3.地獄部屋(1)

「京子は本日も、優しい二人の夫の指示に従い、どのような恥ずかしいお稽古も悦んでお受けすることを誓います――」
京子の朝の日課は、不気味な二人の性的倒錯者の前で服従の誓いの言葉を述べることから始まる。肉感的な裸体を固く縛り上げられて春太郎と夏次郎の前に立った京子は羞恥に眼を伏せながら、強制された誓いの言葉を素直に繰り返す。
男女両方を相手取ることが可能という変質的なシスターボーイ、春太郎と夏次郎は京子専用の調教師として田代に雇われ、この女中部屋を住まいとしている。二人の変質者から毎日過酷な調教を施される場所──それはすなわち京子にとっては地獄部屋だった。
「空手二段のじゃじゃ馬も随分素直な女になったわね」
春太郎が弾力のある京子の尻をつるりと撫でる。
「嫌、嫌。もう、そんなことはおっしゃらないで」
京子は軽く腰部を揺すりながら、春太郎の手を振り払うようにするが、それは甘く消極的な拒否に過ぎない。
「京子は春太郎さんと夏次郎さんのご指導の下、二度と空手なんか使わない可愛い女の子になると決心したのですわ」
「まあ、それは良い心がけだわ」
夏次郎が京子の肉感的な裸体を頼もしげに眺める。
「昨日、丸一日美津子とレズビアンの調教をつけてあげたのが、良かったのかしら」
春太郎と夏次郎はそう言いながら顔を見合わせ笑いあう。
「でも、さすがは血の繋がった姉妹だわ。仲良くお尻を振り合いながら、同時に気をやりあう様子なんて、たいした見ものだったわ」
「そうね、一日でお互いにお尻の穴を舐めあうまでに仲が良くなるなんて、調教しているこちらの方が驚いたわ。コンビとしてすっかり息が合うようになったじゃない」
そんな二人のからかいに、京子は赤く頬を染めて俯く。
静子夫人誘拐事件の調査のため新宿に根城を持つ不良少女集団、葉桜団に自ら入団し、潜入捜査を行っていた京子は、田代屋敷に静子夫人が運び込まれ、田代と森田によって淫猥な責めが加えられようという場面を目撃した。京子は屋敷を抜け出て所長の山崎に連絡を取ろうか、静子夫人の危難を救おうか散々迷った末、目前の危機に対処する、つまり静子夫人の救出を優先することとしたのだ。
しかし結果的にはこの決断が裏目に出た。夫人とともに逃げようとしているところを見つかった京子は空手二段の腕前を発揮してやくざやズベ公相手に奮戦したが、結局飛び道具の前に屈し、森田組に囚われの身となったのだ。
そればかりか京子のとっさの判断ミスは妹の美津子、およびその恋人の村文夫と姉の小夜子など、その後の一連の拉致事件の引き金をひいてしまったことになる。京子にとって悔やんでも悔やみきれるものではなかった。
おまけに一昨日、妹の美津子とともに発作的に屋敷からの逃亡を図った京子は、集まってきた調教師の鬼源や、巨漢の捨太郎によって捕らえられ、浣腸の仕置きにかけられたあげく、美津子とお座敷ショーのコンビを組まされることになったのである。
連日の激しい調教で、京子の空手で鍛えられた身体は適度な脂肪をのせて丸みを帯び、肉付きの良い尻から太腿にかけてはムンムンするような女っぽさを漂わせている。
「それにしても色っぽいお尻ね。これも浣腸の効果かしら」
夏次郎はそう言うと、京子のヒップをパシッと軽く平手打ちする。
「それじゃ、まず、立ちションの調教からよ」
春太郎が洗面器を取り出すと、毎日の剃毛によりすっかり陰りを失った京子の股間に押し当てる。
「――嫌、嫌よ」
「何を言ってるの、ちゃんとすませとかないと調教の途中で困るわよ」
「だって、だって、いつも立ったままなんて――ひどいわ。お願いですから、たまには普通にさせて」
京子は駄々をこねるように身体を捩らせ、洗面器を避けるようにする。
「だめよ。これも大事な芸のうちなのよ」
「京子みたいな男勝りの美人が、堂々と足を開いて立ちションをするのを喜んでみるお客が多いのよ」
「そ、そんな――」
「京子、貴女、この屋敷に捕まったときに最初に受けた調教が、立ちションだったんだって?」
春太郎が淫靡な笑みを浮かべながら、京子に囁く。
「―――」
「この前、お夏と一緒に井上さんに見せてもらったわ。凄い迫力だったわよ」
「――ああ」
京子は羞恥に顔を真っ赤にして俯く。
「鉄火娘には最高の調教よね。あの時は薬缶に入った塩水を無理矢理呑まされて、目を白黒させていたみたいだけど――」
「それから美津子と並んで浣腸、剃毛、静子夫人とのレズビアンショー、一歩一歩、階段を上るように実演スターへの道を歩んできたというわけね」
「も、もうその話はしないで下さい。おっしゃる通りにしますから」
京子はそういうと諦めたように両肢を開き、太腿で洗面器を挟みこむ。
「素直に調教を受けますわ。お願い、少しだけ目をそらせて――」
「駄目よ、どこからおしっこが出てくるか、しっかり見届けてあげるわ」
「ああ、そんな──」
極限の羞恥に悶えていた京子の股間から、やがて一条の水流が迸り、それは激しい滝となって洗面器の底を叩く。
「まあ、京子ったら、随分量が多いのね」
「もっとレディらしく、おしとやかにするものよ」
「ああ、もう、もう、いじめないで――」
京子は頬を赤く染めながら放尿を続ける。
何度も繰り返された調教だが、未だに京子の仕草は初々しさを失わない。調教に対して決して馴れすぎることがない、生き生きとした反応が京子のもつ魅力なのだ。
ようやく京子の発作は止み、春太郎はチリ紙を取り出すと、京子の濡れた股間を拭う。
「何もかもこちら任せで、いい気なものね」
「ああ──許して」
「いいのよ、赤ちゃんになったみたいな楽な気分でいなさい」
春太郎はそう笑いながら京子の後始末を終えた春太郎は、洗面器の中を覗き込み、大げさな声をあげる。
「まあ、京子ったら、随分泡の多いおしっこをしたのね。ほら、ごらんなさい」
春太郎は、洗面器を京子の鼻先へ近づける。京子は狼狽してそれから視線をそらせよううとするが、春太郎は面白がってそれを京子の目の前に押しつけていく。夫人は諦めたようにそれに悲しげに眼を注ぐ。
「これは何なの? 京子、言ってみなさい」
「きょ、京子のおしっこ──」
京子は恥ずかしげに唇を震わせる。
「もっと大きな声で言うのよ」
「京子の、お、おしっこですわ」
開き直ったようにそう言う京子の身体全体が、ぽおっと薄いピンク色に染まる。その何とも言えぬ色っぽさに春太郎と夏次郎は思わず見とれるのだった。
「さあ、すっきりしたところでそろそろ始めるわ。午前中はみっちりお尻の調教よ」
夏次郎は京子の逞しいばかりに豊かに肉の実った双臀を平手でパシンと叩くのだ。

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