195.肉の狂宴(8)

「い、意地悪言わないで……」
「駄目よ、ちゃんと自分で言わなきゃ」
「ああ……」
京子は一瞬天を仰ぐと、やがて口を開く。
「京子の、京子のおマンコを広げて……山崎さんに奥の奥までお見せして」
京子がため息をつくようにそう言うと、義子とマリは勝ち誇ったように笑い合う。
「京子姐さんにそんなに頼まれたんやったら断れへんな」
義子はそう言うとマリとともに京子の陰唇に手をかける。二人のズベ公は「せーの」と声を掛け合うと、京子の肉の扉を思い切り開げる。
「ああっ、み、見ないでっ!」
京子が狼狽のあまりそんなことを口走ったので、義子とマリはゲラゲラ笑うと京子の肉付きの良い太腿をひっぱたく。
「何言ってんのよ、逆でしょう」
「そや、見ないでやなくて、見て、見てって言わんかいな」
「ああ……」
切羽詰まった京子は開き直ったように山崎の方に顔を向けると「や、山崎さんっ、見てっ」と叫ぶような声を張り上げるのだ。
「ねえっ、見てっ。奥の奥まで。京子のすべてをその目で確認してっ」
山崎の前で痴態を繰り広げなければならない苦しさから逃れようと、京子は自らの神経をわざと麻痺させるかのように振舞っているのだ。
そんな京子の姿を目にしている美津子は、誘拐された文夫と自分が初めて対面させられた時のことを思い出している。
あの時美津子は、まさに京子と同じように文夫の前で淫らに振舞い、恋人を翻弄するように強制された。その時の自分の辛さ、苦しさを今、姉の京子が感じているのだ。
それに自分はまだしも文夫と再開した時には肌は汚されておらず、悪鬼たちに強制された結果とは言えその操を恋人に捧げることが出来た。しかし姉はすでに多くの男たちによって抱かれただけでなく、山崎の見ている前で黒人男に貫かれながら絶頂を極めさせられるという悲惨な姿をさらすことになったのだ。
(私が、姉さんや小夜子さんの恋人も誘拐されてしまえば良いなんて望んだから……)
こんなことになってしまったのかと、美津子は背筋がゾクッとするような恐怖とともに、姉に対して抱いていたわだかまりが急速に融けていくのを感じているのだ。
この地獄屋敷では正気では耐えられないことばかり。それなら自ら狂気の世界に踏み込んでいくしか生きる道はない。美津子は、シスターボーイ二人による執拗な調教を受けて正気と狂気の狭間を彷徨った京子が自ら極限の痴態を晒すことによって、山崎や久美子だけでなく、小夜子や文夫、そして妹の自分にまでもそんなことを教えようとしていると思われてならないのだ。
一方、京子が自分から被虐の快感の中に飛び込もうとしているのを感じた義子とマリは、逆にゾクゾクするような嗜虐の快感を知覚しながら、さらに淫らな行為を演じさせようとして鬼源にある提案を持ちかける。
「……ね、鬼源はん、どう思う?」
「一人よりも、二人掛かりの方が効果的でしょう? まんざら知らない仲でもないし」
「面白えじゃねえか。やらせてみな。ショーの稽古にもなるし、一石二鳥だ」
義子とマリのたくらみを聞いた鬼源は満足そうに頷くと、撮影班の井上に向かって二言、三言指示をする。
「鬼源さん、台本なしでカメラを回しっぱなしにしたら、フィルム代だって馬鹿になりませんぜ」
「馬鹿野郎、事実は小説より奇なりっていうじゃねえか。こういうのは陳腐な台本どおり演じるよりも、ハプニングの方が面白いんだ」
「ハプニングってのはなんのことで?」
「そんなものは俺も知らん。とにかく撮り続けるんだ。余計なところは後でカットすりゃあいい」
鬼源と井上がそんなことを言い合っている間に、義子とマリは美津子に近寄り、両脇から抱き抱えるようにする。
「な、何をするの」
脅えたような目を向ける美津子に、義子は「ぼおっとしてないであんたも働くんや」と声をかけると、マリもまた「そうそう、お姉様のお手伝いをするのよ」と重ねるように言う。
「い、嫌っ、そんなの嫌よっ」
その言葉で二人のズベ公の意図を理解した美津子は悲鳴のような声を上げる。姉の恋人で仕事の上司でもある山崎とは、美津子はこれまで数えるほどしか会ったことはない。しかし探偵という職業が信じられないほどのその紳士的な態度と優しさは姉の京子と二人暮らしの美津子にとって、まるで実の兄のように感じられる存在だった。
その山崎の前で姉と並んで淫らな姿を晒さなければならない。恐ろしさと背徳感に駆られて美津子は必死に抵抗する。
「川田はんに吉沢はん、ぼんやり見てんとちょっと手伝ってんか」
さすがに持て余した義子に声をかけられた川田と吉沢が、二人のズベ公たちと一緒になって美津子を引き立てる。
「嫌っ、嫌っ」
「おとなしくするんだよっ!」
懸命に抗う美津子の頬をマリが音を立てて平手打ちする。二人のズベ公は川田と吉沢の手を借りて美津子をようやく京子の隣りに立たせるとその形の良いヒップを交互にパシッと叩く。
「さあ、お姉ちゃんみたいに足を開いて、探偵のお兄ちゃんに可愛いマンコを見せてやるんや」
「ああ……嫌です。そ、そんなこととても出来ないわ」
「聞き分けのないこと言うんじゃないよっ」
マリは怒声を上げると美津子の尻を再びひっぱたく。そんな様子を目にした京子はたまりかねたように口を開く。
「お、お願いですっ……マリさん、義子さん。美津子は許して上げて……わ、私だけで十分じゃないですか」
「何を甘ったれたこと言ってるんや」
義子もまた怒声を上げると京子の頬をパシッと平手打ちする。
「あんたたちは岩崎親分たちの前では、姉妹でお尻の穴までペロペロなめ合うような卑猥なショーを演じんとあかんのや。山崎の前で核比べや菊比べをするくらいで、何を愚図愚図言うてるんや」
「そ、そんな……」
義子にそう決めつけられた京子は言葉を失って唇を震わせる。
「それと奴隷は連帯責任って言っただろ。後で京子と並んで豆吊りの仕置きを受けたくなければ、姉妹で力を合わせて山崎を思い切り挑発するんだよ」
京子と美津子にそう宣告したマリは、部屋の隅に置かれた銚子を取り上げると、ポケットからタコ糸を取り出し、首のところにぐるぐる巻き付ける。
「この銚子に酒を入れて、あんたの恋人が見事に吊り上げたなら合格。出来なかったらさっき言った通り、京子が逆らった罪により奴隷全員で連帯責任のお仕置きだよ」
そう言い放ったマリから糸のついた銚子を受け取った義子が山崎に近寄るとしゃがみこむ。
「ちょっと失礼するで、名探偵はん」
義子は山崎の肉棒をつまみ上げるとその雁首のあたりにタコ糸をぐるぐると巻き付ける。
「な、何をするんだ」
山崎は腰を捩って抗うが、川田と吉沢に押さえ付けられてはかばかしい抵抗も出来ない。

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