170.敗北の兄妹(10)

「な、何をするのっ! 獣っ!」
ダミヤは抵抗するが、さすがに男二人の手にかかってはかなわない。その奇妙な猿轡を噛まされ、言葉を封じられていくのだ。
「ぐっ……ぐうっ……」
もはや獣の呻きのような声しか上げることが出来なくなったダミヤの肌の上に川田と吉沢の手が這い回る。ダミヤは美麗な裸身を悶えさせながら、必死でそのおぞましさに耐えているのだ。
「せっかくだから少し楽しませてやってよ」
銀子の声に川田は「お安い御用だぜ」と笑い、先ほどさ朱美たちが鈴縄に塗った「せせらぎ」という怪しげなクリームをたっぷりと指先に取り、ダミヤの秘奥に塗り込める。
「ぐうっ……」
女の最も敏感な箇所に淫らな攻撃を加えられたダミヤは傷ついた獣のような声を上げる。
「吉やんは後ろの方を頼むぜ」
「わかった」
川田に声をかけられた吉沢はニヤリと笑うと、川田に倣って指先に淫らなクリームを取り、ダミヤの双臀の狭間に秘められた隠微な菊花にべっとりと塗り付ける。
「ぐっ、うぐっ……」
前後の急所を同時に攻撃されるダミヤは必死で腰を振り、男たちの手を避けようとするが、両肢を固定された身体でははかばかしい抵抗も出来ない。たちまち二人の男のペースに飲み込まれ、猿轡の隙間から悲痛な喘ぎを漏らすばかりになっているのだ。
「さっき浣腸してやったせいか、ケツの穴もすっかりほぐれて、なかなかいい感じだぜ」
吉沢はダミヤの粘っこいその部分の感触を楽しみながら、淫靡な笑みを浮かべる。
「これで邪魔はなくなったね。さあ、どうするんだい、久美子お嬢さん」
銀子はナイフの刃で山崎の肉棒を軽く叩きながら、久美子に尋ねる。
「わ、わかりました……おっしゃる通りにしますから、兄を傷つけないで……」
久美子は血を吐くような思いでそう言うと、山崎の顔をじっと見ながらゆっくりと裸身を揺らし始める。
「に、兄さん……お願い……く、久美子の裸を見て……」
マリに教え込まれたそんな言葉を吐いた途端、久美子の顔は首筋まで紅生姜のようにカッと赤く染まる。
「どう? 兄さん、久美子の裸を見るのは久しぶりでしょう? ど、どう? す、すっかり大人になったと思わない?」
山崎はあまりの痛ましさに、さすがに目を背けようとするが、すかさず銀子が睾丸を思い切り握り締めると「ぐうっ!」という獣のような呻き声を上げる。
「妹の身体をしっかりと見るんだよ! 逆らったら今度こそキンタマ握り潰すよっ」
「兄さん、お願いっ、言う通りにしてっ! こ、この人たちに逆らっちゃ駄目よっ」
久美子は必死の思いで山崎に呼びかける。
それもまたマリに強制された言葉のひとつだったが、ここで山崎が逆らって殺されないまでも大怪我を負わされたなら、自分たちはもちろん美紀夫人や絹代夫人、そして小夜子や美沙江、珠江夫人や京子たちが救われる機会は永遠に失われてしまう。
ここは汚辱に耐えて逆転の時を待つのだ。久美子はそんな切羽詰まった思いを懸命に兄に伝えようとしているのだ。
「ねえ、兄さん……久美子の裸を良く見て……オッパイも、お尻も大きくなったでしょう? きょ、京子さんと比べてどちらが素敵かしら」
そんな台詞まではかされている久美子の頭の中には、いつしかピンク色の靄がかかったようになり、久美子はその白昼夢のような世界で、ただひたすらマリに教え込まれた演技に没頭しているのだ。
「どうだい、名探偵さん。妹の演技は? なかなか色っぽいだろう。ポルノスターとしての素質は十分だと思わないかい? 明後日にはあの身体をたっぷりと味合わせてやるから、楽しみにしているんだよ」
