284.相姦の刻(4)

 久美子はそんな淫らな言葉を吐きながら、腰を揺り動かす。久美子が徐々に思う壺に嵌ってきたのを見てとった銀子と朱美は、次に山崎に近寄り、その肩や尻を叩きながら話しかける。
「次はお兄ちゃんの番だよ、こんな風に妹に語りかけるんだ」
 銀子は口元に淫靡な笑みを浮かべると、山崎の耳元に何事か囁きかける。
 山崎が苦しげに顔をしかめると、銀子は「言うとおりにしないとショーの後で久美子は酷いお仕置きにかけられることになるんだよ」と山崎を脅す。
「そうそう、可愛い妹がお豆を吊られてヒイヒイ泣きわめく姿を見たいというのかい」
 朱美が追い打ちをかけるようにそう言うと、山崎は顔を歪めながら、
「く、久美子、どうだい、兄さんのチンポで突かれる気分は。き、気持ち良いかい」
 山崎がそんな卑猥な言葉を発したので、観客のやくざ達はどっと笑いこける。
「そこですかさず久美子はこう答える」
 朱美が久美子の耳元で囁く。
 久美子はもはやそれに対して抵抗することもなく、
「き、気持ち良いわっ。で、でもお兄さんっ、久美子のおマンコはい、いかがかしら。お、教えてっ」
 そうほざくように言うと山崎の胸に顔を埋め、感極まったように声を上げて泣き出すのだ。
「き、気持ち良いよっ」
 山崎は久美子の言葉に煽られたように、そんな言葉を吐きながら、久美子を激し突き上げる。
「お兄さんのチンポ、気持ち良いっ」
「久美子のマンコも、気持ち良いよっ」
 山崎と久美子は催眠術にかけられたように、銀子と朱美に教え込まれたそんな卑猥な言葉を掛け合いながら互いの身体を貪り合う。一対の雄と雌に化したような兄妹の変貌ぶりに観客は度肝を抜かれたような顔をしていたが、やがて大きな拍手を舞台上の二人に浴びせる。
「く、久美子、もうっ」
 頂上に達しそうになった山崎は、妹の名を呼ぶと身体の動きを止める。
「ほらっ、なんで尻振りダンスをやめるんだよ」
 銀子が苛々した声を上げながら青竹で山崎の尻を叩く。
「遠慮なく妹のマンコの中にぶっ放さないかっ」
 朱美もまた銀子に続いて山崎の尻を叩く。
「く、久美子、許してくれっ」
「いいのっ、兄さんっ、来てっ」
 妹に許しを乞う兄。そしてそれを受け入れる妹。山崎の腰部が、そして同時に兄の熱い迸りを受け止めた久美子の双臀がブルブル痙攣する。
「兄さんっ」
 久美子は衝動的に自らの唇を山崎の唇にぶつける。そして兄の舌を吸い、自らの舌を吸わせながら裸身を震わせ続けるのだ。
 ああ、このまま兄と二人、粉々に砕けてこの世から消えてしまいたい――久美子は兄と裸身を密着させながら、そう念じるのだった。
 ついに兄が妹の身体の中に射精した――その決定的瞬間を目撃した観客たちは、しばらく声を上げることも忘れてその倒錯絵図に見入っていたが、やがて我に返るとどっと歓声を上げる。
「ついにやりやがった」
「兄妹がまるで犬みてえにさかってやがるぜ」
 やくざたちは口々にそんな野卑なからかいを舞台上の兄妹に浴びせるが、山崎と久美子はそんな揶揄の声をも耳に入らないかのように、身体と身体をぴったりと重ね合い、熱い接吻を交わし合っているのだ。
「いい加減にしな。いつまで口を吸い合っているのさ」
 銀子はそう言うと山崎と久美子の尻を一発ずつ叩く。
「身体を離しな」
 銀子にそう命じられた兄妹は、ゆっくりと身体を離す。山崎の肉棒が、それが貫いていた久美子の秘奥からずるりと抜ける。
「二人とも前を向くんだよ」
 銀子は再び山崎と久美子の尻を青竹で叩く。兄妹は命じられるまま顔を伏せ、前を向くのだ。
「だらしないね、一発出したくらいで。そんなことじゃブルー映画のスターは勤まらないよ」
 朱美が青竹の先で、山崎のだらりと垂れ下がった肉棒をピシャ、ピシャと叩く。山崎はもはや反撥する気力もないのか、首を垂れさせたまま朱美に玩弄されるままになっている。
「こっちはどんな具合だい」
 銀子が久美子の傍らにかがみ込むと、その陰門に手をかけ、ぐっと拡げる。久美子の秘壺から赤い血の混じった山崎の精液が太腿を伝って流れ落ちる。
「確かに女になったようだね」
 銀子は満足そうに久美子の太腿をピシャリと叩く。あまりに淫虐な銀子の行為に、久美子は声を震わせて泣き始めるのだ。
「何を泣くことがあるかい。大好きなお兄ちゃんに女にしてもらったんだろう。本望じゃないか」
 朱美が追い打ちをかけるようにそう言うと、久美子はわっと声を上げて泣き出す。
「ピイピイ泣くんじゃないよっ。鬱陶しいねっ」
 銀子が再び久美子の太腿を青竹で叩く。
「さあ、ショーのスターとしてお客様に挨拶するんだ。何でも締めくくりが大事だよ」
 久美子は頷くと、しゃくり上げながら顔を上げる。
 朱美がまた、久美子の耳元で何ごとか吹き込む。久美子はまるで魂を失った人形のように命じられた言葉を口にする。
「み、皆さま、いかがでしたでしょうか。私たち兄妹のショー、楽しんで頂けましたでしょうか」
 おう、たっぷり楽しませていただいたぜ、などという声がやくざたちから飛ぶと、久美子はぎこちない笑みを浮かべながら「あ、ありがとうございます」と頭を下げる。
「皆さまのお力添えをもちまして、私、山崎久美子は、兄と肉に契りを持つことが出来、い、一人前の女となることが出来ました。ま、まことにありがとうございます」
「今後は、実演ポルノスターとして森田組のために身を粉にして働き、あ、兄の犯した罪を多少でも償いたく思いますので、よ、よろしくお引き立てのほど、お願い申し上げます」
 そこまで口にした久美子は、さすがに我が身の哀れさが迫ったのか、再び嗚咽を始める。
「いつまでもピイピイ泣くんじゃないよ。辛気くさいね」
 朱美がそう腹立たしげに言うと、久美子の尻を蹴り上げる。
「まあ、これくらいにしておいてやろうよ。次のショーの準備も出来ていることだし」
 銀子はそう取りなすように言うと、山崎と久美子に向かって「さ、最後にも一度、観客の皆さまに向かってお辞儀をするんだ」と声をかける。山崎と久美子は銀子に命じられるまま、座敷をびっしりと埋めたやくざたちに向かって深々と頭を下げるのだった。

 しばしの休憩の間、森田組の三下達によって手早く汚れた舞台が浄められ、中央に赤い布団が敷かれ、枕が二つ置かれる。
「次の出し物は何なの」
 町子の質問に岡田が「千原流華道の家元令嬢、千原美沙江と、後援会会長で医学博士夫人、折原珠江のレズビアンショーとなっているな」と答える。

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