4.地獄部屋(2)

「まず京子の大好きな浣腸をたっぷりとここに注ぎ込んでお腹を空っぽにして、ゆっくりとお肛門のトレーニング。どう、嬉しいでしょう、京子――」
双臀の奥深くに秘められた微妙な菊の蕾を夏次郎につつかれて、京子は思わずビクンと身体を震わせる。
静子夫人の救出のため田代屋敷に潜入し、奮闘空しく捕らえられて以来、筆舌に尽くせぬほどの淫虐な調教を受けた京子は、変質的な責め手に対抗するためにこれらの責めを悦びに変えるいわばマゾ性のようなものも徐々に身につけてきた。
しかしながら女として、いや、人間としての尊厳を踏みにじられるような浣腸・強制排泄責めにはどうしても慣れることは出来なかった。
「な、夏次郎さん――」
気弱そうに眼をしばたかせる京子。
「何度いったらわかるの。私達は貴女の夫なのよ。あなた、と呼ばなきゃ駄目でしょ」
「あ、あなた――、ど、どうしても浣腸しなきゃ駄目?」
羞恥と屈辱で頬を染めながら、京子は夏次郎に哀願するような眼を向ける。
「駄目よ。浣腸や排便も立派なショーの出し物なんですからね」
「ただ浣腸をされ、垂れ流すだけなら誰だって出来るわ。浣腸を悦んで受け、お客様を楽しませながら排泄をお見せするのよ」
「そ、そんな――」
春太郎と夏次郎は嵩にかかって京子に無理難題を吹きかける。口惜しげに唇をかみ締める京子。
「美津子と並べての姉妹浣腸ショーなんてどうかしら」
春太郎の着想に、夏次郎が思わず吹き出す。
「それは傑作ね。美人姉妹が仲良くお尻の穴を並べて浣腸勝負なんて、大受けするかもしれないわ」
「どちらが先に音を上げるか、お客様に賭けをしていただくといいわ」
「や、やめてっ」
二人のシスターボーイの淫虐なやりとりに耐え切れなくなった京子は、きっと顔を上げる。
「美津子にそんな酷いことだけはしないでっ。お願いですっ」
「あら、何も始めての経験じゃないでしょ」
春太郎がニヤニヤ笑いながら京子の顔を覗き込むと、夏次郎も嵩にかかって言い募る。
「そう言えば、京子の調教初体験は立ちションだったけど、美津子の初体験は浣腸と強制排泄だったんだって?」
京子の表情が口惜しげに歪む。
「処女の身で大勢の前で浣腸されて、ウンチをさせられるなんて美津子も酷い目にあったものね」
「それもこれも、姉の京子が女だてらに危ない仕事に手を出すからじゃない――」
春太郎と夏次郎の残酷な言葉に耐えきれず、京子の目尻から涙が流れ落ちる。
京子が探偵事務所の助手などという、女としては高収入だが危険な仕事についたのは、妹の美津子を来年大学に入れ、将来スチュワーデスにしてやりたい一身からだった。
しかしその京子の仕事のために、美津子を悪魔たちの餌食にしてしまうという皮肉な結果となったのだ。
(あの時の私に、自分の危険よりも山崎さんの失点を取り返すことを優先する気持ちはなかったか──)
いわば山崎の油断のために遠山夫人が誘拐された。恋人である山崎の名誉挽回のために京子が、本来ならば回避していたはずの危険をあえて冒してしまった。いわば京子は、恋人に尽くすという自分のエゴのために妹の美津子を犠牲にしてしまったのだ。
「さっき言った京子の立ちションフィルムと一緒に、美津子と一緒に浣腸を受けたフィルムも井上さんから見せてもらったわ。井上さんは2本のフィルムを一本の映画に編集して、お金持ちの好き者たちに売りさばいているそうよ」
「えっ」
京子は、弾かれたように涙に濡れた顔を上げる。
田代屋敷に住む悪鬼達の会話から、自分達姉妹を含む「性の奴隷たち」を撮影した醜悪な写真や映画が、闇の世界で取引されているだろうことは薄々感じてはいた。しかし、こうやってはっきり聞かされるとその衝撃は大きい。
ああ、もう自分達姉妹は陽の当たる世界には2度と出られないのだ。あのときの判断ミスが招いた運命を自分が受け入れるのはいわば自業自得だが、なんの罪もない妹の美津子や文夫、小夜子達が同じ運命をたどらされるとは――。
「一応、最初は出演している女優の素性は伏せていたそうだけどね、顔立ちを見れば姉妹だってことは分かる人には分かっちゃうみたいね」
「それなら逆にそれを売り物にしてしまおう、ってことで最近プリントしたものにこんなタイトルを付けたそうよ」
夏次郎はけばけばしいカラーのチラシを京子の目の前でひらひらさせる。そこには京子と美津子の緊縛されたバストショットが並び、「美人姉妹浣腸合戦!!」という大きな字が踊っていた。
京子と美津子の写真の下には、「野島京子 23歳」、「野島美津子 18歳」という文字が印刷されている。
「わ、私たちの名前まで――。あ、あんまりだわっ」
京子はあまりのことにわっと号泣する。
「この映画はなかなかのベストセラーで、続編の希望も多いそうよ」
「もうかるとなれば何でもやっちゃうのが森田親分だからね、いずれ姉妹浣腸責めの復活を! なんて言い出すかもね」
春太郎と夏次郎はそう言うと、わっと笑い出す。
「お、おっしゃる通り京子は浣腸の調教をお受けします。だから、これ以上美っちゃんを巻き込むのはやめて頂戴――」
春太郎と夏次郎は顔を見合わせてほくそ笑む。

――30分後、京子のしなやかな二肢は宙に向かって大きく割った形で吊り上げられていた。京子は上層の花肉と下層の微妙な菊花の蕾を同時にさらけ出すという卑猥な姿を露呈させている。
「さ、京子、始めるのよ」
京子は浣腸・排泄ショーのスターが、どういう要領で観客の欲情を刺激するかを二人のシスターボーイによってみっちりと教え込まれていたのだ。
「み、皆様、もっと京子のお尻の近くにいらして――」
京子は血を吐くような思いで、強制された卑猥な演技を開始する。
「い、いかが? 京子のお、お尻の穴。はっきりご覧になれるかしら?」
二人のシスターボーイは、強制されたとはいえ空手二段の鉄火娘がそんな卑猥な科白を口にしたことに皮肉な面白さを感じ、ぷっと噴き出すのだった。
「まだまだ、よく見えないわ」
「い、意地悪――」
京子は拗ねるようにゆらゆらと臀部を揺らす。春太郎と夏次郎は、匂い立つような色気が京子の全身から立ちのぼるように思うのだった。
「この木枕をお尻の下に敷いてみたらどうかしら」
春太郎と夏次郎は左右に分かれて京子の腰に手をかけ、ぐいと持ち上げる。そして逞しいばかりに豊満なヒップの下へ木枕を素早く押し込むのだ。
「まあ、なんて淫らなのかしら」
「京子の菊の花が全開よ」
木枕の上にでんと乗せ上げられた京子の双臀はその重みで自然に肉が割れ、通常はその狭間に秘められている菊の蕾をはっきりと示している。春太郎と夏次郎は襞の一本一本まで露にした京子のそれを指さしながら、しきりにからかいの言葉を浴びせかけるのだった。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました