「へえ、そうなの」
「手に職をつけないと生きていけませんからね」
「あなたたち、ズベ公って言っても、ずいぶん真面目なのね」
 和枝が感心したようにそう言うと、朱美は「恐れ入ります」と笑う。
「次はこいつだよ」
 銀子は箱から赤い蝋燭を二本取り出すとマッチで火をつけ、一本を朱美に手渡す。そして熱で溶け出した蝋を、山崎の急所に垂らす。
「うーっ」
 山崎が顔を真っ赤にして唸り声を上げる。朱美もまた恐怖に顔をひきつらせている久美子の陰部に赤い蝋を垂らしていく。
「うっ、ふぐっ」
 久美子の腰部がビクンと跳ねる。銀子と朱美は兄と妹の苦悶の姿を楽しげに眺めながら、蝋を垂らし続けているのだ。
「なかなか壮絶な責めね」
 みるみるうちに赤い蝋で覆われていく山崎と久美子のその部分に目を奪われながら、葉子がため息をつくような声を上げる。
「見かけは派手ですが、蝋っていうのはそんなに熱くないんですよ」
 銀子はそう言うと「こんな風にされたら別ですけどね」と言って、蝋燭の炎で山崎の肉棒をさっと炙る。
「やっ、やめてくれっ」
 山崎が思わず悲鳴を上げたので、銀子と朱美はゲラゲラ声を上げて笑う。
「ちょっとばかしチンポを炙られたくらいで、情けない声を出すんじゃないよ」
 銀子はあざ笑いながら山崎の睾丸をぐっと握りしめる。山崎は「ぐーっ」と呻きながら白目をむく。
「本当にきついのはこれからだよ」
 銀子は金属の容器から氷の塊を取り出し、山崎の陰部に押し当てる。
「うっ……」
「蝋燭で炙られたところが火傷にならないように冷やしてやっているんだよ。ありがたく思いな」
 久美子もまた、蝋を垂らされたその部分に氷を押し当てられる。
 確かに銀子の言うとおり、燃えるように火照ったその部分が氷によって冷まされていく感覚はそれほど不快ではない。山崎と久美子はじっと目を閉じながらハア、ハアと荒い息を吐いている。
「氷が冷たいだろう。またあっためてやるよ」
 銀子はニヤリと笑ってそう言うと、再び蝋を山崎の肉棒に垂らし始める。
「うーっ」
 いったん氷で冷やされたその部分に蝋を垂らされる──激烈な熱さを知覚することになった山崎は、傷ついた獣のような呻き声を上げる。
「あーっ、熱いっ、熱いわーっ」
 久美子もまた壮絶な熱さに泣きじゃくる。そうやって蝋燭による責めがしばらく続けられると再び山崎と久美子のその部分は氷で冷やされ、冷まされたところを改めて蝋燭責めにかけられる。
 そんな責めが何度か交互に繰り返され、宿敵である山崎探偵とその妹の哀れな悲鳴と、その腰部が交互にまな板に乗せられた活魚のように跳ね上がる様をたっぷりと堪能した銀子と朱美は、ようやく責めの手を止める。
「も、もうやめて……やめてください」
 壮絶な責めを山崎は汗塗れになった身体をガタガタと震わせながら、譫言のように哀願の言葉を呟いている。
「あたしたちに逆らったらどうなるか分かったろう。これからも、ちょっとでも反抗的な態度を見せたら、いつでも焼きチン、焼きマンのお仕置きにかけてやるからね。分かったかい」
 銀子はそう言うと、山崎の睾丸をぐっと握りしめる。
「ううっ、いっ、痛いっ」
 山崎が白目を剥きながら悶えるのにもかまわず、銀子は因果を含ませるように話し続ける。
「それから、あんたたち二人は常に連帯責任だよ。妹が逆らったら兄も、兄が逆らったら妹も、チンとマンが焼かれるんだよ」
「ああっ、あうっ」
 睾丸が握りつぶされそうな痛みに、山崎は脂汗を流しながら悶え抜いている。
「分かったかい、分かったら返事をしなっ」
「わっ、分かりましたっ」
 山崎と久美子はハア、ハアと喘ぎながら、同時に屈服の言葉を吐くのだった。
 やくざの情婦として多少の修羅場には慣れている和枝と葉子も、山崎兄妹に対する酸鼻な責めに息を呑んでいる。
 町子もまた、女たちの残酷さに圧倒されるような思いになっているのだ。
 それにしても、山崎と久美子兄妹のなんとも哀れであることか。
 もともとこの兄妹は、森田組や葉桜団に対して何も好き好んで敵対行動をとったわけではない。山崎は娘の桂子と妻の静子夫人を誘拐された遠山隆義から依頼を受けて、その捜索にあたっていたのである。
 その過程で山崎の助手であり、恋人でもある京子が森田組の手に落ち、性奴隷として飼育されることとなった。そして京子の妹の美津子、美津子の恋人の文夫とその姉の小夜子と、美男美女たちが文字通り芋蔓式に捕らわれるに至ったのである。
 もちろん山崎もその間手をこまねいていたわけではなく、特に小夜子の身代金受け渡しの場では厳戒な張り込み体制を敷き、あと一歩のところまで森田組を追いつめた。しかし寸前で待ち伏せを気づかれ、取り逃がすに至ったのだ。
 そして今回、千原絹代夫人や村瀬美紀夫人の依頼により、妹である久美子まで投入して、森田組に拉致された男女の奪還を図ったのだが、その努力もむなしく費え、ミイラ取りがミイラになるという言葉の通り、山崎自身が森田組に捕らわれることになったのだ。
「うう……ああ……」
「くっ、くうっ……」
 銀子と朱美はそれぞれ山崎と久美子の前に座り込んで、なにやら白っぽいものを二人の股間に擦り込んでいる。
「何をしているの」
 葉子が銀子の手元を覗き込んで尋ねる。
「葉桜流……いえ、鬼源流と言った方がいいですかね。泣き油ですよ」
「泣き油?」
「油の中に山芋に含まれるサボニンって言う痒くなる成分のエキスをたっぷりと混ぜ込んでいるんですよ。ただの山芋の汁を塗られるだけでも相当痒いもんですが、これはその十倍の効き目があるって代物です」
「十倍ってのをどうやって測ったのか、さっぱり分かりませんけどね」
 朱美が混ぜっ返すようにそう言うと笑う。
「何しろこれを塗り込められりゃ、どんな向こう気の強いやくざだってヒイヒイ声を上げて泣き出すっていうから、泣き油って呼ばれているんですよ」
「ううっ」
 一際高い呻き声が、山崎の喉から絞り出される。銀子が指先にたっぷりと「泣き油」を取り、山崎の肛門に塗りつけたのだ。
「ああっ、そ、そんなっ」
 朱美もまた二本の指を久美子の直腸内に差し入れ、奥深くまで泣き油を塗り込んでいく。世間から名探偵ともてはやされた山崎と、その妹がともに尻の穴に泣き油を塗り込まれ、悲鳴を上げている姿を和枝と葉子は身体が痺れるような嗜虐性の快感を知覚しながら眺めている。