小夜子は早くも呼吸を荒げながら、赤く染まった頬を右に向けたり左に向けたりしている。文夫はいつしか、そんな姉の痴態から目を離せなくなっている。
「そろそろ糸を繋ぐところを可愛がってあげようか」
朱美が耳元で囁くと、小夜子はさも恥ずかしげにこっくりと頷く。
銀子が朱美と意味ありげな視線を交わし、羽箒を小夜子の花蕾に使い出す。触れるか触れないか、というような微妙なタッチで愛撫され、小夜子は思わず「ああっ!」と悲鳴に似た声まで上げる。そんな小夜子の匂うばかりの妖艶さに、責める銀子と朱美もすっかり酔い痴れたような気分になってくるのだ。
葉桜団のメンバーは互いにレズビアンの関係で結ばれており、特に団長の銀子と副団長の朱美は、同性愛の経験は深い。小夜子はそんな言わば百戦錬磨の銀子と朱美さえ虜にするような魅力を放っているのだ。
「あ、朱美お姉さま……小夜子、おねだりしていい?」
小夜子はとろんと潤んだ瞳を朱美に向け、甘えるような声をあげる。その凄艶なまでの色気に、朱美は背筋がぞくっとするような興奮を覚えるのだ。
「なんだい、何でも言ってみな」
「お、お尻も一緒に……虐めて欲しいの」
「なんだって?」
朱美は小夜子の大胆な言葉にさすがに驚き、聞き返す。
「いや……何度も言わせないで……お尻を……お願い」
「前と後ろを一緒に責められたい、っていうのかい?」
「ああ……だって、だって……小夜子、そこがすっかり感じるようになったのですもの」
そう言うと小夜子はなよなよと腰部を振りながら、文夫の隣で呆然とした顔を向けているマリや義子の方を向く。
「お願い……弟も責めてあげて……私ばかりがこんな……恥ずかしいわ」
「わ、わかった」
義子は慌てて頷くと文夫の前に跪き、早くも硬化を見せている肉棒を両手でそっと包み込む。同時にマリが文夫の背後に回り、美少年の引き締まった双臀をぐいと押し開くのだった。
「あ、ああっ!」
「ううっ!」
朱美の指とマリの指が、小夜子と文夫の菊蕾を同時に貫く。その瞬間美しい姉弟は電流に触れたように全身をブルッと震わせるのだった。
「ああっ……」
「う、ううっ……」
調教室に男と女の甘いため息と、むっとするような淫臭がたちこめている。六畳ほどの狭い部屋を葉桜団の不良少女たちが埋め尽くし、コップ酒を酌み交わしている。誰かが気を利かして持ち出したのか、スルメなどのつまみも並べられ、朝からすっかり宴会ムードとなっているのだ。
ズベ公たちの酒の肴となっているのは、部屋の真ん中の2本の調教柱に全裸のまま縛り付けられた小夜子と文夫の姉弟である。深窓に生まれ育った姉弟が、社会の最下層というべきズベ公たちの見世物になっている。不良少女たちはそんな倒錯した快感にすっかり身も心も痺れさせている。
小夜子には朱美が、文夫には義子が取り付き、淫らに責め上げている。それを銀子とマリが楽しげに眺め、時々野次をを飛ばしている。
悦子はもっぱら銀子に酌をしたり、つまみの準備をしたりしながら、時折銀子たちを真似るように小夜子と文夫にからかいの言葉を投げかけている。
「少し元気が出て来たじゃないか、悦子」
銀子は悦子に近寄り、空いたコップに酌をする。
「……すみません。銀子姐さん」
「お前が最近、調教に気が入らない理由は分かっているよ」
銀子はそう言うと口元に笑みを浮かべる。
「お前、静子夫人に惚れたんだろう」
「そんな……」
「隠してもお前の態度から見え見えだよ。それで、静子夫人や他の奴隷たちを責めるのが後ろめたくなったんじゃないかい?」
「それは……」
銀子の問いに悦子は俯く。
「特に小夜子は静子夫人の踊りの弟子で、静子が実の妹のように目をかけていた娘だからね」