銀子はそんなことを言いながら山崎の肉棒を片手でゆっくりと揉み立てる。
「ふん、だいぶ硬くなって来たじゃないか。探偵さんも妹とやれるのがまんざら嫌でもないみたいだね」
銀子はニヤリと淫靡に笑うと、美紀夫人の豊かな乳房を背後から揉み上げている朱美に声をかける。
「朱美、ちょっと代わっておくれよ」
「了解」
朱美はおどけて返事をすると、銀子と位置を交替する。
「それじゃあそろそろ仕上げにかかるよ。いいね」
銀子はそれぞれ久美子と絹代を責めている義子とマリに声をかける。
「さあ、美紀夫人。他の二人をリードしながら同時にゴールインするんだ。いいね」
そう言うと銀子は夫人の大きめのヒップをぴしゃりと叩く。
「息がぴったり合わなきゃ明後日、岩崎親分たちの前で美紀夫人は小夜子と、絹代夫人は美沙江と無理やりレズビアンの契りを結ぶことになるからね。そのつもりでやるんだよ」
銀子のその残酷な言葉を聞いた瞬間、美紀夫人と絹代夫人の顔が同時にさっと青ざめる。
「そ、そんなっ」
「嫌ですっ」
「嫌なら気合を入れてやるんだよ。ショーは奥様たちのお花や踊りのような優雅な遊びじゃないんだ。お客からお金をいただく真剣勝負なんだよ。わかっているのかい」
美紀夫人と絹代夫人は口惜しげに眉をしかめるが、銀子に「どうなんだいっ」と詰め寄られ「わ、わかっておりますわ」と答える。
「わかってるのならさっさとやるんだよ」
銀子は再び美紀夫人の尻をパシッと叩く。
「き、絹代さん……久美子さん……もうどうにもなりませんわ。お願い……」
美紀夫人が悲痛な思いで声をかけると久美子と絹代夫人はシクシクとすすり上げながらも同時にはっきりと頷く。
美紀が自棄になったように豊満な裸身を激しくうねらせ始めたのに合わせて、久美子と絹代はその卑猥な踊りを再開する。三人の裸女が同時にうねり舞う妖しいまでに淫らな光景に、居合わせた男たちは思わずゴクリと唾を飲む。
銀子もまた三人の美女が思う壷にはまってきたことに内心でほくそ笑むが、「黙っていたって見ている方は面白くないよ。お客様を楽しませるためにいいわ、とか気持ち良いとか色っぽい声を出すんだよ」とわざと厳しい叱咤を浴びせるのだった。
「ああ……き、気持ち良いわ」
美紀夫人がため息をつくようにそう言った瞬間、見るものたちは部屋の中にピンク色の靄が立ちのぼるような錯覚に陥る。
「く、久美子も気持ち良い……」
「わ、私も……とても良いわ……」
久美子と絹代も、美紀夫人に競うかのように汚辱の言葉を吐く。
その瞬間三人の美女はほぼ同時に被虐性の快感を知覚したのか、それぞれの身体が電流に触れたように痙攣する。
「そんな甘っちょろいやり方じゃお客は納得しないよ。もっと、もっと激しくケツを振るんだ」
銀子は三人の美女が思う壷にはまって来たことに満足げに微笑みながら、わざと厳しい声で叱咤する。美紀と絹代、そして久美子は自棄になったように身体を激しく前後に揺さぶる。その度に淫らな縄は股間に食い込み、前後の秘穴に埋め込まれた金と銀の鈴はその効力を発揮し始める。
まるで衆人環視の中で姿の見えない男から、前後を同時に犯されているようなおぞましい感触――しかし、その汚辱に満ちた感覚は徐々に妖しい倒錯の快感に変化し、三人の美女は雲の中を漂うような感覚に陥って行くのだった。

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