283.相姦の刻(3)

 久美子は破瓜の傷みに耐えるようにぐっと歯を食いしばっていたが、やがてゆっくりと身体を動かし始める。
 悪魔達に強制され、やむを得なかったとはいえ血を分けた妹の処女を奪ってしまった――山崎は身も凍るような恐ろしさを知覚しているのだ。
「お、お兄さん……」
「く、久美子」
「お、お兄さん、も、もう、どうにもならないわ」
 ほざくように言うと久美子は痛みをぐっと堪えながら、兄のそれを包み込んだ部分を前後にうねらせる。
「うっ、うっ……」
 処女を失ったばかりの久美子にとって、その行為は快感からははるかに遠い。しかしながら兄を自失させなければこの地獄は終わらない。久美子は捨て鉢な思いで淫らな舞いに己を委ねるのだ。
「あ、ああ……く、久美子」
 ぎこちないが懸命の久美子のうねり舞いに、山崎は妹を深々と貫いた筒先に痺れるような快美感を知覚するのだった。
「久美子がやる気になってきたみたいよ」
 舞台脇で二人の様子を眺めているマリがニヤリと笑うと、義子もまた「なかなか良い腰使いをしているやないか。たった今まで処女やったとはとても思えんわ」とほくそ笑む。
「ほらほら、せっかく妹がやる気を出してきたのよ。お兄ちゃんも頑張ってケツを振りなさいよっ」
 銀子が青竹で山崎の尻をピシャリと叩くと、山崎もまた口惜しさに歯を噛み鳴らしながら、腰を前後させ始める。
 兄と妹が一つに繋がったまま、舞台の上で互いの身体を動きを同調させ始めたので、観客たちはどっと歓声を上げる。
「どうだい、久美子。お兄ちゃんのものを咥え込んだ感想は」
 朱美が淫靡な笑みを浮かべながら久美子に尋ねるが、久美子は無言のまま首を左右に振るばかりである。
「黙っていちゃ分からないよ。お兄ちゃんのチンポは堅いかい、大きいかい、しっかり答えなっ」
 朱美が久美子の髪の毛をぐっと掴んで引っ張り、耳元でがなり立てる。
「久美子、この際だから言っておくけど、ブルーフィルムの男役はいくらハンサムでも、いくら体格が良くても、そこんところが粗チンだと何の値打ちもないんだよ。あんたのお兄ちゃんがこの先、ここで生き残っていけるかどうかは、そこがどれだけ立派かにかかっているんだ。そこんところをしっかり答えるんだよ」
 朱美にそう怒鳴りつけられた久美子は、苦しげに顔をしかめながら口を開く。
「か、堅くて……大きいです」
「え、何だって? そんな小さい声じゃ聞こえないよ」
 朱美はわざとらしく耳を久美子の口元に近づける。
「堅くて、大きいですわ」
 久美子がはっきりとした声音で答えると、今度は銀子が「何が堅くて大きいんだい。お客様に分かるように答えるなっ」と責め立てる。
「もう、じれったいね」
 朱美はそう言うと、卑猥に腰を振りながら「ああン、お兄さんのおチンポ、堅くて大きいっ。久美子、たまらないわっ」とわざとらしく甘ったるい声で叫ぶ。
 どっと笑いこける観客。銀子がすかさず久美子の尻を青竹で叩き、「ほら、朱美がせっかくお手本を見せてくれているんだ。言われたとおりにやるんだよ」と急き立てる。
「あ、ああ……お、お兄さんのち、チンポ……」
 そう声を震わせる久美子の尻に、再び銀子の青竹が飛ぶ。
「声が小さいって言っているだろう。それにどうして朱美がやったようにケツを振らないんだい。あたしたちを馬鹿にしているのかい」
「そんな……馬鹿にしてるなんて……」
 久美子は恨みがましい視線を銀子に向ける。
「それならやるんだよ、ほら、早くっ」
 再び青竹が尻を打つ音が聞こえる。久美子は悔し泣きしながらゆっくりと尻を前後させ「お兄さんのチンポ、堅くて大きいわ……」と唇を震わせる」
「もっと大きく、甘えたように言うんだよっ」
「ケツの振り方が足りないよっ」
 銀子と朱美が交互に、久美子の尻に青竹を振り下ろす。久美子の白い双臀にたちまち
幾条もの鞭痕が刻まれる。久美子は自棄になったように腰を大きく振りながら「ああっ」と叫ぶ。
「お、お兄さんのチンポ、堅くて、お、大きいわっ。これでいいでしょうっ」
 久美子はそうほざくように言うと身体の裡から込み上げるものをぶつけるかのように、山崎の唇に自らの唇をぶつける。そして大胆にも自らの舌を兄の口内に差し入れるのだった。
「うっ、うっ……」
 兄と妹が身体を繋がらせ、互いに甘く舌を吸い合っている。そんな倒錯の極致とも言うべき光景を、観客たちは揶揄の言葉をかけるのも忘れて見入っている。
 久美子は兄との長い接吻を終えると、再びゆっくりと腰部をうねらせ始める。
「どうだい、だいぶ身体が馴染んできたんじゃないかい」
 銀子がニヤニヤ笑いながら久美子に問いかけるが、久美子は「あ、あ、あっ、あン……」と甘い吐息めいた声を発しながら、豊満な乳房を山崎の胸板に擦りつけるように、その均整の取れた裸身をくねらせている。
「ええ、久美子。もうそれほど痛くないだろう」
 朱美もまたそんな風に問いかけると、久美子は素直にこくりと頷くのだ。
「黙っていちゃ駄目だって言っただろう。お客様が喜ぶようなことを言うんだよ」
「な、何て言えば……」
「あたしたちが教えてあげるよ」
 銀子はそう言うと朱美と顔を見合わせて笑い合う。
「まずは簡単な質問だ。お兄ちゃんのチンポは久美子のどこに入っているか、言ってみな」
「ど、どこって……」
 銀子の問いに眉をひそめる久美子の耳元に、朱美が何事か囁きかける。
「そんな……言えない……」
 顔を真っ赤に染めて嫌々と首を振る久美子。そんな久美子に銀子が
「言わないと、あんたのお兄ちゃんが後で酷い目に合うんだよ。またお兄ちゃんの金蹴りをしたいのかい」
「それは……」
 久美子はさも辛そうに顔をしかめて首を振る。
「それなら言うんだよ、さあ」
 再び朱美に促された久美子は、
「久美子の……おマンコに入っていますわ」
 と、唇を震わせる。
「もっと大きな声で、こんな風に続けて言うんだよ」
 朱美が再び久美子の耳元で囁くと、久美子は意思を持たない人形のように朱美に吹き込まれた言葉を繰り返す。
「お兄さんのおチンポが、く、久美子のおマンコに入っていますわ」
「もう一度」
「お兄さんのおチンポが、久美子のおマンコに入っていますっ、ああっ」

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