくわえ込めないと、私に順番が回って来るんだから、頑張ってお尻の穴を膨らませるのよ」
「美、美っちゃん……」
「私がこんな惨めな境遇に堕ちたのも、元々はお姉さんがドジを踏んだからなのよ。女の癖に良い気になって空手なんか習って探偵の真似事をして、独断で行動したあげくに失敗するから私や文夫さんまで巻き込まれて誘拐されたのよっ」
「そ、そんな……」
京子は美津子のあまりの残酷な言葉に愕然とする。
確かに田代屋敷に潜入した京子が、静子夫人を救出しようとして捕らわれたため、妹の美津子、そして美津子の恋人の文夫と姉の小夜子が芋蔓式に誘拐されたのは事実である。あの時夫人の救出をあせらないで、一旦田代屋敷を抜け出て当局に連絡したら悪人達は一網打尽になったかも知れない。
責任を感じた京子は、常に田代屋敷の悪魔達から美津子を庇おうと身を犠牲にして来た。しかし、それらの犠牲的行動は悪魔達から逆に利用されるだけで、結局何の役にも立たなかった。
「あの純情可憐な美津子が姉に向かってこんなに残酷な言葉を吐くとは、変われば変わるものね」
銀子が感心したように呟く。
汚れのない処女だった美津子は、田代屋敷に誘拐されてから、姉の京子よりも大胆に被虐や嗜虐の快楽に身を任せることによって、ある意味では女として妖艶なまでに開眼し、同時に強さや残酷さを身につけたのかも知れない。
「お尻の穴が裂けるかもしれないわよっ。お馬鹿なお姉さんにはふさわしい罰だわっ」
美津子が再び野太い張り型を京子の菊蕾に押し当て、力任せに食い込ませる。
「ひいっ」
京子の絶叫が部屋中に響き、恐怖に駆られた久美子、美紀、絹代の三人はいっせいに裸身を震わせるのだった。

「次は奥様がたまらなく会いたい人に会わせてあげるわ。フフフ、誰だか分かるでしょう?」
銀子が絹代の顔を見ながら不気味な笑みを浮かべる。
「大学教授の折原医学博士の奥様で、かつ千原流華道の後援会長。折原珠江夫人よ」
絹代はその名を聞いた途端身体に戦慄が走る。
病床にある元康の看病のため身動きの取れない絹代に代わって、千原流華道のために奔走してくれた珠江。若くして元康の名代を務めざるを得なくなった美沙江を時に母のように、また姉のように支えてくれた珠江。
その珠江が、美沙江とともにこの地獄屋敷に捕らわれているのだ。
誰とも知らぬ不良外人の種を植え付けられ、醜悪な黒人に背後から犯されていた遠山静子夫人、また、姉妹で淫らな遊戯に耽るようになるまで堕とされた野島京子と美津子姉妹。
彼女たちの恐ろしい運命を思えば、凛とした気品と清楚な美しさを誇った折原珠江もまた、同様の地獄に堕とされていることが容易に想像できるのだ。
「珠江夫人は妊娠した静子夫人の穴を埋める形で、毎晩のように森田組の客のために珍芸を演じた後、娼婦として客をとらされているのよ。今夜の珠江のお座敷のお客様は誰だっけ?」
「えーと」
義子はジーンズのポケットから手帳を取り出し、ページをめくる。
「熊沢組組長の熊沢はんと平田はん、それに大沼はんの三人となってまんな」
「ああ、熊沢さんならちょうど良いわ」
銀子がニヤリと笑う。
「熊沢組っていうのは森田組と同様、ポルノ映画や秘密写真の売買を主なシノギにしている暴力団で、組長の熊沢さんは森田組の森田組長と兄弟分の盃を交わしているのよ。せっかくだからお座敷を見学させてもらいましょう」
「な、何ですって」
銀子の言葉に久美子たち三人の美女は驚きの声をあげる。
「あら、何をびっくりしているのよ」
「そんなこと……無理です」
「何が無理なの」
銀子は楽しげにくすくす笑う。
「森田組お抱えの裸芸者が、お座敷でどんな風に振る舞わなきゃならないか、見物させてあげようっていうのよ。貴方たち三人だっていずれ通る道なのよ」
「それは、どういう意味ですかっ」
美紀が顔を憤怒に赤く染めて銀子に食ってかかる。
「どういう意味も何も、いったままの意味よ。ぶつぶつ文句を言っていないで歩くのよ」
銀子はそう言うと、美紀と絹代の尻を交互にパシッと叩く。

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