182.静子夫人の絶望(6)

「ほらほら、奥さん。昨夜は本物の息子のケツの穴まで嘗めてやったんだろう。ただの玩具を相手に何を遠慮しているんだい」
朱美が美紀夫人の肩をどんと叩くと、美紀夫人は苦しげな表情になり、張り型から口を離す。
「い、いけませんわ。朱美さん。そんなに乱暴にしては。気が殺がれてしまいますわ」
静子夫人が慌てて朱美を止める。
「奥さんの言う通りだ。朱美。この場は静子夫人に任せたんだからしばらくおとなしくしてな」
森田にたしなめられた朱美は「ちぇっ、わかったよ」と口を尖らせる。
「美紀様……何も考えないで……ただ、ご自分の舌と唇の動きに集中するのです」
「わ、わかりました。静子様」
美紀夫人は涙で瞳を潤ませながら、こくりと頷く。先程思わず静子夫人に反発した美紀夫人だったが、朱美や銀子から告げられた残酷な事実から、静子夫人が想像も出来ないほど苛酷な運命を辿ってきたことに改めて思いがいたったのだ。
調教を受けることよりも調教を施すことの方が辛い。その相手が旧知の相手なら尚更である。小夜子や文夫を守るためだけでなく、静子夫人にこれ以上辛い思いを味合わせないためにも、淫らな調教を進んで受けなければならないと美紀夫人は皮相な覚悟を固める決のだった。
「そう……その調子ですわ」
美紀夫人がいつしか必死ささえ滲ませながら、懸命にその奇妙な責め具に口唇の愛撫を注ぎ出したのを見て、静子夫人は安堵の息をつく。
「次に、大きく口をお開きになって、喉の奥まで呑み込んで……」
二人の美夫人は静子夫人に命じられるまま大きく口を開き、筒具を喉元まで受け入れる。
「ううっ……」
途端に吐き気が込み上げ、美紀夫人と絹代夫人は苦しげな声を上げる。
「思い切って喉の奥まで受け入れるのです。吐き気はそのうちに収まりますわ」
美紀夫人と絹代夫人は苦しさのあまり涙に瞳を潤ませながらも静子夫人の言葉に素直に頷き、深々と張り型を受け入れる。吐き気をこらえながら筒具を愛撫しているうちに、確かに静子夫人の言う通り喉の感覚は次第に麻痺してくるようになる。
「だいぶ調子が出て来たじゃないか」
腰を前後に揺らしながらゆっくりと抽送を続ける二人の美夫人の姿を満足げに眺めていた田代と森田は、ふと同時に背後から美紀と絹代の双臀に手を伸ばし、鈴縄で締め上げられた二人の股間をまさぐり出す。
「おや、ここんところが随分濡れてるぜ」
「こっちもでさあ、社長。この奥様方、上品な顔をしていますが案外こんなことが気に入ったみてえですぜ」
田代と森田はそう言うと顔を見合わせて笑い合う。
「うっ!」
突然背後から不意打ちを食わされた美紀と絹代は同時に裸身をブルッと震わせ、張り型を吐き出そうとする。
「だ、駄目ですわ。吐き出しては」
静子夫人が慌てて声をかける。
「せっかく調教に集中し始めたところですわ。気をお逸らしにならないで」
静子夫人にそうたしなめられた美紀と絹代は再び張り型への愛撫へと戻る。田代と森田に成熟した尻を撫でられながら、文夫のペニスから型取りされた張り型で調教される――しかも、調教をつけているのが旧知の静子夫人という究極の汚辱。
しかしそれらもいつしか被虐性の快感へと転化していくのを、美紀夫人と絹代夫人は不思議な思いで知覚しているのだ。
「うっ、ううっ……」
「うぐうっ……うう……」
美紀と絹代の口腔はもはや新たな性器に変貌し、奇妙な筒具に粘っこい愛撫を注ぎ込み始めている。上流の人妻たちの無残なまでの転落ぶりを楽しげに眺めていた銀子と朱美は、頃は良しと見て頷き合う。
「そろそろ良いわよ。それじゃあまた、本物を相手に練習してもらおうか」
美紀と絹代は深々と呑み込んだ張り型を吐き出すと、銀子と朱美に尻を叩かれながら田代と森田の前に跪く。目の間に垂れ下がった醜悪な肉塊に唇を触れさせようとした美紀夫人の尻を銀子がピシャリと叩く。
「がっつくんじゃないよ。みっともないね」
銀子は苦笑しながらそう言うと静子夫人に、
「調教役は奥さんだろう、しっかりしなきゃ駄目じゃないか。きちんと挨拶の仕方を教えるんだよ」
と声をかける。
「は、はい……」
静子夫人は頷くと二人の美夫人に悲しげな視線を向ける。
「美紀様、絹代様、社長と親分に挨拶をなさって」
「挨拶って……」
一体何をしたら良いのか。美紀と絹代は戸惑いの表情を浮かべる。
「しっかりと相手の目を見ながら、自分の名前と年齢を申し上げ、次に相手のお名前を呼んで、心を込めておしゃぶりさせていただきますわ、と申し上げるのです。こんな風に……」
そう言うと静子夫人は美紀と絹代の間に跪き、田代の方を見る。
「遠山静子と申します、年齢は26歳……」
静子夫人は田代の目をじっと見つめ、口元に媚めいた微笑まで浮かべる。
「田代社長様、静子は心を込めておしゃぶりさせていただきますわ」
そこまで言った静子夫人は花のような唇を開き、田代の肉棒の先端にチュッと音を立てて口づけする。
「うっ……」
途端に田代の腰部に電流に触れたような快感が走り、垂れ下がっていた肉塊はムクムクと膨れ上がりながら屹立を開始する。
「わあ、見事に立ってきたわね」
「さすがは静子夫人だわ」
銀子と朱美は手を叩いて歓声をあげる。美紀と絹代もまるで手品のような静子夫人の技巧に目を丸くしていたが、夫人から「さ、お二人の番ですわ」と催促され、意を決して前を向く。
「む、村瀬美紀と申します。年齢は45歳」
美紀夫人はそう言うと田代の目をじっと見つめる。
「田代社長様――美紀は心を込めておしゃぶりさせていただきますわ」
美紀の挨拶が終わるのを待っていたかのように絹代が口を開く。
「千原絹代と申します。年齢は42歳」
絹代夫人はそう言うと黒目がちの瞳を森田に向ける。
「森田親分様、絹代は、こ、心を込めておしゃぶりさせていただきますわ」
その言葉を合図にしていたかのように、二人の美夫人は同時に男たちの肉棒に接吻し、先程とは打って変わった情熱的な愛撫を注ぎ込み始めるのだった。

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