321 母子相姦図(2)

「ああ、そ、そんな……」
 年増女の手練手管を駆使して、若い文夫をその気にさせる……そのためにどんな風に振る舞い、声をかければ良いのかを春太郎と夏次郎は交互に夫人に吹き込むのだが、そのあまりのおぞましさに、夫人は気が遠くなるのだ。
「息子にそんなことを……ぜ、絶対に言えません」
「言えないと小夜子を代役に立てるだけよ。それでも良いの」
「そ、それは……」
 二人のシスターボーイは、婦人の鼻や乳首をひっぱったり、つねりあげたりしながら因果を含ませる。夫人がついに屈服し、がくりと頷いたとき、部屋の襖ががらりと開かれ、白磁の裸身を亀甲縛りにされた小夜子が、義子とマリに縄を解られて引き立てられてくる。
「はい、小夜子嬢のご入来」
 義子がおどけた声をあげると、後ろを振り返り「津村はん、間に合ったみたいよ」と声をかける。
 縁なしの眼鏡にちょび髭をたくわえた津村が小夜子の後ろから顔を出し、緊縛された裸身を向かい合わせている美紀夫人と文夫の姿をしげしげと眺める。
「文夫君、さぞかし怖じ気付いているかと思ったら、どうしてどうしてやる気十分じゃないか」
 文夫の男の部分が逞しく反り返っているのをみた津村はそう言って満足げに笑うと、小夜子の方に向かって
「ほら、僕が言っただろう。小夜子が心配するようなことじゃないって。弟さんはお母さんに、十分女を感じているようだよ」
「あ、あなた」
 小夜子は哀切な表情を津村に向け、唇を震わせる。
「なんだい、小夜子」
「お願いです。こ、こんな恐ろしいことだけはやめさせて……代わりに私が、あなたの望むことはなんでもしますから」
「小夜子は僕の妻だから、夫の望むことは何でもするのは当たり前のことだよ。それに、僕の今の望みは小夜子のお母さんと弟に、秘密の関係を持たせることなんだ」
 津村はそう言ってニヤリと笑う。
「血を分けた息子とそんな関係に陥ったら、君のお母さんだってお父さんのに顔を合わせたいは二度と思わなくなるだろう。嫌でもこの屋敷にとどまって、残りの人生をポルノスターとして歩んでいくしかないと思うはずさ」
 津村の恐ろしい言葉に、小夜子は思わずその優美な裸身をブルッと震わせるのだ。
「さ、始めてくれたまえ。ご婦人方がお待ちかねだ」
 津村が声をかけると春太郎は頷き、美紀夫人の耳元に
「奥様、教えた要領でやるのよ。逆らったらいつでも小夜子と交代されるからね」
 と囁きかけるのだ。
「わ、分かりました」
 美紀夫人は震える唇でそう答える。
「演技の前に、気分が出るお酒を飲ませて上げるわ」
 春太郎はそう言うと夏次郎の方を見る。夏次郎は頷くと、戸棚からガラスの酒瓶とグラスを取り出し、赤ワインのような酒をグラスに注ぐと春太郎に渡す。
「さ、飲みなさい」
 春太郎が美紀夫人の口元にグラスを突きつけると、夫人は不安げな表情で春太郎を見返す。
「な、何ですか……これは」
「森田組特製の精力酒よ。別に身体に悪いものは入っていないから、心配しないでいいわよ」
 ためらう美紀夫人に、春太郎は「ちょっとばかり酔っていた方が、恥ずかしさも忘れるわよ。さ、早く」
「分かりました……」
 美紀夫人は頷くと、春太郎の差し出すグラスに口をつけ、赤い酒をぐっと飲み干す。
 春太郎は文夫にも、その怪しげな酒を飲ませると、美紀夫人に向かって「それじゃ、始めなさい」と声をかける。
「ね、ねえ、文夫さん。母さんを見てちょうだい」
 いよいよ美紀夫人の演技が開始されたことを知った和枝、葉子、そして町子の三人の女は、はしゃぎながら座り直す。
「さあ、小夜子。僕たちもじっくり見物させてもらおうじゃないか」
 津村がそう言うと、縄尻をとった義子とマリがどんと小夜子の背中を叩く。小夜子はたたらを振むように部屋の中央に進み出ると、向かい合った美紀夫人と文夫の正面の席に座らされる。
 美紀夫人は小夜子にちらと顔を向けて、大丈夫よ、というように頷きかけると強制された屈辱の演技を続ける。
「文夫さん、お願い。お母さんの身体を見て。よく見てちょうだい」
 美紀夫人はぎこちなく裸身をくねらせながら文夫を誘うが、文夫は恐ろしいものから目を逸らすように懸命に顔を俯けている。
「な、夏次郎さん、母親の言うことを聞かない息子にお仕置きをしてくださらない」
 美紀夫人がそんな台詞を吐いたので、小夜子は信じられないものを聞いたような表情になる。夏次郎は「分かったわ」と頷くと、文夫の睾丸を掌で包み込み、ぎゅっと握りしめる。
「うーっ」
 その部分を握りつぶされるような激痛に、文夫は呻きながら顔を上げる。
「ほら、文夫さん、す、素直に母さんの言うことを聞かないから、そんな風にお仕置きをされるのよ。夏次郎さん、え、遠慮はいらないわ。母親の言うことを聞かない不良息子のき、キンタマを握りつぶしてちょうだい」
 美紀夫人が強ばった表情でそんなことまで口にしたので、和枝たちはゲラゲラ声を上げて笑う。
「や、やめてくださいっ、み、見ますからっ」
 文夫が悲鳴を上げると、夏次郎はようやく手を緩める。悲痛な表情で顔を上げた文夫の顔を、美紀夫人はじっと見つめる。
「痛い目に遭いたくなければ、母さんの言うことを聞くのよ。わ、分かったわね」
「わ、分かりました」
「それじゃ改めて、母さんの身体をよく見なさい」
 美紀夫人はそう言うと、再びその豊満な裸身をゆっくりとくねらせる。
「ど、どう、文夫さん。母さんの身体。お、女としてまだまだ魅力があるとは思わない」
 美紀夫人は微妙な笑みさえ口元に浮かべ、そんなことまで口にすると、傍らに立つ春太郎に向かって「ね、ねえ、春太郎さん、美紀のおっぱいを揉んで」とねだる。
「分かったわ、奥様」
 春太郎はニヤリと頷くと、美紀夫人の背後から手を回り、豊潤な乳房をゆっくりと揉み上げる。
「ああ……き、気持ちいいわ」
 美紀夫人はため息をつくような声を上げると、豊満な裸身をより激しくくねらせる。
「ね、ねえ、文夫さん、聞いて……母さん、ず、ずっと欲求不満だったの」
 美紀夫人の大胆な発言に、和枝と葉子はキャッ、キャッと声を上げて笑う。
「だ、だって、お父さんったら、仕事が忙しいからって……ずっと母さんのことを放りっぱなしにしていたんだもの」
 夫人はじっと文夫を見つめながら、舌足らずな声でそんなことまで告げるのだ。

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