「でも見てごらん、悦子。小夜子は朱美の責めを嫌がっているように見えるかい?」
銀子はそう言うとちらと小夜子を見る。
「相変わらず上手いもんだね、朱美姐さん。あんな風に責められるのを見ていたらこっちまでおかしくなっちゃうわ」
朱美にゆさゆさと豊かな乳房を揉み上げられ、甘い吐息をついている小夜子を見ながら、マリがからかいの声をかける。
「見なよ、悦子。小夜子ったら、今にも気をやりそうってな顔をしているじゃないか。小夜子が恋人の内山って医者に抱かれて、あんな風な気持ちになれると思うかい?」
悦子は、もはや陶酔の極にあるような小夜子の表情を改めて見る。確かに銀子の言う通り、そこにはもはや嫌悪や躊躇いの感情は見られない。小夜子はむしろ積極的に、未知の快感に自ら飛び込もうとしているように思えるのだ。
「小夜子のとんでもない写真を、青葉学園の同窓生や小夜子の知り合い全部にばらまいたのを覚えているだろう? 悦子も一緒にやったことだよ」
銀子の言葉に悦子の胸がズキリと痛む。
「小夜子も静子夫人も、外の世界で暮らすことなんて一生出来ないようになっているのさ。それならこの屋敷の中でせいぜい楽しく過ごした方がいいじゃないか」
銀子はさらに念を押すように悦子に囁く、
「もし悦子があたいたちを裏切るようなことがあったらどうなるかわかるかい? 桂子と同じようにリンチを受けたあげく、森田組の女奴隷に落とされるんだよ」
銀子の冷たい言葉に悦子は背筋を震わせる。
「あたいは悦子をそんなふうにしたくないんだよ、わかるだろう?」
銀子はそう言うと、卑猥なショーを演じている姉弟の方へ向き直る。
「義子もなかなかだよ。お坊ちゃん、もうビンビンにさせているじゃないか」
「へへ……」
義子は照れたように笑う。
「お坊ちゃん、姉さんと同じで最近はすっかりこっちの方も感じるようや。やっぱり姉弟っていうのはこんなところも似るんかいな」
義子はそういいながらマリが差し出すコールドをたっぷりと指で掬い、文夫の菊蕾に塗りつける。
「ああっ……そ、そこは嫌ですっ」
いきなり隠微な箇所をまさぐられた文夫はうろたえたような声を出し、義子の指を避けようと双臀を振る。その様子はまるで男を知らぬ乙女が恥らっているような色気を醸し出しており、見ているマリは陶然とした気分になる。
「往生際が悪いわね、このお坊ちゃん。この前、散々ガラス棒で口を広げてあげたのに、もう元に戻っちゃったのかしら」
マリは思わずうっとりと文夫の媚態めいた姿に見とれていたことの照れ隠しをするかのように、そんな風に文夫をからかいながらひきしまった太腿や尻をピシャピシャと叩く。
「そんなことはないみたいや、ほら、もうあたいの親指をしっかりと咥えこんだで」
義子はニヤニヤ笑いながら文夫の肛門に深々と含ませた指をゆっくりと抽送し始める。すると文夫の若茎はますますその雄渾さをまし、腹部につかんばかりにそそり立っていくのだ。
小夜子もそんな文夫に煽られるようにはあ、はあと荒い息を吐き、柔肌はほんのりピンク色に染まっていく。
「そろそろいいだろう。マリ、糸をつなぐのを手伝ってやんな」
銀子はマリに声をかける。小夜子と文夫の姉弟に瓶吊り芸の調教を開始しようというのだ。
「あ、ああ、そんなっ……」
「ううっ……ね、姉さんっ」
小夜子と文夫の口から同時に悲鳴が迸り出る。最も敏感な箇所に糸を巻きつけられ、そこにジュースの空瓶をくくりつけられる恐怖と苦痛。姉と弟の身に加えられる想像を絶する淫靡な責め。これがいったい現実に起こっていることだろうか。
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