194.肉の狂宴(7)

「わかりました……お手間をおかけして申し訳ありません」
そう答えた京子は堪り兼ねたように一筋、二筋涙を流す。それを見た義子とマリは顔を見合わせ、ニヤリと笑うと急に猫なで声になって京子に話しかける。
「わかってくれりゃいいんだよ。京子が言うとおりにしてくれるのなら、山崎や久美子のことだって悪いようにはしないよ。あたいたちからも折りを見て田代社長や森田親分に頼んでやるわ」
「そうや、これ以上女奴隷が増えたら、あたいたちだって手が回らんとこやからな。久美子一人くらい解放することには反対はせんやろ。山崎にしたって男奴隷にするよりは、森田組にとってもっと良い使い道があるはずやし」
「お、お願いしますわ……」
あてにならぬと分かっている義子やマリの言葉だが、京子はまさに藁にもすがる思いで頼らざるを得ない。
たとえ二度と陽のあたる場所で生きることが出来なくなったとしても、いつか再び山崎に巡り合う日がくるのではないかというのが京子にとっての生きる希望だった。
しかしそれがこんな残酷な形で実現しようとは京子は思ってもいなかった。望みが断ち切られた今となっては山崎と久美子の兄妹を少しでも楽にしてやることが京子の唯一の願いだったのである。
(山崎さんの私に対する執着が山崎さん自身を苦しめているのなら、それを断ち切ってあげるのが私の努めだわ)
そう思い定めた京子は顔を上げ、山崎をじっと見つめるのである。
「山崎さん、京子の身体を良く見てっ」
京子はそう言うとすらりと伸びた両肢を大胆にもぐっと開いていく。
「い、いかが、京子の裸、生でご覧になるのは初めてでしょう? 山崎さんの目から魅力は感じられるかしら? か、感想を聞かせていただきたいわ」
京子はそう言うと口元にわざと笑みを浮かべ、腰部を艶っぽくうねらせる。
(京子さん……)
少し離れた場所で座らされている久美子は、そんな京子の姿を呆気に取られたような表情で見つめている。それが悪鬼たちによって強制されている行為だとは久美子にももちろん分かっているが、あの知的で気丈な京子がまるで色情に取り付かれたように振る舞っているのが、久美子は現実の事だとはおもえないのだ。
女ながらも空手二段の腕を持つ勝ち気な京子がここまで堕とされるに至るまで、どれほど苛酷な調教がその身に加えられたことかと思うと、久美子は肌が粟立つような戦慄を覚えるのだった。
「京子、ここにいる皆さまのおかげで、さ、様々な快楽を教えていただいたの。ねえ、山崎さん、それがどんなことだかおわかりになる?」
京子は恋人の前でそんな淫らな告白を強要される屈辱と羞恥に、カッと頬を赤らめる。
「いつか山崎さんに声のお頼りでお伝えしたとおり、京子、この屋敷に来て始めて殿方に抱かれたの。そう、山崎さんにいつか捧げようと大事に守ってきた処女を、そこにいる川田さんに捧げたの」
それを聞いた山崎は憤怒に燃えた瞳を川田に向ける。川田は勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、そんな山崎の視線を受け止めているのだ。
「それから森田親分にも抱かれ、その後川田さんの隣にいる吉沢さんの妻になったの。吉沢さんはとても京子のことを愛してくれて、一晩中、それこそ、こ、腰が抜けるまで抱いてくれたわ」
そこで山崎は再び恨みの籠った目を吉沢に向ける。吉沢は川田と顔を見合わせてニヤリと笑うと山崎に向かって「わかったかい、ヘボ探偵。お前は自分の恋人を敵の俺たちの手で女にされたって訳さ」と言い放つ。
「どうだ、悔しいだろう、なんとか言ってみな」
「くっ……」
追い打ちをかけるように川田にあざけりの声をかけられた山崎は口惜しげに唇を噛むが、今は何を言っても負け犬の遠吠えに過ぎないとぐっと堪える。
「京子はなかなか味が良かったが俺はどうもあまり気が強い女は好みじゃねえ。俺の目当てはもともとそこにいる京子の妹の美津子だったのさ」
吉沢はそう言うと小夜子や文夫と並んで、全裸のまま立たされている美津子の方を見る。素肌に吉沢のギラギラした視線を感じた美津子はおぞましさのあまり裸身をブルッと震わせる。
「お、お前たちは美津ちゃんまで毒牙にかけたというのかっ」
山崎は思わず怒声を上げるが、吉沢は平然として「心配するんじゃねえ」と軽く首を振る。
「美津子を自分の女にしても良いって許しを親分からもらったんだが、何だか知らねえが、いつもあとちょっとのところで抱くことが出来てねえんだ。結局今のところ美津子を抱いた男はそこにいる恋人の文夫だけだと思うぜ」
「吉やんが美津子に首ったけなのは分かっているが、今は美津子のことは後回しだ。先を続けな、京子」
川田に促された京子は「ハイ……」と頷く。
「京子はたくさんの殿方に抱かれただけじゃなく、遠山の奥様や美津ちゃん、それに小夜子さんと女同士の行為を演じさせられたの。それからシスターボーイの春太郎さんと夏次郎さんの共有の妻にさせられて、か、浣腸に剃毛などのお仕置き、それに卵産みや卵割り、バナナ切りと言ったお稽古を受けるたびに京子の身体は、そんな羞かしい責めに感じるようになったのよ。京子って、自分でも気づかなかったのだけど、実はマ、マゾだったのかもしれないわ」
京子はそんなことを言いながらゆらゆらと裸身をくねらせる。山崎はそんな京子の痛ましい姿から顔を背けようとするが、すかさず川田と吉沢によって押さえ付けされ、無理やり京子の方に向きを変えさせられる。
「ねえ、ねえ……山崎さん、京子のおマンコをよく見てっ……」
山崎に向かって血を吐くような思いでそんな言葉を口にする京子は、極限の汚辱に全身が麻痺していくような錯覚に陥って行く。
「目をそらさないでよく見て……山崎さん。あ、あなたがご覧になりたかったものよ。お願い、良く見て」
京子は死んだ気になってそんな淫らな科白を吐き続ける。
「ねえ、ねえ……山崎さん、京子のおマンコって上つきかしら、それとも下つき? 良くご覧になって確かめてほしいわ」
口元に媚めいた微笑まで浮かべながら山崎を挑発する京子。そんな凄絶なまでの京子の痴態を眺めているやくざたちは、そのグラマラスな身体からピンク色の靄が立ちのぼり、部屋の中を満たしていくような錯覚に陥っていく。
「い、いかが? 京子のおマンコ。お客様に良く見ていただけるようにすっかり毛を剃っていただいたのよ。ど、どうかしら? 何人もの殿方のお、おチンポをくわえ込んだおマンコだけど、まだまだ赤ちゃんみたいで可愛いでしょう?」
「京子……」
恋人のそんな大胆な振る舞いに山崎は言葉を失っているが、一方でその視線は陰りを失った京子の秘丘に釘付けになっている。山崎の熱い視線をその部分に感じた京子は不思議なほど気持ちが高ぶり、身体がカッと熱くなってくるのを感じるのだ。
「ねえ、ねえ、義子さん、マリさん……」
「何や、京子」
京子に声をかけられた義子とマリが、熱っぽく喘いでいる京子の傍に寄る。
「お願い……京子の奥の奥まで山崎さんにお見せしたいの」
「ふうん、それであたいたちに何をしろっていうの?」
マリはわざとらしい口調で京子に尋ねる。

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