156.一網打尽(4)

「嫌っ」
女が小さな悲鳴を上げるが、川田はかまわずナイフでボディスーツのヒップのやや上を切り裂いていく。ぐるりと一周切り裂くと、まるでタイツを脱がすように一気に引き下ろす。
「い、嫌っ!」
女の悲鳴が大きくなる。下半身が高級そうなレースの施されたブルーのパンティ一枚の半裸にされた女の顔が羞恥と屈辱で赤く染まる。
「どれ、もう一枚だ」
川田はナイフを置くと、両手を女のパンティにかけ、一気に引き下ろそうとする。
「Non! Ne le faites pas!(や、やめてっ!)」
女が絶叫して激しく身体を悶えさせる。
「ガタガタ騒ぐなっ! さっきの強気はどこへいったんだいっ!」
吉沢が薄手のパンティ一枚に覆われた金髪女のヒップをパシッと平手打ちする。
「うっ!」
尻を叩かれる屈辱に女は口惜しげに顔をしかめるが、再び川田がパンティに手をかけると
「やめてっ! お、犯さないでっ! 私には夫がいるのですっ!」
と叫び、狂気したように身体をくねらせる。
「ほう、この女、亭主持ちか」
川田と女のやり取りをニヤニヤ笑いながら見守っていた田代が、身を乗り出すようにして言う。
「そいつは面白い。おい、女、このまま犯されたくなかったら、自分の正体を名乗るんだ」
金髪の女は口惜しげに唇を噛み、身体を震わせていたが、川田がパンティをずるりと引き下ろし、迫力のあるヒップを半ばまで露出させると「やめてっ! い、言うわっ!」と声を上げる。
「……わ、私の名前はフ、フランソワーズ・ダミヤ・バルー。年齢は25歳です」
田代が問いかけると金髪の美女は口惜しげにすすり上げながら声を震わせる。
「国籍は?」
「Je suis de France.(フランスです)」
「フランス……ダミヤ……ああ」
顔を伏せてすすり泣いているダミヤと名乗った女を眺めながら、川田が何か思い出したように声を上げる。
「どうした、川田」
「いつだったか、静子夫人にフランスから手紙がきたことがあったでしょう。夫人がフランスに留学していたころの親友が、スイスで結婚式を挙げるから来てくれっていう。その親友の名前が確かダミヤでしたよ」
「本当か?」
「有名なシャンソンの歌手と同じ名前だったから覚えていたんで」
川田はそう言うと女の顎に手をかける。
「おい、お前、ダミヤと言ったな。遠山静子夫人の留学時代の友人のダミヤで間違いないか」
ダミヤは川田の問いには答えず「あなたたち、やはりシズコを知っているのですねっ」と言うと川田を睨みつける。
「シズコを、シズコをいったいどこにやったのっ。言いなさいっ」
先程まで気弱にすすり泣いていたダミヤが、急に息を吹き返したように食ってかかって来たので、川田は戸惑いの表情を見せながら田代や森田の顔を見回す。
「何度手紙をかいても返事がないから、おかしいと思って日本まで来たのよ。シズコと私は一生親友でいようと誓ったの。私の結婚式の知らせにあのシズコが返事をくれないなんて考えられないわ」
「それで以前シズコから聞いていた遠山の家を尋ねたら、シズコは使用人と不義を働いたせいで随分前に家を出されて、遠山家には新しいワイフがいるっていうじゃない。そんな馬鹿な話があるはずがないと思って色々と尋ねて回ったら、シズコが姿を消す直前に遠山家の令嬢もいなくなっていることがわかったのよ」
「それで桂子の捜索を依頼された山崎に行き当たったってわけか」
川田が納得したように頷く。
「シズコからは、義理のお兄様の友人が探偵をしていると聞かされていたわ。それがヤマザキさんのことだとはすぐに分かった」
ダミヤはそこまで話すと再び川田を睨みつける。
「さあ、これであなたたちが聞きたいことは全部話したわ。シズコがどこにいるのか教えなさい」
「別にどこかへやった訳じゃないさ。静子夫人はこの屋敷に滞在中だよ。たぶんこれからもずっとね」
川田はニヤニヤ笑いながらダミヤの視線を受け止める。
「何ですって? あなたたち、いったいシズコに何をしたの?」
「ここにいる山崎から何も聞いていないのかい?」
川田の問いにダミヤは無言で首を振る。
「静子夫人がこの屋敷でどんなふうにもてなされているかがわかるものを色々と遠山家の方に届けてやったはずだがな。例えば夫人が腹ん中にたっぷりと溜めていたものとかだ」
川田のその言葉を聞いた山崎の顔が青ざめる。
「おい、ダミヤさんとやら。大事なお友達が何をされているのかそんなに知りたけりゃたっぷりと教えてやるぜ。てめえ自身の身体を使ってな」
川田はそう言うとダミヤのパンティに手をかけ、一気に引き下ろす。
「ああっ!」
ついに下半身裸にされたダミヤは悲痛な叫び声を上げ、激しく身体を捩らせるが、両手を吊られた身では女の最も恥ずかしい箇所すら隠すこともできない。
「ほう、金髪女ってのはあそこの毛も金髪なんだな」
吉沢が感心したような声を出す。
「当たり前じゃないか。お前、洋物のブルー映画を見たことがねえのか」
森田が苦笑すると、吉沢が「そりゃあありますが、俺の見たのはだいたい白黒のやつばっかりで、金髪なのかどうなのかさっぱりわかりやせんでした」と答える。
「いずれにしても静子夫人や小夜子だけでなくこんな別嬪の外人女が手に入ったんだ。森田組のポルノ映画は海外に輸出しても十分勝負できるようになるぞ」
田代がそう言うと満足そうに笑う。
そんなおぞましい会話を耳にしたダミヤは恐怖と羞恥に身体を小刻みに震わせながらも、必死に気丈さを保ち、男たちを睨みつける。
「ば、馬鹿なことはやめなさい。私に手を出したら、フランスの大使館が黙っていないからっ、き、きっと後悔するわよ」
「大使館はあんたがこの屋敷にいるなんて知っちゃいないさ」
川田はそう言うと露わになったダミヤのボリュームのある尻をバシッとひっぱたく。
「やばくなったら香港か中東あたりに売り飛ばして高飛びするまでさ。そうなりゃああんたは一生、日のあたるところにゃあ出られねえ。それでもいいのかい?」
とにかく取り敢えずそんな生意気な口が聞けなくなるようにしてやる、と川田は言うと、グリセリン溶液を吸い上げた浣腸器を手に取る。
川田がそのおぞましい器具をダミヤの肉付きの良い尻にあてがおうとした時、ようやく何をされるのか気が付いたダミヤは激しく腰部を振る。
「な、何をするのっ!」
「何をするのかはもうわかっているだろう。静子夫人が味わったのと同じ思いをさせてやろうってんだ」

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