「ほう、こりゃあ見事な眺めだ」
三人の美女が伸びやかな両肢を宙に向かって扇のように開き、揃って女の羞恥の源泉とも言うべき陰核を糸で引き伸ばされている姿を見た田代は思わず感嘆の声を漏らす。森田、吉沢、井上といった男たち、そして葉子、和枝などの女たちも久美子たちの取らされた姿態の無残なまでの卑猥さに気を飲まれたような表情になっている。
「ホホホっ。千原流華道の家元夫人が、何という破廉恥な格好をなさっているの!」
突然大塚順子がけたたましい笑い声を上げる。それをきっかけに、一瞬言葉を忘れていたようなホームバーの男女がいっせいに歓声をあげる。
「オマンコやお尻の穴ばかりじゃなく、クリトリスまで堂々と晒け出すなんて、恥ずかしいとは思わないの? ええ、何とか言ってご覧なさいよ」
順子はそう言うと絹代のその部分に繋がれた糸を握り、ぐいぐいと引っ張る。絹代の花芯はそのたびに引き伸ばされ、優雅な裸身はまな板の上の活魚のように激しく跳ね回る。
「あっ、ああっ! やめてっ! やめてっ!」
絹代はそれだけで、その高貴な顔立ちから想像出来ないような、獣じみた咆哮を張り上げている。
「お義母さん、そんな羞かしい格好でさっき僕に言った台詞をもう一度言ってくださいよ、ええ。何と言いましたっけ?」
「ああっ! ゆ、許してっ! 津村さんっ」
ルビー色の花芯を引き伸ばされている美紀は、そうやって顔を近づけてくる津村に対しても、もはや毒づく気力もなく哀願めいた悲鳴を繰り返すだけとなっている。
「小夜子と同じで、ここのところがお義母さんの泣き所ですか」
津村はそう言って残酷そうな笑みを浮かべると、美紀のその部分に繋がれた糸をいきなり引っ張る。
「ひ、ひいっ!」
たちまち美紀の裸身が電流に触れたように激しく痙攣する。糸で抉り出された美紀の花芯は赤黒く充血し、無残なまでの姿を見せている。
そして二人の美貌の人妻に挟まれた久美子もまた、そのピンク色の真珠のような花芯を限界まで引き伸ばされ、息も絶え絶えといった最悪の状態に陥っている。
「柔道の名人のお姐さんはお核の大きさもなかなかのものじゃないか」
川田が久美子を責め上げている鬼源に近づくと、久美子の股間に顔を寄せる。
「しかし、さすがは鬼源だ。すさまじい責めを知っているじゃねえか」
「いや、これは元々こいつらがやっていた私刑に、俺が多少工夫を加えただけだ」
鬼源は葉桜団のマリと義子の方に目をやりながらそう言うとニヤリと笑う。
「しかしその工夫の部分が肝でね。マリ、豆吊りを始めてからどれだけ経つ?」
「ええと」
マリが腕時計を見る。
「まだ10分も経っちゃいないよ」
「なんだ、マリ、随分良い時計をしているじゃねえか」
「ああ、これは美津子が身につけていたもんだよ。夕霧女子高校の入学祝いに京子にもらったんだってさ。まだ大学生だった京子がバイトのお金を貯めて買ってやったもんだって言ってたよ」
そんな言葉を聞いた久美子は、マリをきっと睨みつける。
「あ、あなた、そんな大事な時計を美津子さんから無理やり……」
「なんだい、あたいが美津子から取り上げたとでもいうのかい?」
マリは気色ばんで久美子に詰め寄る。
「この屋敷の中じゃ、時間がわかったってしょうがないからってんで、美津子が自分からあたいにくれたんだよ。人聞きの悪いことを言わないでよ」
「な、何ですって」
マリの言葉に久美子は衝撃を受ける。両親がおらず、決して楽な暮らしを送っていたとは言えない京子がバイトのお金を貯めて贈った腕時計を、美津子があっさりと手放すとは。それが本当なら美津子の心は相当荒廃しているということになる。
マリは葉桜団団長の銀子の妹である。やはり両親を早く亡くしている銀子とマリの関係は京子と美津子のそれに似ていると言えなくもない。京子と美津子の姉妹もほんの少し道を踏み外していれば銀子とマリのように不良の道を歩んだかもしれない。
美津子がマリに腕時計をあげたのは、境遇の似たマリに共感したせいなのか、マリの歓心を買って奴隷としての待遇を良くしようとしたのか、それとも京子に対する当てつけなのか、久美子には分からない。しかし長い奴隷生活が純真な少女の精神を確実に変貌させていることだけはわかるのだ。
「どれ、そろそろ本格的に責め上げるか」
鬼源は義子とマリに顔を向けると「悪いが、筆と油を取って来てくれ」と告げる。
「わかったわ」
二人のズベ公はニヤリと笑うとホームバーの隅にある戸棚に向かい小皿と筆を三つづつと、そして怪しげな瓶を持ってくる。
「三人分とは気が利くじゃねえか。まずは俺が見本を見せてやる」
鬼源は瓶に入った油を少量、皿に注ぐとそれに筆を浸す。そして濡れた筆で限界まで引き伸ばされた久美子の陰核をさっと撫でる。
「ひゃ、ひゃあっ!」
久美子それだけでその部分から全身が痺れるような激烈な快感を知覚し、腰部を激しく痙攣させる。
「なかなか感じやすい娘だ。頼もしいこった」
鬼源は満足そうな笑みを口元に浮かべると、再び筆で久美子のそれを撫でつける。
「い、嫌あっ!」
再び久美子の獣のような咆哮がホームバーに響き渡る。田代や森田たちにとって宿敵とも言うべき山崎探偵の妹が素っ裸にされて、女の羞恥の源泉とも言うべき花芯を糸吊りにされ、さらに油に浸した筆で責め上げられて全身をのたうたせている。そんな痛快な光景にやくざやズベ公たちは喝采を浴びせている。
「この油にはさっきお前のマンコに塗り付けた媚薬が含まれているんだ。どうだ、ここをこんな風にされるのもまんざら悪い気はしないだろう」
糸で吊られて限界まで引き伸ばされ、熱を持ってヒリヒリと痛む女の急所に、さらに怪しげな媚薬の入った油を塗り付けられる――久美子は気が遠くなるような懊悩と共に、身体の奥から何故か不思議な陶酔めいた感覚が込み上げてくることに激しく狼狽する。
「面白そうね。私にも筆を貸して」
順子が油の入った皿と筆を取り上げると、筆を油に浸し、絹代の花蕾を撫で上げる。
「い、いやっ! いやあっ!」
たちまち絹代は悲鳴を上げ、優美な腰部を激しく痙攣させる。
津村も順子に倣い、筆を取り上げて美紀の花芯を責め始めている。美紀は「ああっ、ああっ!」と獣じみた絶叫を上げながら、豊満な裸身をのたうたせている。
「や、やめてっ! も、もう許してっ!」
「ほう、柔道の名人のお転婆娘がとうとう許しを乞うようになったか。こりゃあ愉快だ」
久美子がついに哀願の声を上げると、田代と森田はそんなことを言いながら笑い合う。
「何を許してほしいんだ、言ってみな」
鬼源は久美子のその部分に巧みに筆を使いながらそう話しかけるが、久美子は真っ赤に染まった顔をなよなよと振るばかりである。
「黙ってないでこんな風に言うんや」
義子が久美子の耳元に何事か囁きかけるが、久美子は「ああ……そ、そんな……」と眉を顰めて気弱に顔を背ける。
93.酒の肴(15)

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